2030年代までに人類は永遠の命を手に入れる!? 医療技術はあと数年で「寿命脱出速度(LEV)」に到達か
一部の科学者は、我々がもうすぐ加齢から開放される“脱出速度”に到達すると信じている。しかもそれは若返りのプロセスへと移行し、ついに永遠の命の獲得へと至るというのだ――!
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中世の錬金術師たちが追い求めた不老長寿の秘薬「エリクサー」はこの世に存在するのか――。最新の研究でその有力な候補が見つかったようだ。
「腹八分目」という言葉もあるように、カロリー制限は古典的な健康法であり、減量にも効果的だ。その結果として老化を遅らせ、寿命を延ばすことに繋がる。
カロリー制限を行うと体内の代謝物質の量や種類が変化するのだが、どの代謝物質が具体的にこれらの効果をもたらすのかは今もよくわかっていない。
これまでの研究では食事制限によりショウジョウバエや線虫などの一部の動物の寿命が延びる可能性があることが示唆されている。しかし人間は寿命が長く、代謝が複雑であるため、人体で代謝物質の効果をテストするのは困難だった。
そこに今、“朗報”がもたらされた。中国とアメリカの複数の機関からなる研究チームが2024年12月に学術誌「Nature」で発表した研究で、カロリー制限によって一部の動物の老化を遅らせる可能性がある分子が特定されたというのだ。
研究チームは、腸内細菌によって生成される胆汁酸であるリトコール酸(LCA)に着目し、このLCAがアンチエイジング効果をもたらすメカニズムについての理解を深めた。
LCAは腸内細菌が胆汁酸を代謝して作り出す二次胆汁酸の一種で、飢餓状態にある人体で分泌されることがわかっている。ということはLCAを投与することで、食事を制限をしていなくても身体がカロリー制限をしているのと同じ状態になると考えられるのである。
実験では、このLCAをマウスに投与すると、AMPK(AMP-activated protein kinase)と呼ばれるタンパク質が活性化し、エネルギーのバランスを保つ機能が向上した。加えてLCAの投与により、筋肉の再生が促進されてマウスの握力と走行能力が向上したという。
研究者チームは、マウスのほかにも線虫(C.エレガンス)とショウジョウバエを使った実験も行っているのだが、LCAの投与により線虫の平均寿命が22日から27日に、ショウジョウバエの平均寿命が4日から5日にとそれぞれ延びることも確認された。
興味深いことに、AMPKの機能を遺伝子操作で欠損させた生物ではLCAの効果が見られなかったことから、LCAのアンチエイジング効果はAMPKの活性化を通じて発揮されることもわかってきた。
これまでの研究ではLCAは発がん性のある毒素であるというネガティブな指摘もあったのだが、今回の研究では、LCAは低用量であれば健康に好ましい可能性があることが示唆されることになった。
そして、LCAはAMPKを介して抗老化効果を得られる可能性が示されたことで、将来的にはLCAを用いた新たなアンチエイジング療法の開発につながることも期待されているのだ。
科学者たちは、この研究で「制御されたLCAを投与すると、アンチエイジング効果が得られる可能性がある」と結論づけた。さらに研究を深めることで、さまざまな年齢層の人々にとってのLCAの適切な投与量を検証していきたいとのことだ。
「人々は長寿の妙薬を長い間探し求めてきました」と、厦門大学の研究主任著者、リン・シェンカイ氏は香港紙「South China Morning Post」紙に語る。
「LCAはカロリー制限をしている人の血液中の1つの分子です。AMPKを活性化し、それが血液中の代謝物の変化をさらに引き起こすため、長寿の妙薬となる可能性がある」(シェンカイ氏)
このLCAが不老長寿の秘薬「エリクサー」の有力候補となったといえるのだろうか。近年、急激に充実を見せるアンチエイジング研究に今後も注目していきたい。
【参考】
https://medicalxpress.com/news/2024-12-reveals-molecule-aging-restricted-diet.html
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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