公開された「異星人のミイラ」は本物か? メキシコで初のUFO公聴会が開催/MUTube&特集紹介  2023年12月号

文=並木伸一郎

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    今年9月13日開催のUFO公聴会で約1000年前の「異星人のミイラ」が公開され世界に衝撃が走った。遺体の正体は何か? 三上編集長がMUTubeで解説。

    公聴会で公開された2体のミイラ

     9月13日、メキシコ議会で初のUFO公聴会が開催された。公聴会には米海軍元パイロットのライアン・グレーブスとUFO問題に取り組んでいる日本維新の会の浅川義治衆議院議員も出席した。だが、世界中で大きな話題となったのは、公開された2体の謎のミイラである。
     公開された遺体は、体長が約60センチ。長頭で吊り上がった長い目、長い手足とそれぞれの指が3本という姿形をしており、その異形の姿は世界中を震撼させた。X(旧ツイッター)では「宇宙人のミイラ」がトレンド入りするほど、世界中の耳目を集めたのだ。
     遺体を公開したのは、ジャーナリストで著名なUFO研究家のハイメ・マウサン。彼は「非人間が存在した証拠」だと説明した。実はこの2体のうち1体は、2017年7月11日、ペルーのリマでミステリー探求サイト「ガイア」が行った記者発表の映像で公開されている。その名は「ジョセフィーナ」。もう1体は、今回がメディア初のお披露目となった「クララ」と名づけられたミイラだ。2体とも同じペルーの地下墓地で発見されている。
     特筆すべきは、会場で公開された「ジョセフィーナ」のX線画像である。2017年当時、メキシコ海軍の保険科学研究所長ホセ・ヘネス・ザルゼ・ベニテス博士によるX線の検分で、ジョセフィーナの下腹部に3つの卵形の物体が存在していることが判明した。しかし、本当に卵なのかどうかはわからず、今後の検査に委ねられていた。また、胸部に奇妙な金属板が埋めこまれており、その理由についても今後の調査課題になっていた。
     併せて、「メキシコ国立自治大学」(UNAM)の地球物理学研究所による炭素14の分析を通じて、遺体が1000年前のものと特定されたと発表。
     しかし、科学者や自称専門家たちは、下肢の可動域がなく“歩けない”と指摘し、「遺体は偽物」と切って捨てた。さらに、2017年当時の記事と併せて情報の欠如やCTスキャンの分析データに誤りがある、などといった否定的な意見も散見されているのが現状だ。

    早くも情報操作か? 突然の手のひら返し

     だが、事態は急変する。遺体の公開直後、UNAMが「遺体の年代測定だけで、皮膚と脳組織のサンンプルの起源についての結論はまだ下せない」と発表。あくまで行ったのは年代測定のみで、DNA検査は未実施である、と強調したのだ。筆者は、突然の手のひら返しこそ、どこからか“闇の手”が伸びて“情報操作”された印象を受けた。
     その後、疑惑に応えるかのようにマウサンが動く。同月18日のBBCの報道によると、前出のベニテス博士指導のもと、メキシコ人医師がジョセフィーナに対して次の3つの検査を実施したのだ。
    ①CTスキャン=断層撮影の検査により、2体の遺体の詳細な画像が得られた。
    ②X線スキャン=遺体の骨格構造を評価するために使用され、それが単一の骨格なのか、人工的に結合された複数の骨の集合体なのかを判別。最初の検査結果では、遺体には人為的な作成行為や操作の痕跡がないことが示されている。
    ③透視検査=特定の特性を調べることを目的とした検査。検査に携わったベニテス博士をはじめとする研究者たちは「ジョセフィーナ」は、かつて生物学的起源の生命体であり、妊娠していたと指摘している。

    続きは本誌(電子版)で。

    月刊ムーの特集記事を三上編集長が解説!

    並木伸一郎

    「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。

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