創造論と進化論を両立させる最終仮説!「古代宇宙飛行士説」という奥の手/新ID理論
創造論において”科学”と”神”を共存させる試行錯誤が育まれている。進化論と創造論をまたぐ「神の存在」——“古代の宇宙飛行士説”に踏み込むシリーズ最終回!
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我々の暮らす世界はコンピューターシミュレーションであるという「シミュレーション仮説」。支持者も少なくないこの仮説について、ある物理学者はキリスト教の聖書に記されていると訴える。
神は存在するのか――。敬虔なカトリック教徒には答えるまでもない愚問ということになりそうだが、人がサルから進化したことを示すダーウィンの進化生物学が科学的共通認識になっていることもあり、この問題は宙に浮いたままだ。
解決できそうもないと思える宗教と科学の相容れない問題に、意外な角度から光が当たっている。それは「シミュレーション仮説」である。
英ポーツマス大学の物理学准教授、メルビン・ボブソン氏は、宇宙全体が高度なコンピューターシミュレーションである可能性があり、その証拠は聖書の中にあると示唆している。
「聖書自体が、私たちがシミュレーションの中にいることを告げており、また誰がそれを行っているかも告げています。それはAI、つまり人工知能によって行われているのです」とボブソン氏は英紙「Daily Mail」に語る。
ボブソン氏は新約聖書の「ヨハネによる福音書」の冒頭の一節を引用する。
「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった」(ヨハネによる福音書)
この有名な一節の“言葉”とは、シミュレーションを制御する基礎となるコンピューターコードを指しているとボブソン氏は指摘する。
さらにボブソン氏は「言葉は神であった」とは、神がシミュレーションから切り離されているのではなく、シミュレーションの一部であることを意味すると訴える。つまり、シミュレーション全体を制御している神さえもコードに書き込まれた存在であるというのだ。
「シミュレーションを実行するコードと神は切り離されたものではなく、むしろそれ自体であり、おそらくAIなのです」(ボブソン氏)
1999年の大ヒット映画『マトリックス』ではキアヌ・リーブス演じる主人公、ネオがある決定的な選択の後に我々がシミュレートされた現実に生きていることを知り、ストーリーが展開していく。
もしも、この『マトリックス』のようにシミュレートされた仮想現実の中で生きていると感じている人がいるなら、ボブソン氏はそれは正しい感覚であるという。
「すべてのものは彼によって造られた。彼なしに造られたものは何もなかった」(ヨハネによる福音書)
このフレーズももまた、シミュレーション仮説を裏付けるものだとボブソン氏は示唆している。
「それは、言葉(つまりコード)を通してシミュレートされた宇宙を生み出した創造主(AI)を暗示しています。聖書に記述されている神による創造行為は、プログラミングとシミュレーションであることを示唆しています」(ボブソン氏)
ボブソン氏は昨年発刊の自著『Reality Reloaded: The Scientific Case for a Simulated Universe(現実の再装填:シミュレートされた宇宙の科学的根拠)』で自説を展開し、我々の現実を支配する物理法則はアルゴリズムであり、我々の具体的な経験は、非常に高度なシステムの計算プロセスによって生成されたものであると主張している。
「本当に注目すべきは、このような解釈が、AIの出現という現代の出来事と完全に一致していることとです。そして、これはまさに『マトリックス』に描かれていたことです」(ボブソン氏)
つまり神=創造主がAIであるとすれば、宗教と科学の矛盾は全面解決となるが、ボブソン氏は次のように語る。
「シミュレーション仮説を宗教的信仰と敵対するものと見なすのではなく、補完的視点を提供するものと考えましょう」(ボブソン氏)
そしてボブソン氏は、我々が高度な仮想現実世界の単なる登場人物にすぎないことを理解する手がかりがいくつかあると指摘している。
たとえば、光や音の伝わる速度に限界があるという事実は、それらがコンピューターのプロセッサの性能に依拠している可能性を示しているとのことだ。
また、宇宙を支配する物理法則もコンピューターのコードに似ており、物質を構成する素粒子はピクセルのようなものだとボブソン氏は説明する。
さらに花、蝶、雪の結晶に至るまで、自然界にはさまざまな対称性(シンメントリー)が見られるが、これはデジタルで構築された世界をレンダリングするための省電力技術だとボブソン氏は考えている。
シミュレーション仮説は2003年にオックスフォード大学教授で哲学者のニック・ボストロム氏が提唱して以来、テスラの創設者イーロン・マスク氏やアメリカの天体物理学者、ニール・ドグラース・タイソン氏など、多くの著名人からの支持を受けている。
2016年の会議でマスク氏は、私たちが「基本現実(base reality)」、つまりシミュレートされた宇宙ではない宇宙に住んでいる確率は「数十億分の一」だと言及して周囲を驚かせた。
「我思う、ゆえに我あり」とする我々の意識がこの世のリアリティにどこか疑問を感じるとすれば、本当にこの世は仮想現実であるのかもしれない。はたして、あなたにはこの世界が“ウソっぽく”感じられたことがあるだろうか。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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