2024年も史上最大のネッシー捜索計画「ザ・クエスト」実施決定! ついにNASAも協力か!?
今度こそ水棲UMA「ネッシー」捕獲に至る歴史的転換点となるか!? なんと、NASA(アメリカ航空宇宙局)に大規模探索事業への参加が要請された!
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ネス湖で「謎のコブ」を撮影した現地ライターが、物体の正体を探るべくリサーチャーのもとへ。はたして、「それ」は何だというのか?
筆者が2018年の夏に撮影したネス湖面の奇妙な「コブ」の写真をめぐり、マスメディアとソーシャルメディアでは、ネス湖UMA信者/肯定派と懐疑派、否定派の間で激しい論争が繰り広げられていたが、筆者と夫は歓迎されない侮辱的なコメントやトロール攻撃の的にならぬよう、これらの写真に関するソーシャルメディア投稿は一切控えていた。
その写真は伝説のネッシーハンター、スティーブ・フェルサム氏(英語を母国語とする夫=スコットランド人や知人=スコットランド人の発音を聞いて、Felthamを「フェルタム」とカタカナ表記してきたが、イングランド出身の本人の発音を聞くと「フェルサム」の方が近い。そこで、以降はフェルサムと表記することにする)が精査してくれている。
ネス湖のミステリーに魅了され、1991年の夏からネス湖畔ドアーズの浜辺にキャンピングカーを構えてネッシー探しに人生を捧げているフェルサム氏は、ネス湖の地理と特有の現象を知り尽くしている人物の1人だ。
彼は、「ネッシーか?」と騒がれる写真や動画がネス湖で撮影されたものか否かすぐに判定できるという。湖面の不思議な動きや物体の写真や動画を撮影した人々から検証と意見を求められることが頻繁にあるが、その多くはカワウソ、アザラシ、流木、航跡波(こうせきは)など、説明のつくものだそうだ。そして疑わしいと感じたものは徹底的に調査し、これまで何度もイカサマを暴いてきた。
そのフェルサム氏が33年(2024年現在で)というネッシーハンターのキャリアで遭遇したネス湖UMAの最も説得力のある証拠は、2020年9月30日にネス湖観光クルーズボートのオーナー、ロナルド・マッケンジー氏がソナーで捉えた謎の物体の画像。
10.7ノット(時速約20キロメートル)の速度でクルーズしていたマッケンジー氏の観光ボートが水深189メートルの地点に達したとき、ソナーが湖底近くに大きな「クロワッサンのような形状の物体」をキャッチした。長さは6メートルぐらいと思われる。ネス湖クルーズに40年の経験を持つマッケンジー氏だが、このようなものに出くわしたのは初めてのことだったという。
同氏はすぐさまソナー画面をスマホで撮影し、フェルサム氏に送信した。魚の群れだという意見もあるそうだが、ソナー画面に魚の群れを何度も見てきたマッケンジー氏とフェルサム氏は、そうではないと確信している。この深度でこれほどの大きさの一個体といえば、既知のものならアザラシぐらいだが、アザラシなら呼吸するために必ず水上に顔を出す。だがマッケンジー氏も彼のボートの乗客も、アザラシらしきものは目撃していない。この物体の正体は、現在も不明のままである。
この次にフェルサム氏を本気で驚かせたのが、筆者の2018年夏の写真だったのだ。
だが、フェルサム氏はネッシー探しを本業とする人物。ネス湖ミステリーに関心を持っていない中立的な立場の、科学・生物学の分野における見識者の意見も聞くべきではないだろうか。そう感じた筆者と夫は、スコットランド海洋科学協会の海洋生物学者にアプローチした。
筆者たちの要請に応じた海洋生物学者の分析結果は何と「スキューバダイバーの泡」だった。彼自身、経験豊かなスキューバダイバーだそうで、ネス湖に何度も潜りに行ったことがあり、筆者が写真を撮影した地点と同じような場所から同朋が潜っている様子を観察することもしばしあったという。
確かに、ネス湖のあのエリアには、地元のダイビングクラブのメンバーがときおり潜りに来る。海水で塩まみれになったダイビングスーツを淡水のネス湖で洗う作業も兼ねて潜るらしい。ただ、泥炭が流れ込むネス湖の水はよどんだ茶色で、数メートル潜れば暗黒の世界。透き通った水の中で泳ぐ美しい魚たちを観察するダイビングとは程遠い。
筆者一家はあの日あの場所に1時間以上いたのだが、ダイバーらしき人々や装備を一切見かけていない。通常、ネス湖に潜りに来るダイバーたちは、ドアーズの浜辺から入水し、20分程度水中で過ごすそうだ。しかしあの日、ダイバーがネス湖にエントリーする姿も、エグジットする姿も目撃していない。浜辺に装備らしきものもなかった。
湖面のあの動きは3分間ぐらい続いた後、消えてなくなった。あれがダイバーの泡だというなら、ダイバーたちは湖底に沈んだまま消え去ったのか? ドアーズの浜辺からダイバーたちを眺めることが何度もあったフェルサム氏も、この海洋生物学者の分析には納得がいかないという。
筆者が撮影した写真が実は71枚あったことが判明したとき、フェルサム氏は自分でこれらをつなぎ合わせ、この物体/生物の動きを可視化するために動画状にすることを試みた。だがそれは専門的なソフトウェアと技能を要する作業で、フェルサム氏の前には大きな壁が立ちはだかっていた。
そこへ助っ人を名乗り出たのは、英国のテレビやラジオ、ポッドキャストで活躍しているオーストラリア人司会者のダン・シュライバー氏。超常現象やUMAに強い関心を抱いているシュライバー氏にはその分野の著書もあり、親友でニュージーランド出身のハリウッド俳優リース・ダービー氏(『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』などに出演)と、同じくニュージーランド人の映画・ドキュメンタリープロデューサーのレオン・カークベック氏の3人で、超常現象やUMAについて真剣に分析し、楽しく語り合うポッドキャスト、「The Cryptid Factor」を15年前から配信している。
映像制作のプロであるカークベック氏が、これら71枚の静止画の真実性を損なうことなく巧みにつなぎ合わせて動画状にしてくれた。完成した動画について、彼ら3人組とフェルサム氏と筆者の5人で語りあう「The Cryptid Factor」のエピソードは、今年3月19日に公開され、英語圏メディアで再び話題となった。このエピソードの動画版はYouTubeで今でも視聴できる。
これらの写真を最初に目にしたとき、カークベック氏は、それぞれの写真の解像度が非常に高くて鮮明であり、メタデータも完全であることに関心したという。そしてまず、写し出されたものが既知のネス湖特有の水面現象なのかどうか見極めようと精査したが、見れば見るほど簡単に説明のつくものではないと実感したそうだ。
同氏は、背景にほぼ常に写っているブイと対岸のホテルをアンカーポイントにしてPhotoshopで重ね合わせてつなげ、一貫した背景を作成した後、画像のメタデータを基に動画化してその動きを可視化し、とりわけ奇妙なものにはクローズアップ画像も添えた。
こうして完成した動画を繰り返し再生して検証したカークベック氏は、この「コブ」のようなものは何らかの生物の一部であると考えている。背景のブイと比較すると、水面に見えているそれぞれの「コブ」は50センチメートル前後と推定されるが、水中にもっと大きな「本体」があると彼は見ている。
彼の意見では、これらがダイバーやカワウソだというなら、相当数が水面下にいないと写真に写っている規模の水面の擾乱(じゅうらん)は発生しない。ときおり水面に姿を現すなめらかで光沢のある「コブ」は何とも摩訶不思議で、我を忘れて長い間じっと見つめたという。
シュライバー氏もダービー氏も同意見で、「懐疑派でも信者でも、この動画を観たなら、きっと慄きで鳥肌が立つはず。この動画は、この世にはまだまだ解明すべきミステリーが存在することの証だ」とシュライバー氏はコメントしている。
実は筆者はつい最近、再びフェルサム氏の意見を聞くために、ドアーズの浜辺に陣取る彼のキャンピングカーを訪れた。
あのポッドキャストの公開の後、フェルサム氏はこれらの写真と動画版を知り合いのダイバー数名に見せたそうだが、彼ら全員が「ダイバーの泡ではない」と断言しているという。
問題の「コブ」の原因が俗世的なものだというなら、確かに最も有力な説明はダイバーの泡だろうが、何度じっくり検証しても、71枚の写真のいずれにもそれを決定付ける要素はない、とフェルサム氏は主張する。皆が納得する結論が出るには、まだまだ時間がかかりそうだ。
参考
https://www.johnogroat-journal.co.uk/news/compelling-new-evidence-that-loch-ness-monster-exists-214351/
https://www.nessiehunter.co.uk/massive-sonar-contact-30-9-20/
ケリー狩野智映
スコットランド在住フリーライター、翻訳者、コピーライター。海外書き人クラブ所属。
大阪府出身。海外在住歴30年。2020年より現夫の故郷スコットランド・ハイランド地方に居を構える。
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