異星人がテレビ放送をジャック! 「アシュタールのヴリロン」が人類に伝えた衝撃的メッセージとは?

文=オオタケン

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    1977年、イングランドの一部地域でテレビ放送波が何者かによってジャックされ、異星人からのメッセージが流れたというサザンテレビ放送中断事件。この事件の経緯とメッセージの詳細、そして信憑性の高い映像を紹介!

    多岐にわたる宇宙人とのコンタクト方法

    「SETI」という名を耳にしたことがある読者も多いはずだ。これは「地球外知的生命体探索(Search for Extra Terrestrial Intelligence)」の略称で、電波望遠鏡を使って地球外の文明が発する電波信号をとらえようという計画のことである。

     広い宇宙に存在するかもしれない知的生命体と電波を使って交信しようという考えは、1950年代末には存在した。それから60余年、人類は電波望遠鏡を宇宙空間に向け続けているが、宇宙人が発したと確認できる電波を捉えた例はない。

    画像は「SETI Institute」より引用

     しかし、巷にはさまざまな方法で宇宙人との交信に成功したという話がある。その手法はテレパシーから無線まで多岐にわたる。

     1960年代からスペインのUFO研究者が交信しているというウンモ星人(ユミット)のコンタクト手法は、手紙である。独特な文字やイラストを添えて送られてくる手紙は、彼らの人柄を感じさせ、風情がある。
     また、90年代には電話による宇宙人との交信をカセットテープに録音していると主張する日本人コンタクティも現れた。カゼッタ・F・岡と名乗るその老人は、バラエティ番組でたびたび取り上げられ、話題となった。
     他にも(宇宙人とは異なるかもしれないが)1940年代のアメリカで人気を博したSF作家のリチャード・シェイバーは、溶接機を介して地底人などからメッセージを受け取っていたという。

     いずれにしても、宇宙人たちはさまざまな方法を使い、我々との交信を図ってくるのだ。

    アシュタール銀河司令部の代表者ヴリロンという発信者

     1977年、最も意外な方法で宇宙人からの電波を受信した人たちがいる。イングランド南部、ハニントンを中心とした一部地域で、テレビ放送を介して宇宙人からのメッセージが届いたのだ。

    放送信号がハイジャックされたと考えられているハニントン送信塔 画像は「Wikipedia」より引用

     11月26日の夕方、独立テレビ局のサザンテレビジョンが放送していたニュース映像に、突如として自らを「アシュタール銀河司令部の代表者・ヴリロン」と名乗る音声が紛れてきた。人類が全ての悪魔的兵器を廃止して平和に過ごすか、あるいは銀河系から立ち去るかを選ぶのに残された時間は少ない、と訴えるスピーチだった。

     ヴリロンによる電波ジャックが起こる直前まで、アナウンサーがローデシア(現在のジンバブエ)での治安部隊と民族解放軍との衝突に関するニュース原稿を読んでいた。大きなブザー音の後、約6分にわたるヴリロンからのメッセージは、まるでアフリカでの紛争を伝える報道に意図的に被せられたかのようでもある。

     なお、放送は音声のみが妨害され、映像ではニュースが続いたという。その後、アニメ番組に放送が切り替わるのとほぼ同時に、音声は通常に戻った。これを見ていた多数の視聴者が不安に駆られ、テレビ局には問い合わせの電話が殺到。翌日曜日の新聞には事件の見出しが躍った。また、事件の一部始終は国際通信社UPIによってアメリカでも報じられた。

    事件当日のテレビ番組表(右列中部) 画像は「The Lost Media Wiki」より引用

    ヴリロンから人類へのメッセージ

     以下はテレビ放送で流れたヴリロンからのメッセージの一部抜粋である。

    「これは、アシュタール銀河司令部の代表であるヴリロンが、あなた方に語りかける声です。私たちは、あなた方の種族と世界の運命について警告するために来ました。
     新時代は、あなた方にとって大いなる平和と進化の時代となり得ます。ですが、それはあなた方の支配者が邪悪な力に気づいた場合のみです。チャンスは二度と来ないかもしれません。あなた方の持つ悪魔的な武器は、すべて排除しなければなりません。
     平和的に生きることを学んだ者だけが、霊的な進化のより高い領域へと進むことができるでしょう。あなた方は何が真実で、何が混乱や混沌、虚偽であるかを教えてくれる内なる声に敏感にならなければならない。
     これは我々の親愛なる友人たちに向けたメッセージです。私たちは、あなた方が成長していくのを長年見てきました。あなた方が、宇宙の至高の愛と真実に祝福されますように……」

     後の調査で、ハニントンにあるテレビ電波送信機が「相当な技術的知識を持つ」存在に乗っ取られたことが判明した。だが、犯人は47年たった今も不明のままだ。

     この事件は長い間、イギリス国内では都市伝説として流布されていた。事件そのものをでっち上げと考える人も多かったようだ。1977年当時、家庭用の録画機器はそれほど普及していなかったため、証拠となる動画や音声が見つからなかったのだ。現在、YouTubeにはこの事件のものとされる複数のビデオがアップロードされているが、全てフェイクだと判明している。だが、以下の動画の音声は本物の可能性が高いと考えられているようだ。

    動画内で描かれた、「アシュタールのヴリロン」のイメージ画像。

     この音声は、遅くとも2008年にはネット上にアップされていた。アナウンサーの声がだんだんと小さくなり、放送波がジャックされ、やがて前述のメッセージを読み上げる無気味な声に切り替わる。そして、音声が本来の放送に戻った時には、アニメ『ルーニー・テューンズ』の音楽が流れている。アナウンサーが電波ジャックについて報告する音声や、ニュースの内容まで確認できることから、事件について調べ続けていた研究家の間では、この録音の信憑性は高いと考えられている。

     ヴリロンとは、いったい何者だったのだろうか? 少なくとも、我々にとって敵対的な存在ではないことはわかる(アニメを楽しみにしていた子供にとっては敵だったかもしれないが)。メッセージで言及されているアシュタールとは、アメリカのUFO研究家ジョージ・ヴァン・タッセルが1950年代に交信したと発表した宇宙存在のことだ。タッセルは、イエス・キリストについて人類の進化を助けるために地球にやって来たアシュタールだと考えていた。彼らはテレパシーを使い、多くのコンタクティーやチャネラーと交信しているというが、より多くの人類にメッセージを送るために、当時最も影響力のあったテレビというメディアを利用したのだろうか?

     反戦、平和を訴える姿勢は当時のニューエイジ運動、ヒッピームーブメント、昨今のスピリチュアルとの繋がりを感じる部分で興味深い。時はベトナム戦争終戦から日も浅かった。アシュタールからのメッセージはイングランドの人々にとって、どのように響いたのだろうか? 現在の不穏な世界情勢を前に、再びヴリロンがテレビに現れる日が来るのかもしれない。そのときも、50年前と同じ平和的なメッセージであることを祈りたい。

    【参考】
    https://lostmediawiki.com/Southern_Television_broadcast_intrusion_(lost_real-time_footage_of_television_hijack;_1977)

    オオタケン

    イーグルリバー事件のパンケーキを自作したこともあるユーフォロジスト。2005年に発足したUFOサークル「Spファイル友の会」が年一回発行している同人誌『UFO手帖』の寄稿者。

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