75年前に目撃が途絶えたカナダのUMA「ピンク・アイ」の知られざる凶悪事件! 住民が今も怯える”川の怪物”

文=ブレント・スワンサー

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     各地の湖でたくさんの怪物の目撃情報があるように、川にもまた奇妙な生き物が徘徊している。世界的に見ると、(日本の河童伝説のような)川の怪物は湖の怪物に比べて報告されることは少ないが、どれも壮大で神秘的なものばかりだ。今回は、奇妙かつ非常に攻撃的で、正体も特定されていない川の怪物を紹介する。

    先住民に襲いかかった「ピンク・アイ」

     カナディアン・ロッキー山脈の麓、手つかずの原生林1287kmを蛇行するようにノースサスカチュワン川は流れている。交易路として、また、さまざまなアウトドア・アクティビティを楽しもうと全米から大勢の観光客が訪れる。しかし、この川には昔から奇妙な存在が潜んでいるという話がある。

    ノースサスカチュワン川 画像は「Wikipedia」より引用

     1939年4月、クリー族(ネイティブ・アメリカン)の首長「ウォーキング・ホース」が、ロッキー・マウンテン・ハウスの街の近くで荷馬車に乗って川を渡っていた時、非常に奇妙な体験をした。川の浅いところで、水中に何かがいるのが見え、覗き込むと、耳の代わりに角が生え、「ディナー・プレートのようなピンク色の目」をした大きな生き物がいた。これだけでも驚きだが、その生き物は彼の方に向かって泳ぎ始め、彼が岸に着くまで後をつけてきた。

     不思議に思ったウォーキング・ホースは馬車を降りて水面に近づくと、その奇妙な生き物をもう一度見ようとした。暗い水中を覗き込むと、それは水底からうねうねと音を立てて飛び出し、彼に突進してきた。

    イメージ画像:「Adobe Stock」

     この話が広まると、多くの人々も目撃談を語り始めた。象のような頭に角が生え、大きな口に鋭い歯、ピンク色の巨大な目をしていることから、やがて怪物は「ピンク・アイ」と呼ばれるようになった。そして、ほとんどの場合、遭遇した人々は恐ろしい体験をしていた。

    相次ぐ襲撃と恐怖体験談

     たとえば1942年7月22日、数人の少年が橋の下の小さな潟湖(ラグーン)で泳いでいたとき、「奇妙な形をした丸太」が水の中でゆらゆらと揺れているのを見た。彼らは、誰が石をその丸太に当てられるかを競うゲームを始めた。そして、石が当たった途端、丸太が水中でのたうち回り、少年たちの方を向いた。大きく開いた口には歯がはっきりと見えた。驚いた少年たちは水から這い上がり、一目散に逃げたが、その生き物はずっと少年たちの後を追いかけ、数回彼らに噛み付いた後、水の中に戻って姿を消したようだ。

     同じ年の暮れ、ピンク・アイは再び泳いでいる人々を恐怖に陥れた。今度はジミー・リチャードソンという名の若者だ。彼が友人と川に入っていると、灰色がかった黒い肌、骨ばった大きな頭、赤い目をした巨大な怪物が突進してきたと主張した。リチャードソンによると、その攻撃的な怪物は彼らを岸まで追いかけ、彼らが恐怖の目で見つめている間、のた打ち回り、顎を鳴らし続けたという。怪物はやがて諦め、泳いで消えた。

    イメージ画像:「Adobe Stock」

     そして同じ頃、この地域の農家は、羊などの家畜が跡形もなく姿を消していることに気づき始めた。すでにピンク・アイの話が広まっていたことから、この怪物の仕業だと考える者も多く、怪物を征伐するための捜索隊が結成された。川辺で動物の死骸を発見するのに時間はかからなかった。ある者は、捜索隊が駆け寄ると、大きな灰色の生き物の後頭部らしきものが水中へと滑り落ちていくのを目撃したと報告している。しかし、結局その生物は捕まることはなく、人々の恐怖は続いた。

    怪物の”子供”を目撃したパイロット

     1946年10月18日、農夫のロバート・フォーブスが自分の土地を見回りしていると、体長20フィート(約6メートル)近くあり、赤い色の目、側頭部に角があり、鋭い歯がたくさん生えた大きな口を持つ灰色の生き物が、子牛を咥えて川の中に引きずり込もうとしている光景を目撃した。怯えた農夫は石を投げつけたが、全く意味はなく、怪物は子牛の顎を何度も何度も噛み砕き、やがて死骸を川底へと引きずり込んだ。

     その翌年末、スコットランド王立空軍で訓練中のパイロットがこの地を訪れていた。好奇心旺盛なパイロットは、大きな棒で川にあった杭を突いた。そのとき、大きな頭が水面から立ち上がり、岸から背を向けて川へと戻っていった。その時、小さいがよく似た姿をした生き物が現れ、大きな頭を追って行った。水先案内人は後に、小さい方の生き物は子供だったに違いないと結論づけることになる。これ以降、ピンク・アイの目撃情報は途絶えた。

    ロッキー・マウンテン・ハウスの町並み 画像は「Wikipedia」より引用

     これらの証言をどう解釈すべきか、難しいところだ。海から川に迷い込んだ生物の一種なのだろうか? 本当に未知の獣だったのだろうか? チョウザメのような既知の動物の誤認だったのか? 集団ヒステリーによるデマだったのか? はっきりしたことはわからないが、ピンク・アイの伝説は今日に至るまでこの地域にたしかに浸透している。

    Brent Swancer(ブレント・スワンサー)

    豪ミステリーサイト「Mysterious Universe」をはじめ数々の海外メディアに寄稿する世界的ライター。人気YouTubeチャンネルの脚本、米国の有名ラジオ番組「Coast to Coast」への出演など、多方面で活躍。あらゆる“普通ではない”事象について調査・執筆・ディスカッションを重ねる情熱と好奇心を持ちあわせる。日本在住25年。『ムー』への寄稿は日本メディアで初となる。

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