陰暦11月の最初の満月の夜、火の玉が上がる!「パヤ・ナークの火球」の謎/遠野そら・MYSTERYPRESS
タイとラオス国境のメコン川流域で、年に一度のある晩に「火球」が天へ昇っていく。蛇神パヤ・ナークの火球と呼ばれる神秘現象は、メコン川に棲む巨大生物とも関係があるのだという。2022年のその日は10月10
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装着すれば、だれでも高僧のような悟りの境地へ!? 懐かしの意識変性マシン「メガブレイン」が大幅にバージョンアップして甦った。着用者を半ば強制的に瞑想状態へ誘導する「カシーナ」は、人工涅槃への直行エレベーターだった!
光と音のバイブレーションが意識を変える! 1990年代に一世を風靡した変性意識マシン(シンクロ・エナジャイザー)のひとつ、『メガブレイン』をご存じの方も多いだろう。2005年に惜しくも発売休止となった同商品が、現在、デザインも性能もブラッシュアップした『KASINA』(カシーナ)として再登場している。
メガブレインもカシーナも、点滅するライトが内側に埋め込まれたゴーグルを着け、ヘッドフォンを耳に当てて使用する点では同じだ。実際に着けてみなければ、チカチカ光るだけのこの機械は何だと思うだけだろう。こんなシンプルな仕組みで人間の意識が変わるなんて、ちょっと信じられない。
ポケモンショックを覚えているだろうか?
1997年12月16日、テレビ東京系で放映されていたアニメ『ポケットモンスター』を見ていた子供たちが発作を起こした事件だ。発作を起こした子供は全国で約750人、そのうち135人が入院したという。作中、戦闘シーンで光がストロボのように点滅するシーンがあった。子供たちはそれを見て発作を起こした。
点滅する光に意識が誘導され、脳波に異常が起きて発作を起こす。これを光過敏性発作という。特に子供は番組に集中しているため、起こりやすい。一般的な症状には吐き気や頭痛、けいれんなどがある。子供に限らず、大人でも発症することがあり、最近はパチンコでめくるめくイルミネーションに見入った客が発作を起こした例もある。
富山医科薬科大学医学部小児科・小西徹らの研究では、光過敏性発作は明滅が9~15ヘルツで起きやすく、それより高くても低くても起きる頻度はずっと下がるらしい。つまり毎秒9~15回の点滅だ。脳波は0.5ヘルツから30ヘルツの範囲で発生しているが、周波数で大雑把に分けられている。9~15ヘルツはほぼアルファ波(8~12ヘルツ)の周波数に当てはまる。
瞑想のように、目を閉じているが頭は起きている半覚醒状態のときにアルファ波が出ることがよく知られている。脳波は脳神経の活動の総体なので、何かを見るなり動くなりの活動をすれば、神経活動が活発になってはっきりとした波形にならない。アルファ波が出ているときは脳に外界からの情報が入ってこず、神経が刺激を受けていないことを示している。しかし眠ってしまうと脳波の周波数帯がベータ波へと移行するので、アルファ波がくっきりと捉えられるときは脳だけが起きている状態だといえる。
ポケモンショックの原因は、光の明滅で脳が強制的にアルファ波状態に入ったために、体が混乱した結果らしい。
山口大学・西藤聖二らの研究「赤青交互閃光刺激に対するアルファ波の位相同期現象」によると、21~31歳の健常者30名を対象に、40秒間、10ヘルツで明滅する白・赤・青の3通りの光で刺激したところ、色の点滅に応じて脳内でアルファ波が発生、その変化に合わせてアルファ波の出る部位が変化したのだそうだ。面白いことに、単色の光の明滅では、こうした現象は起こらなかった。
アルファ波は光の明滅で作り出せるのだ。
光によって脳波を一定の波長へと誘導する……カシーナのようなシンクロ・エナジャイザーの原理はこれである。しかも単にアルファ波を出すだけではなく、点滅のリズムや色を変えることで、アルファ波の発生する部位をコントロールすることさえできるのだ。
光の点滅による脳波誘導は、パイオニアや三洋電機、松下電工など名だたる家電メーカーが脳波誘導装置の名称で特許を出願している。
しかし、危険性はないのか? ポケモンショックのようなことは起きないのか?
身体が十分にリラックスしていれば、ポケモンショックのようにパニックになることはないだろう。ポケモンショックの場合、テレビを見ていたのだから当たり前だが、子供たちは目を開けていた。目を開けている状態では神経が活発に動くために、脳波はアルファ波にならない。出ないはずの脳波に、光の点滅によって神経が無理に同期させられたことが発作につながった。
目を閉じて体をリラックスさせれば、アルファ波は出る。ただその状態を意識的に維持することは難しい。座禅を組めばわかるが、僧侶のように何時間も座りつづけることなど、ちょっと真似したぐらいでできるものではない。耳から音は入ってくるし、体はしびれる。何より飽きる。
カシーナは脳波誘導を行うことで、そんな瞑想のハードルを一気に下げる。どんな凡人でも、カシーナがあれば音楽を聞くように手軽に瞑想ができる。いわば悟りサポートマシンがカシーナなのである。
光以外にカシーナは音も利用する。
松下電工は低周波を使った脳波誘導装置にも特許を出願している(特開2005-087572)。「脳波の周波数帯域に近似した周波数特性を有する刺激を使用者に付与することによって、使用者の脳波を誘導することが可能」であることが知られているとし、可聴周波数以下の16から20ヘルツ以下の低周波数でスピーカーを鳴らせば、耳には聞こえないが、「自覚的な刺激を与えることなく、心身の安らぎや活性化を生じさせることができる」という。
たとえば「脳波よりもやや高い超低音波」を流せば、脳は覚醒し、逆に脳波よりもやや低い超低音波で刺激すると、脳波は「沈静化に向けて誘導され、リラックスや睡眠状態へ移行」するのだ。
音の波長に脳波が同期するという説がある。周期の引き込み現象が脳と音の間にも成り立つという説で、賛否両論あるが、松下電工の音による脳波誘導はこの説に沿っている。脳波と一致した超低周波を聞かせることで、「脳波の周波数を誘導する」のだ。
2013年、理化学研究所・脳科学研究推進室は会話のリズムが合う相手とは脳波も合うことを発見した。ふたりでアルファベットを順番にいいあい(被験者が「A」と発声した後、相手は「B」と発声し、被験者は続けて「C」と発声)、そのときの脳波を調べた。すると発話リズムが同調するときに脳波リズムも同調し、特にアルファ波を含む6から12ヘルツの脳波が増幅し同調することがわかったのだ。
自然音の中でも、滝の水音や葉擦れなどの中に含まれる20キロヘルツ以上の超高周波数音を聞くと、アルファ波の発生する領域が増えるという研究はある(富士山科学研究所「自然環境のもたらす保健休養上の効用に関する研究」)。
脳波は音に影響され、周波数を変える。それには引き込み現象や可聴域外の超低周波や超高周波が関係している。
カシーナでは誘導する脳波に合わせた周波数の音を流し、さらにバイノーラルという、人間の耳の位置に録音マイクをセットし、立体的に音を構成した音楽を利用して、より没入感を増している。
カシーナは本体とゴーグル、イヤホンで構成される。白一色のデザインもスクロールホイールによる操作もアップルの音楽プレイヤーiPodにそっくりだ。ただしiPodよりもはるかに大きく、昔のカセットウォークマンほどのサイズがある。
ゴーグルとイヤホンを本体につなぐ。本体上部のスイッチを押すとディスプレイにコンテンツが表示されるので、セッションを選択する。基本のセッション(以下の5種)は誘導する脳波の周波数と全体の構成によって分けられている。
・Accelerate(加速)6セッション……仕事や勉強、スポーツに最高のパフォーマンスを発揮したいとき
・Meditate(瞑想)8セッション……瞑想やリラクゼーション向け
・Mind Art(脳内芸術)14セッション……視覚の変化を楽しむ
・Night Voyage(夜の旅路)6セッション……眠る前にリラックスし、明晰夢を見たいとき
・Rejuvenate(復活)7セッション……疲れた頭に効く、元気を引き出すセッション
・Trance(トランス)5セッション……変性意識状態を生み出す、まさに電子のドラッグ
いずれかを選択すると10秒後にセッションが始まるので、その間にゴーグルを着ける。LEDは左右にそれぞれ青・緑・赤のLEDが計6個付いていて、それが点滅する。
とりあえずTranceの「Alphabet」をやってみた。イルカが出てきそうな電子音楽を聞きながら、緑と青に交互に入れ替わる光を、目を閉じたまま見つめる。ゆるく目を閉じ、ボーッとしていると、光がいろいろな模様を作りだす。半分眠っていたのだろう、そのうち、黒い太陽のような模様が大きくなったり小さくなったりしながら視界を上下しはじめた。
うまく使うにはコツがいることがわかってきた。寝てしまわないように背筋を伸ばし、ゴーグルが目に密着するように顔は正面かやや上に向ける。足こそ組まないが、座禅の姿勢と同じだ。
さらに、明晰夢が見たかったので、一週間、寝る前にNight Voyageの「Dream」をかけて寝た。
「Dream」では、テレビが終わった後のホワイトノイズのようなうねりとブーンブーンという振動が続く。点滅はごくゆるやかでそのまま眠ってしまいそうだ。目の中で白い光が蜘蛛の巣のように広がったり縮んだりする様子を楽しく見ていたら、突然、赤い光ともに叩きつけるようなビートが響き、驚いた。このセッションは眠りに誘導しておいて、途中で叩き起こすことを繰り返し、半覚せい状態に持って行くらしい。
睡眠不足が続くと、起きていても夢の中のように変なものが見えるが、やがてそのような不思議な感じに意識が変わってきた。瞼の裏の光が『2001年宇宙の旅』のスターゲートのシーンのように高速で流れ、とても面白い。意識が夢と現実を行き来して途切れ途切れになり脳の中がコマ落ちしているようだ。
私の見たものは明晰夢ではなさそうだが、終わると気持ちがゆったりするのは事実。気分転換にタバコを吸うよりも、カシーナの5分はよほど気持ちをリラックスさせてくれるだろう。
ポータブル瞑想体験マシン KASINA(カシーナ)
https://www.hachiman.com/shopdetail/000000000001/ct140/
視覚、聴覚、そして低周波による体感で着用者を脳の芯から瞑想状態へ連れていく。充電式で、コントローラとメガネだけで持ち出し可能。電車内でもカフェでも好きな場所で瞑想できる。本体価格4万8000円。製造:米マインドプレイス社、販売:八幡書店(日本正規ディストリビューター)。
(ムー 2015年12月号記事を再編集)
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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