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アラスカの魔の三角地帯「アラスカ」の地下に眠るダークピラミッドの謎を追う。
フロリダ半島の先端とプエルトリコ、バミューダ諸島を結ぶことで浮かびあがる三角地帯「バミューダ・トライアングル」は、古来より船舶や航空機、ときに乗員だけが謎の消失を遂げる魔の海域として知られてきた。2015年5月16日には、90年前に行方不明となった蒸気貨物船「コトパクシ号」が突如として帰還したと一部で報じられたが、100年以上前から、100を超える船舶や航空機と1000を超える人間を呑みこんだ伝説は今なお生きている。
約90年前にバミューダ・トライアングルで行方不明となったという蒸気貨物船「コトパクシ号」。2015年5月に、キューバの海岸で発見された。
謎の消失ゾーンは“魔の三角地帯”とも称されるが、類する異常地帯は他にもある。
たとえば、千葉県野島崎、小笠原諸島、グアム諸島を結ぶ三角形の海域は「ドラゴン・トライアングル」と呼ばれ、調査船や航空機の遭難が多発している。また、ブラジルのリオデジャネイロ中心部には、高層ビルを結んだ三角地帯で、車両や金品が日中晴天下でも忽然と消失する「ブラジルのバミューダ・トライアングル」がある。だが、近年もっとも注目されているのはバミューダの北西に位置する「アラスカ・トライアングル」だろう。
アラスカ・トライアングルが注目されるきっかけとなったのは、1972年10月に発生した失踪事件だ。当時の多数派国会議員のリーダー、ヘイル・ボッグズやアラスカ議会のニック・ベジヒ議員たちを乗せたプライベートジェットがアンカレジからジュノーに向かう途中で消息を絶ったのだ。1か月以上にわたり、50機の民間航空機と40機の軍用機、何ダースもの船舶が約1万平方キロに及ぶ捜索を展開したが、飛行機の破片ひとつ見つからなかった。
その後、この三角地帯では約50年の間に2万人以上が謎の失踪を遂げているといい、バミューダ以上に危険な場所と目されている。だが、驚くのはまだ早い。なんと、この怪異現象には、地中に眠るピラミッドが関係している可能性があるのだ。
アラスカの凍土の下にピラミッドが眠っている!?
信じがたいかもしれないが、これは紛れもない事実だ。なぜならば、それを裏づける証言や証拠がいくつも獲得されているからだ。
アラスカ・トライアングルを示した地図(©Google.inc)。
アラスカでピラミッドの存在が取り沙汰されるようになったのは1992年のこと。中国が強行した地下核実験による地震波が世界中を駆け巡ったとき、これを活用して地質学者や地震学者が地殻の特性を検証。その際、アラスカ西部に位置するノース・サウンドとマッキンリー山の中間地点の地下に、四角い異常構造物が存在することが判明したのだ。
地上からは捕捉しがたいがゆえに「ダークピラミッド」と称されるようになった異常構造物が発見されたのは、マッキンリー山の南西約80キロ地点。グーグルアース上でも緯度63度17分51・40秒、経度152度31分24・49秒地点で、平坦な地形の周囲とは明かに異なる四角形の地形が確認できる。
周辺には植物が自生し、季節によって彩りも変化するが、四角い異常地形が変化することはない。地上に構造物がまったくないにもかかわらずこの地形ができたのは、周辺の地質と異なる“何か”=ピラミッドが地下に存在し、地表の植生に影響を与えたためだと考えられる。
実際に、地下のピラミッドを見たという人物もいる。アメリカ在住のジャーナリスト、リンダ・ハウは、2012年12月、自身のサイトで異常構造に関する調査報告を公表。実際にピラミッドを目の当たりにしたという人物の息子から得た証言を公開している。
ウェスタン・エレクトリック社に勤める匿名の男性によれば、彼の父親は1959〜1961年にかけて、謎めいたこの地で働いていたという。父親は米海軍所属のエンジニアで、“地下に存在する巨大エネルギー”にかかわる特別プロジェクトに従事していた。当地には地下へ続く長いシャフトエレベーターがあり、その先に鎮座するピラミッド状の構造物は強力なパワーを発生していたという。
父親が彼に詳細を語ることはなかったようだが、アメリカ政府がこの未知なるパワーの秘密を隠すためにピラミッド自体の存在を封印し、関係者にも機密事項とさせていた可能性は高い。
だが、どんなにアメリカが隠蔽しようと、地下に眠るピラミッドの存在は公然の秘密となりつつある。なぜなら、2011年5月、英放送局のBBCによって、ピラミッドの存在を示唆する赤外線衛星写真が公開されているのだ。この写真からは、17のピラミッド形構造と3000もの集落らしき形跡が確認された。そればかりではない。ロシア政府内では、ダークピラミッドに関する報告書が秘密裏に回覧されていたのだ。
ロシアに詳しい情報筋によれば、ロシア空軍航空宇宙防衛作戦戦略コマンド(VKO)が作成し、クレムリンに提出された2012年12月10日付の報告書に「アメリカ政府はアラスカで核実験を実施することで、ピラミッドの存在を隠蔽しようと画策している」という主旨の一文が記されていたという。
ここで指摘される“核実験”とは、米加国境付近にあるユーコン・チャーリー・リバース国立保護区で2012年9月27日に起こった謎の大爆発、その3か月後の12月5日に行われた未臨界核実験を指す。
9月の大爆発の際には、地元新聞によって蒸気を発する小さな火口クレーターに写りこんだ航空写真がリークされたが、政府は当然のごとく沈黙を貫いた。だが、北極にあるロシアの地震観測施設は爆発痕下にあるピラミッド状の構造物を見逃さなかった。そして、3か月後に行われた未臨界核実験でも同様に異常構造を補足していたのだ。もしかしたらVKOは、他にもさまざまな情報を得ていて、ふたつの核実験で露呈したピラミッドの存在によって、アメリカ側の狙いを確信したのかもしれない。
いずれにしても奇妙なのが、12月の未臨界核実験については、翌年1月26日、アメリカ国家核安全保障局の公式ウェブサイト上で、「核実験全面禁止条約(CTBT)」採択後、初めての地下核実験を実行したと公表していることだ。1996年、国連総会で採択されたCTBTでは、地下を含む地球上の全領域、及び大気圏内外といったあらゆる空間で核爆発実験が禁止されている。とりわけ、アメリカが行った未臨界核実験は厳しい批判にさらされる。
ただし、アメリカはCTBTに署名しておらず、自国の核施設に対する査察をいっさい許さない姿勢を貫いている。よって、彼らが未臨界核実験を行ったとしても特定することは困難だ。それでも未臨界核実験の実施を公表したのは、世の注目を核実験へ向けることで、ダークピラミッドを秘匿しようとしたのだろう。
リンダ・ハウ。ミューティレーション事件を主にアメリカの超常事件を追っている。
リンダ・ハウが別の証言者である元空軍中佐から得た情報によれば、当地から112キロ地点には不自然なほど立派な滑走路を備えたフェアウェル航空基地があるという。1942年に建設された同基地は、現在は運用されていないが、ピラミッド発見当時は前進基地として機能していたのかもしれない。だとすれば、ピラミッドは70年以上も秘匿されていたことになる。だが、単なる古代遺跡だとしたら、これほど歳月をかけても満足のいく調査結果を得られないのは不自然だ。むしろ、公表できない理由があると考えるのが妥当だろう。
これまでの経緯を鑑みれば、秘匿される理由はひとつしかない。ピラミッドが有する未知のパワーを隠蔽したいに違いない。はたして、その“力”とはどんなものなのだろうか?
マッキンリー山で行方不明になった航空機を捜索するセスナ。
1930年代から、ピラミッド形の物体には不思議な力「ピラミッドパワー」が宿っているとされてきたが、科学的根拠はなく、現段階では疑似科学の領域を出ない。ダークピラミッドのパワーを考察するのであれば、アラスカ・トライアングルとの関係性を見ていくことが近道だろう。
アラスカ・トライアングル内に存在する広大な森林。今日も行方不明者が後を絶たない。
この一帯では明らかな磁気異常が認められ、コンパスが本来の方角から30度ずれることもある。幸運にも帰還することができた救出隊のメンバーの証言によれば、音響機器から酷い雑音がしたり、めまいや見当識障害を起こすこともあるからだ。
本誌読者であれば、これがバミューダ・トライアングルで報告される事例と近しいことに気づくだろう。それもそのはず、バミューダの海底にも、ピラミッドが存在するといわれているのだ。やはり、ピラミッドと三角形地帯の怪異には深い関連があるに違いない。
バミューダ・トライアングルの海底に存在するというピラミッド。不可解な消滅事件の原因なのか。
バミューダ・トライアングルにおける消失事件の原因については、ブラックホールやワームホールが介在するという主張や海底に埋蔵されるメタンハイドレートが原因だと考える学説、冷気の塊が引き起こすマイクロバーストを原因とする仮説などが唱えられてきたが、いずれも怪異のすべてを説明するには至らなかった。それゆえ、海底ピラミッドの存在が、謎を解く鍵として注目を集めているのだ。その正体は明らかになっていないが、太古の磁気エネルギー発生装置で、地球の“パワーグリッド”の役目をはたしていたと考えられている。
もし、アラスカのダークピラミッドも同様の機能を有する超古代遺物だとしたらどうだろうか? 北アメリカに巨大ピラミッドを擁する文明の歴史はないが、アトランティス大陸は北極圏にあったという説がある。バミューダとアラスカのピラミッドがその残滓だとしたら……。だが、その存在が秘匿されている現状では、これ以上のことはわからない。残念ながら、ピラミッドと魔の三角地帯の解明にはまだまだ時間が必要なようだ。
2012年9月27日にユーコン・チャーリー・リバース国立保護区で行われた核実験の痕跡。
並木伸一郎
「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。
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