中米の吸血UMAチュパカブラの正体と「4つの異なるタイプ」考察/仲田しんじ

文=仲田しんじ

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    分類と定義が不可能な謎の生物、UMA(未確認生物)。その中でも家禽を襲いその生き血を吸い尽くす最凶の存在「チュパカブラ」の目撃報告を4つのタイプに分けて考察する。

    家畜の血を吸う二足歩行の怪獣=プエルトリコ型

     1995年3月、プエルトリコ中央部の山間の町で、家畜のヤギをはじめとする多くの動物が血を吸われた挙句に殺されているのが発見され、地元住民たちを恐怖に陥れた。
     殺されたヤギの首筋には奇妙な傷跡があり、死体には血液が残っていなかった。いったい何者の仕業なのか。この一件から、スペイン語で「ヤギを吸う」という意味の「チュパカブラ」という名前が“犯人”の呼称となった。
     この“吸血鬼”は野放し状態であり、その後も被害は各地で報告されて地元メディアもセンセーショナルに報道を続けたが、その正体についての手がかりは杳としてつかめなかった。

     1995年8月、プエルトリコの北東海岸に近いカノバナス在住のマデリン・トレンティーノという女性がチュパカブラを目撃したと声をあげ、ジャーナリストや研究者に証言を行った。
     彼女によればチュパカブラは身長約1メートルの小型のカンガルーのような2足歩行の生物で、大きな黒い目しており両手には骨ばった長い指があり、長い腕と脚を持ち、背中には羽のようなものがあり、飛び跳ねながら素早く走ったという。

    画像は「Pixabay」より

     また彼女の家業で雇われている少年は、獣を間近で見たと主張し、背中の羽のように見える部分は実際には縦に並んだ鋭いトゲであると説明した。少年はまた獣の口には凶暴な牙が生え揃っていたと言及した。

     この2人の証言から、謎の“吸血鬼”であったチュパカブラがどのような存在であるのか、おぼろげながらではあるものの人々の間でイメージが共有されることになったのだ。

    異形のコヨーテ? ブルードッグ=テキサス型

     米テキサス州サンアントニオの北東約27キロにあるエルメンドルフの町の牧場で、2004年の初めに50羽のニワトリが正体不明の捕食者に襲われる被害が起きた。

     奇妙なことにニワトリの死骸は首に傷があるだけで、ほかには何の負傷もなかった。ニワトリは血を吸われて死んだのである。

     被害を受けた牧場主は番犬を配して次の被害に備えることにした。ある夜、番犬がけたたましく吠えて遂に“犯人”の姿が目撃されることになった。すぐに起きて駆けつけた牧場主は番犬に追われている大型犬かコヨーテのような生物を確認したのだ。しかし謎の生物の走行スピードはきわめて速く、番犬を振り切ってすぐに見えなくなってしまった。これはチュパカブラなのだろうか。

     その後も立て続けに2度この謎の生物の襲撃があり、対策を考えた牧場主はある夜、ライフルを片手に牧場で一晩過ごすことにしたのだった。

     その試みは功を奏し、夜明けにやってきた謎の生物に気づかれないように慎重に近づいた牧場主はライフルの銃口を向けて引き金を引き、遂に謎の生物を仕留めることに成功したのだ。

     いったいどんな化け物だったのかと絶命した生物に牧場主が近づいてみたところ、少しばかり拍子抜けすることになる。

     やせ細った中型犬のような姿で、体重はせいぜ10キロほどしかないように見えた。背骨に沿ってわずかにたてがみのような毛があるのを除き、体毛はなかった。むき出しになっている肌が青みがかった色をしていた。

     予想に反して貧弱な姿をしていた謎の生物だったが、口から覗く歯はコヨーテのものよりもはるかに大きく鋭いものであった。この恐ろしい口でニワトリの血液を存分に吸い尽くしていたのだ。牧場主は念のため死体にさらに2発の銃弾を撃ち込んだのだった。

     牧場主はこの謎の生物の死体を何人かに見せたが誰もその正体を説明することができず、仕方なく写真を数枚撮ってから牧場の片隅に埋めたのだった。

    「San Antonio Current」の記事より

     その後しばらく経ってからこの写真がネット上で話題になり、南米からテキサスにやってきたチュパカブラではないかとの噂がかけめぐることになったのだ。

     また肌が青いことから1990年代からプエルトリコから中南米、そして同じく米テキサス州でも目撃されている謎の青い犬「ブルードッグ」ではないかとの指摘もある。

    ユーラシア大陸へ進出した実験生物?=ロシア型

     2006年4月、ロシア紙「プラウダ」は、チュパカブラが旧ソ連の中心部に進出したことを示唆する記事を掲載した。

     報道によると地元の農家の32羽の七面鳥が何者かによって殺害されたのだが、ほとんど無傷の鳥の死体からは完全に血液が失われていたのである。

     さらにその後、近隣の集落や村で飼われているヒツジとヤギにも同様の被害が相次ぎ、“犯人”を目撃した農夫によればその謎の生物は後ろ足で立ち上がった巨大な犬のように見え、カンガルーのように跳ねて素早く逃げて行ったという。これはチュパカブラなのだろうか。その後も散発的にこの種の被害の報告が続いた。

    画像は「Pixabay」より

     2012年8月、旧ソ連圏であったウクライナで謎の生物の出現が相次ぎ、目撃証言によればそれはイヌ科のようだが、犬よりも脚に比べて腕が細く、無毛で、口からは鋭く大きな牙が覗いていた。

     イギリスの「デイリー・メール」紙は「それは放射線によって毒殺された『変異体』のキツネである可能性があり、また別の理論では化学的または生物学的な動物実験を行っているソビエトの生物兵器開発工場に由来するハイブリッド種である可能性がある」という主張を紹介した。

     ウクライナのザポリージャ国立大学動物学博物館のアレクサンダー・コロティア氏は「私の意見では、それはハイブリッド動物か突然変異体である可能性が最も高いです」とコメントしている。ロシアのチュパカブラは人工的に作り出されたハイブリッド生物なのだろうか。

    悪魔のような風貌の怪物=チリ型

     2003年7月23日の夜、チリのサンペドロ・デ・アタカマで3人の少年が屋敷の近くにやってきた恐ろしい謎の生物を目撃した。

     それは直立したヒューマノイドで、身長は150センチほどで頭にはトサカのようなものがあり、口元は犬のように前方に突き出ていた。背中にはコウモリのような大きな翼が広がっており、足のつま先は鉤爪になっていた。少年たちは恐怖におののきすぐに家の奥へと戻っていった。

     この数日前にもチリ・パラルで謎の動物のペアが目撃されており、目撃者は「彼らはどちらも犬の顔をしており、翼を持っていました」と話し、空を飛ぶその謎の生物の攻撃を受けて運河に飛び込まざるを得なかったと話している。

     その約1カ月後、チリのパンパ地域をライブしていた家族とカップルが、上空を飛行する2匹の奇妙な生物を目撃した。

     家族によればそれは「犬の顔をしたカンガルー」かあるいは「ガーゴイル」としか言いようがないものであったということだ。

    画像は「Pixabay」より

     チュパカブラには空を飛ぶタイプもあるというこになるのだろうか。そのケースでは謎の飛行UMA「モスマン」との関連も疑われてくるかもしれない。

     この4タイプのチュパカブラを同じUMAと見なしてよいものかどうかは今後の議論にもなりそうだが、そもそも未確認生物を厳密に分類しようとすること自体がナンセンスかもしれない。今後もチュパカブラに類するUMAの目撃報告に注目していきたい。

    【参考】
    https://mysteriousuniverse.org/2022/11/The-Chupacabra-Could-There-be-FOUR-Different-Types-/

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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