頭の大きな古代人類「ホモ・ユルエンシス」の謎! 人類史を塗り替える新発見か
太古の東アジアに、これまで知られていなかった人類種が生息していた――。12万年前に絶滅した彼らの特徴は、異様に大きな頭であった。
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台湾の先住民族のあいだでいい伝えられていた「小さい人」。 その実在を示唆する可能性のある人骨が、洞窟で発見されていた!
2022年10月、オーストラリア、日本、台湾、ベトナムの共同研究チームが、台湾頭部に位置する成功鎮小馬石窟の洞窟から発見された人骨を、今から約6千年前のものであると発表、非常に小柄な女性のものであったことを明らかにした。胸骨やその他の部位は損傷が激しく正確な分析はできていないが、頭蓋骨や大腿骨の大きさから身長は約139センチ、膝に頭を押しつけ、しゃがんだ状態で埋葬されたと考えられている。
研究チームによると、これは台湾本島で出土した最古の人骨となり、先住民族入植以前からこの地に謎の民族が存在していた証拠になるとしている。発見場所の小馬(シャオマ)から「シャオマ・レディ」と名付けられ、さらなる分析が進められているが、特に注目されているはその身長である。DNA分析及びPCA分析の結果、シャオマ・レディはフィリピンやインド・アンダマン諸島のネグリト族との親和性が確認されたことから、台湾に古くから伝わる伝説の部族との関係性について注目を集めているのだ。
ネグリト族とは、スペイン語で「小さな黒人」を意味する。成人男性の平均身長は150センチ未満と小柄で、肌は浅黒く、巻き毛が特徴のマレー系民族以前の先住民族である。そして台湾の原住民族に代々伝わる伝承にも、同じような部族が頻繁に登場しているのだ。
それは、「その昔、山には不思議な力を持つ小柄な人々が暮らしていた。肌は浅黒く、髪は縮れ毛。人々の知らない言葉を話し、豊富な知識を持っていた」というもの。台湾には16の先住民族が居住しているが、離島で暮らすタオ族を除き15民族に同じような伝承が伝えられているのだ。さまざまな知識を享受し、共に暮らしていたサアロア族や、医術や農耕技術の他、彼らの歌や踊りを伝授されたサイシャット族、さらには彼らと結婚し子孫を残したというパイワン族など、小柄な部族にまつわる伝承は台湾中に点在しており、彼らを祀る祭りや儀式は今なお受け継がれている。
なぜ、言葉や文化が違う先住民族の間に同じような伝承があるのか。研究チームによると、その答えがこの「シャオマ・レディ」にあるという。シャオマ・レディは台湾に古くから伝わる伝説の部族の存在を裏付ける証拠であるとし、伝承は史実だと主張しているのだ。
もちろんまだ研究の範囲ではあるが、骨が発見された成功鎮に居住する「アミ族」を始め、周辺の「ブヌン族」「ツォウ族」にもやはり小柄な人物にまつわる伝承が存在するのだ。その信憑性は無視できないだろう。
特に興味深いのは小柄な部族について最も多くの伝承が残されているブヌン族である。1932年に編纂された記録によるとブヌン族は2種類の部族と出会っていたとある。そのうちのひとつを「ハリヴィグン」と呼んでいたようだ。ハリヴィグンは木登りが得意で、洞窟の地下に住んでおり、身長は大人でも7、8歳児ほどと非常に小柄、肌は浅黒く、長いしっぽが生えていたという。そして当時まだ農行技術を持っていなかったブヌン族に食料を与え、今も彼らが食べている豆、米などの穀物は、ハリヴィグンの種をもとに栽培されたものだそうだ。
そして隣の集落「ツォウ族」にもまた、洞窟地下には子供ほどの背丈の小柄な部族が住んでいた、という伝承がある。彼らは空をとぶように動いていた、とあることから、木登りが得意だったハリヴィグンと同種なのかもしれない。
台湾に伝わる小柄な民族の伝承を紐解いてみると、習性や行動、武器などに共通点が多い。居住地には地域差があるが、山や森にある洞窟が多く、すべてが一致する訳では無いが、台湾に古くから伝わる妖怪「魔神仔(モシナ)」にも共通する点は多いように思う。
シャオマ・レディがもともと小柄だったのか、それとも外的要因により身長が伸びなかったのかは今のところわかっていない。どの族語も書き文字を持たず、文化はすべて口承で伝えられてきたことから、これらの奇妙な共通点に隠された意味は今も謎のままである。シャオマ・レディは生前どのような姿をしていたのか。詳しい分析結果に期待したいと思う。
(11月7日配信のweb先行記事を再編集)
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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