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NHK「連続テレビ小説」『ばけばけ』。「耳なし芳一」「雪女」「ろくろ首」などの口承説話を記録・翻訳したことで知られる小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンの妻が主人公のモデルとなっているテレビドラマだ。
1890年、40歳で来日し、現在の島根県松江市で英語教師となったハーン。
「八雲」という名前は、島根県の旧国名である出雲国の枕詞、「八雲立つ」にちなんだものだという。松江以外にも熊本、神戸、東京と居を移していった八雲だが、わずか1 年3か月の滞在にもかかわらず、彼は松江の街をひときわ愛していた。
その松江のなかでも、八雲が強く心惹かれたのが、日本海に面した加賀港沖の岬にある洞窟、「加賀の潜戸(かかのくけど)」だ。1891年9月に、妻のセツとともにこの地を訪れた八雲は、著作『知られぬ日本の面影』でこう記している。

「これ以上に美しい海の洞窟はそう考えられるものではない。海は、この高い岬に洞穴を次々にえぐると、まるで偉大な建築家に似た手腕で、そこに肋骨状の骨を彫り、穹稜の股を刻み、その巨大な作品に磨きをかけた」
目にした八雲の驚きと感動が伝わってくる文章だ。
ちなみに加賀の潜戸には、新旧のふたつがある。
旧潜戸は「仏の潜戸」とされ、約5.5メートルの狭い入り口の内部に高さ10 メートル以上、奥行き50メートル以上の空間が広がる。陸地があって歩いて入れるが、小さな石で積まれた「賽の磧」と呼ばれる塔が無数に並ぶ異様な光景と出会う。これは幼くして亡くなった子供たちが「父恋し、母恋し、恋し」と泣きながら積みあげた塔で、悲しい魂が集まる場所といわれている。実際この地方では、子供の幽霊にまつわる伝承も多いのだという。

一方、新潜戸は海上にあり、遊覧船で入ることができる。こちらは佐太大神が生まれた場所とされており、それゆえ「神の潜戸」と呼ばれている。


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(月刊ムー 2026年02月号)
中村友紀
「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。
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