山の死者が見せるのか? 「空に浮かぶ幻の十字架」現出譚/黒史郎・妖怪補遺々々
前回は山中で起こる奇妙な「ブロッケン現象」についての、様々な記録を紹介しました。それを踏まえて、予告したとおり〝ちょっと怖い……かもしれない【ブロッケンの妖怪】〟をご紹介いたします。 ーーホラー小説家
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未来人ウォッチャーがネットを騒がせた未来人を独自の視点で振り返るシリーズ。第1回目は「掲示板に降臨した未来人」を考察する。主役はジョン・タイター、そして2062年未来人だ。
目次
インターネットの発展とともに、いろいろな年代の未来人が現代にアクセスして未来世界の出来事を伝えようとしている。ネット掲示板の書き込みから始まり、YouTube、Twitter、TikTokというように、未来人が降臨する媒体も時代の変化とともに流行があるようだ。
さまざまなSNSに数多くの未来人が降臨してきている昨今は、まさしく未来人バブル期であろう。
さて、一体彼らは何者なのか?
本稿では、未来人ウォッチャーの筆者が、独自の視点で近年話題になった未来人と仰天エピソードについてざっくり振り返り考察。全5回に渡ってお届け。
第1回目は、「ネット掲示板に降臨した未来人」を考察する。誰もが匿名で書き込んだり閲覧できるネット掲示板に未来人が初登場したのは、2000年であった……。
ジョン・タイターについて、都市伝説に精通している賢明なムー読者には説明するまでもないだろう。タイターは、2000年11月2日にアメリカのネット掲示板に突如降臨し、全世界で話題となった。自称「2036年からやって来た未来人」のことである。
タイターは1998年生まれのアメリカ人の白人男性で、米軍に所属しているという。タイターの住む2036年は、第三次世界大戦が起こった後でいろいろな物が不足していた。タイターは戦争で荒廃した世界を修復すべくいろいろな物や情報を軍のミッションにより過去に戻ってかき集めていたのだ。
タイターは、自分が乗って来たタイムマシンの設計図を公開したり、掲示板に寄せられた質問に対しても答えたり、現代人と活発にやりとりをしたのである。
タイターは未来の予言もたくさん残しているが、「第二次湾岸戦争の勃発」「中国の宇宙進出」「新ローマ教皇誕生」「狂牛病の出現」など、その予言の多くが的中したため、人々は驚いた。しかし当然、外れた予言も多数ある。だがそれは、タイターが住む未来と我々が住む現代とでは、微妙な時間軸のズレが起こったせいで予言が外れたという説もある。
タイターは、2001年3月24日に「予定の任務を終えた」として、インターネット上から姿を消している。
数々の謎を残して未来世界に帰ったとされるジョン・タイターだが、近年再び姿を現したと話題になった事件がある。
2017年の2月以降、アメリカではSF映画『12モンキーズ』(1995年公開)に登場した猿のシンボルマークが全米の民家や施設など様々な場所の壁にペインティングされるという奇妙な事件が発生。最初は、同映画のファンによるいたずらだと思われていた。
しかし、まもなくウェブ上に発表された声明から、犯人は「12モンキーズ」という地下組織であることが判明した。「12モンキーズ」によれば、伝説の未来人ジョン・タイターは現代の悪化した状況を危惧して、2017年6月に現代に戻ってきたそうだ。同年7月からは人々を救うべく「12モンキーズ」を率いて活動を開始したらしい。
そもそも、ジョン・タイター率いる「12モンキーズ」とは何者なのだろうか? 映画『12モンキーズ』のあらすじは、20世紀末、突如発生した謎のウイルスにより人類の99%が死滅するというもの。2035年、生き残った人間たちは地下での生活を強いられていた。科学者たちは、ウィルスを散布したとされる謎の団体「12モンキーズ」を探るべく1人の囚人を過去に送り込むのである。
映画のように、パンデミックを象徴する「12モンキーズ」という集団を引き連れて2017年に再び帰ってきたジョン・タイターは、2019年より流行した新型コロナウイルスのパンデミックで人類が窮地に陥ることを暗に警告しに来たのかもしれない。
そして、タイターのメッセージは、「12モンキーズ」を通してウェブ上に発信されるようになった。タイターによれば、未来世界における人類は、「スマートダスト」という人体に埋め込まれた非常に小さなチップで完全にコントロールされているという。そして、第三次世界大戦は勃発するが、人類が滅亡するほどのカタストロフィーにはならない。第三次世界大戦は長年綿密に練られた計画であり、それを機に世界はグローバル国家に集約されるという。つまり、タイターの予言によると第三次世界大戦が勃発して、完全管理社会となり、未来はディストピアになるというのか?
タイターはもしかすると、未来の異変を知らせることにより、我々の意識を変えて人類滅亡など最悪な未来を阻止しに来ているのかもしれない。
日本のネット掲示板として有名な5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)が開設したのは、ジョン・タイターが現れた前年の1999年であった。
ここにも、自称未来人が多数降臨している。これまで話題になった代表的な未来人を紹介しよう。
2014年に掲示板に降臨。20歳の情報工学専攻の学生は、研究目的で現代にタイムトラベル。「2014年に初代の2ちゃんねるは閉鎖する」と予言したため、当初、2ちゃんねるユーザーは大騒ぎになった。2014年に閉鎖されなかったものの、2017年、「2ちゃんねる」が運営譲渡で「5ちゃんねる」に名称変更されている。
2013年に掲示板に降臨。原田氏は「テスラコイル」を応用した技術のタイムマシンに乗り、公安庁からの派遣で現代に訪れているという。2013年の時点で「2020年東京オリンピック開催」を予言的中させたとして注目を浴びた。「平成」の次の元号は「安始」になると予言したが、これは外れた。
2015年に掲示板に降臨。2047年の時点で70歳の老人だったジジイは眠っている間にタイムリープし、気が付くと2015年に来てしまい年齢も38歳に若返っていたという。「2020年のオリンピック前に、東海沖を震源とするマグニチュード8.5の巨大地震が起きる」と予言して注目されたが外れている。その他にも、「オリンピック後は不況に陥り、消費税は13.8%まで引き上げられる」「年金受給は75歳から」「1万円札の図柄が坂本龍馬になる」などの予言を残している。
2015年に掲示板に降臨。2015年の時点で彼は、20歳の青年だったが、夢の中でタイムリープして2075年の80歳の老人になるまでの未来世界を見てきたという。「2018年6月23日に東海大地震が起きる」と予言したがはずれている。「秋葉原が文化街に地名が変わる」「シンギュラリティは2049年に起こり、その頃に第三次世界大戦が起きる」などの予言を残している。
数々の未来人がネット掲示板を騒がせた後、日本版ジョン・タイターとも評される有名未来人「2062年から来た未来人」が登場する。
「2062年から来た未来人」は、主に2010年〜2012年にかけて掲示板に降臨したようだ。極秘調査が目的で現代に来た彼は、データベースから人気が高いウェブサイト「2ちゃんねる」を発見した。調査予定時間まで眺めているだけのつもりが、思わず書き込んでしまったという。ログを振り返ると、掲示板に書き込まれた質問に対して、多岐の項目に渡り、誠実に回答している。
「第三次世界大戦は、2030年よりももっと前に始まる」「2062年においては、放射能汚染された海の影響で海洋生物はほぼ食することができない」「2062年は病気はすべて治せる技術がある」などなど、「2062年から来た未来人」は、未来の興味深いことをたくさん教えてくれている。
「2062年から来た未来人」は、「自然災害に関することや人口動態変化に繋がることは言えない」と述べながらも、忠告として2010年11月14日に掲示板に以下のことを書いた。
yあ 間 N意 埜 b於 ㋹
この暗号については、ネット上でいろいろ憶測が流れたが、最終的に「山に登れと解読できるのでは?」という考察が主流となった。当初は何のことなのかはわからなかったのだが、その後、2011年3月11日東日本大震災が発生。この地震による津波で甚大な被害が出たため、「『2062年から来た未来人』は、津波が来るので高い所に避難しろという意味を込めて『山に登れ』と警告したのではないか?」となり、東日本大震災を予言的中させた未来人としてネット上で話題になったのだ。
震災が起こった後、「2062年から来た未来人」は、「地震に関しては、本当に申し訳なかった。あれが私が出来る範囲の最大限の警告だったのだ。」と述べている。さらに、「2016年4月、非常に大事な事を伝えに行ったが困惑した。的確で冷静な判断を頼む」と警告。そして、「2016年4月15日に現代に再び現れる」という約束と共に、2011年7月22日にネット上から一旦姿を消したのだった。ネット上では、「2016年4月15日」に何が起こるのかと話題になったのである。
そして、2016年4月14日にM6.5、16日にM7.1というように、熊本で立て続けに震度7の巨大地震が発生した。これにより、「2062年から来た未来人が言ってた4月15日とは、熊本地震のことだったのでは?」というように、また地震を予言的中させたと話題になったのである。
このように、「2062年から来た未来人」は東日本大震災と熊本地震を予言的中させたとされ、2016年はテレビ番組にも取り上げられるなど非常に人気が高まった。
そして、「2062年から未来人」の注目度が高まるなか、掲示板に偽物と思われる書き込みも増えた。多発する偽者の発言で混乱しないために、2016年6月、「2062年から来た未来人」が公式サイトをオープンすると発表。公式サイトを通じて「2062年から来た未来人」は、メールやラインでのやり取りを可能にしたり、前代未聞の未来人の肉声も発表したりしたのである。
ユーモアがあり、なおかつ未来世界のことを詳しく教えてくれる公式サイトは大いに話題となり、「2062年未来人」ファンは、どんどん増えていった。
しかし、ある時点から有料音声を売り出し始めるようになってから「2062年未来人の人気を利用したビジネスでは?」というように胡散臭さが漂い始めた。それと同時に「2062年から来た未来人」ブームも去っていったように思われる。
現在でもネット掲示板に自称未来人と名乗る書き込みも散見されるが、「2062年から来た未来人」のように話題となる未来人は、現れていない。
というのも、未来人は次の降臨場所となる新たなSNSを見つけたからではないか?
ということで、次回「You Tube編」につづく!
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