絶対に開けてはいけない「ディブク箱」の正体とは? ユダヤ民間伝承の呪物を解説
伝説の呪われたワインセラーである「ディブク箱」とは――。ホラー映画に登場するこのディブク箱を考察すると、ユダヤ教の教えの一端が垣間見えるかもしれない。
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我々とは別種の知的生命体がこの地球上に存在している“真実”が明かされる日は近いのだろうか――。そして、そのような存在を我々はどう理解し、どう扱い、どのように接していけばいいのか。そこで鍵を握るのは中世ヨーロッパで隆盛したユダヤ密教「カバラ」であるという。
今年7月にアメリカ下院で開催された「UFO公聴会」で証言者の1人、元米空軍将校のデイヴィッド・グルシュ氏は、当局が「非人間存在」の遺体を回収して保管しているという話を聞いたことがあると証言して話題となった。宇宙人やエイリアンとしても認識されるであろう「非人間存在」をどう考えればよいのか。
議会でUFOが話し合われるという前代未聞の「UFO公聴会」によって、UFOや地球外知的生命体にまつわる情報開示の機運は人類史上、最高潮と呼べるほどに高まっていることは間違いない。
長年UFOに関する取材を行ってきた調査ジャーナリストのロス・クルサート氏は、今年9月にラジオ番組でUFOについての真実が1年半以内に開示される可能性があると発言したことも話題だ。UFOとエイリアンの存在が公式に認められる日がすぐそこに迫っているのだろうか。
そして、これらの証言には意外な方角からも注目が集まっているようだ。
資産運用系メディア「BENZINGA」に掲載された記事の中で、筆者のホセ・ロドリゴ・ダフディ氏は「UFO公聴会」の証言内容は何世紀にもわたるユダヤ人の神秘的な伝統である「カバラ」の中に見られる信念体系が反映されたものだと指摘している。
それを詳しく解説しているのは、カバラ学者のヨエル・ベンハビブ氏。現在のUFOやエイリアンをめぐる言説とカバラの教えの類似点について語った最近のライブ配信によると、そもそもカバラでは他の形態の生命や文明が存在することを認めており、その視点は2000~3000年以上前のユダヤ教の文書にも記録されているという。
カバラの知恵は宇宙の全体的な理解を提供するものだが、その神秘的な教えは、他の惑星に属したり他の形態の生命が存在することが前提となっているというのだ。
ベンハビブ氏は『エノク書(The Book of Enoch)』、『イェソダム(Yesodam)』、『知恵の原理(Principle of Wisdom)』という3つのカバラの本を挙げ、これらの古代の書物には人間以外の存在、その名前、物理的な住み処への明確な言及が含まれており、UFO現象について深い精神的な視点を提供していると語る。
地球外生命体、あるいは非人間存在はカバラの中では規定事実であり、実際に少なくないユダヤ人の神秘主義者が「他の世界の存在と接触した」と主張している。ベンハビブ氏によれば、カバラの密書『イェソダム』が、これらの存在と安全に関わる方法を概説しているという。カバラの教えの中には、エイリアンとの“つき合い方”がレクチャーされているということになる。
元米軍関係者らによる「UFO公聴会」での最近の証言は、UFOの存在、ひいては地球外生命体の可能性を裏付けるものであるが、それはこのようにカバラの知恵によって大昔から語り伝えられてきたものにすぎないというわけだ。
いうなれば「UFO公聴会」に触発された“情報開示”の機運は、カバラの信念体系が何千年も保持してきた知恵と理解に、現代社会の理解が追いつきつつあることを示しているのかもしれない。古代の知恵の入口に、現代人がようやく辿り着いたことになるだろうか。
そして世界がこれらの啓示をじゅうぶんに理解するようになったとき、カバラは(時代を超越して)我々の立ち位置を知るための精神的視点を提供してくれるとベンハビブ氏は力説する。
はたして、ロス・クルサート氏が言うようにきわめて近い将来にUFOとエイリアン、あるいは「非人間存在」の実在が公式に認められる日が迫っているのだろうか。そして、その来るべき日、エイリアンと安全に関わる方法を知るカバラの教えが重要な役割を果たすことになるのか――。
興味深いことに16世紀のカバリストであるラビ(ユダヤ教指導者)、エリヤフ・デ・ヴィダス師の『知恵の原理』では、海の中に住む霊的存在について論じられている。この作品は懐疑心を抱きながらも海中を冒険したラビが、これらの存在に遭遇し、彼らの助けを借りて海上に浮上するというストーリーが綴られている。
海の中に住む霊的存在とは、USO(Unidentified submarine object)なのだろうか。USO、つまり海中の未確認潜航物体は、特に米カリフォルニア南部沿岸一帯で多くの目撃証言が報告されている。
南カリフォルニア在住の超常現象研究家でSF作家でもあるプレストン・デネット氏はカリフォルニア南部沿岸海域の広大な深海底のどこかに、おそらく巨大な“UFO/USO秘密海底基地”が存在する可能性が極めて高いと示唆している。16世紀のカバリストは、この秘密の海底基地を知っていたということか?
また、たとえばユダヤ神秘主義の古典的作品である『エノク書』では、ヘルモン山(Mount Hermon)として知られる場所に降り立った存在である「監視者」の物語が語られている。このストーリーでは、彼らのテクノロジーと彼らの住み処であるさまざまな次元についての説明がなされている。
シュメール、アステカ、中国を含むいくつかの古代文明には、地球に降臨する存在の普遍的な物語があるとベンハビブ氏は指摘する。地球に降臨した存在が人間に知識を授けるストーリーは、カバラの文書や聖書にもよく見られるテーマなのだ。
そうした物語構造は、古代に宇宙人が地球に飛来し、人間を創造し、超古代文明を授けたという「古代宇宙飛行士説」に通じるものでもあるだろう。世界各地に残されている古代の壁画や岩絵(ロックアート)の描写の中には、UFOや宇宙人が示唆されるものが少なくないこともこの説を間接的にサポートしている。
そして、たとえばアフリカのドゴン族は宇宙に対する高度な理解で知られている。彼らの驚異的な知識と精神世界は、地球外生命体との接触によって得られた可能性も考えられるということだ。
このように、カバラを含む古代の知恵の観点は実に宗教的であり“スピリチュアル”なのだが、もしも「非人間存在」を擬人化し神格化するならば、偶像崇拝や悪魔崇拝に繋がらないとも限らない。「古代宇宙飛行士」や「非人間存在」を神と崇めるのはある意味では簡単なことだが、この先もこの地球で生きていかねばならぬ人類としては、そこで“思考停止”に陥る愚は避けねばならないのだろう。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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