マルタ島の異形頭蓋骨とキュクロプス伝説! アトランティス文明につながる謎/遠野そら
巨人伝説が語り伝えられるマルタ島で発見される長頭の頭蓋骨について研究が進んでいる。彼らは海に沈んだ古代文明に関連する集団だったのか?
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海底に眠る大陸の「発見」は、人々を超古代の大地へ夢想させる。アルゴランド発見を機に、アトランティスとムーの基礎知識も解説!
世界には、海に沈んでしまった大陸(島)が存在している。伝説や神話で語られたもの、実際に天変地異などで海底に沈んだもの……と様々だがその中でも有名なものが、アトランティスとムーだろう。
都市伝説の代名詞とも言えるこれらの島や大陸は本当に実在していたと思うだろうか?
アトランティスもムー大陸も、歴史上に現れた最初の文献ーー初出があるわけだが、双方とも、語り始めた人物がなにを根拠に「大陸」を記録したか、歴史的に実際に起きた出来事だったのか、はたまた妄想だったのか、この答えについては、完全なる解が出ているわけではない。
だがとにかく、伝説上ではなく、実際に海に沈んでしまった大陸や島は歴史上に存在している。
もしかしたらこの事実が、アトランティスやムー大陸の「伝説」に反映されたのかもしれない。
そして今回新たな研究によって、これまで知られていなかった大陸の証拠が発見された。
1億5500年前にオーストラリアとなった陸地から離れ、長い間失われていた古代の大陸「アルゴランド」が発見されたのだ。
長い間地質学者たちは、西オーストラリアに巨大な空洞が存在することから、アルゴランドが存在する可能性があると考えていたが、これまでは単なる推測に過ぎなかった。
そこで、オランダのユトレヒト大学の地質学者が中心となった研究チームは、アルゴランドの歴史を再度検証し、オーストラリアから南アジアまで移動した約5000kmにも及ぶ陸地が、現在はインド洋の海面下、約9000m以上も下に沈んでいることを明らかにしたというのだ。
海底に沿った磁気と構造地質学的な証拠から、アルゴランドの破片は近くを構成するプレートの移動で分離され、東南アジアへ向かい、北と西に流れていったと考えられている。今回の研究発表はこの「大陸のカケラ」が発見されたというものだ。
東南アジアの地形というのは、大陸が綺麗にふたつに割れた南米やアフリカのような場所とは異なり、大小の島々が様々な形で互いに結びついている。一見して巨大な大陸の痕跡は、そこにはない。
研究者たちは地質学的証拠から、アルゴランドがどのように複数の破片に分裂し、現在のインドネシアとミャンマー周辺に集まったのかを、コンピューターを使って再現した。現在の地形の成り立ちを解明することで、山や島、海底の地質の形成に関する情報を補い、数百万年に渡ってつなぎ合わされた多くの小さな断片が存在することを発見したのだ。それは東南アジアの地形がどのように形成されたのかを検証する、途方もない作業だった。
かつて存在したパンゲアという巨大な大陸は、1億80000万年前のジュラ紀になると、北はローラシア大陸、南はゴンドワナ大陸という2つの超大陸に分裂した。その後、両大陸はさらに分裂していったわけだが、その分裂は順調に行われたわけではなかった。
パンゲアの分裂の初期にすでに、アルゴランドは複数の大陸の断片と海底の一部に分裂していたようなのだ。
今回の研究で新事実が発表されたわけだが、真実は常に一時的なものである。
アルゴランドについては幻の地形、大陸の発見に留まってはいるが、そこにどんな生き物が暮らしていたのか、または高度な文明が栄えていたのではないか……など、興味は尽きない。今後の研究次第では「失われたムー大陸につながる文明の拠点だった」という説が誕生する日が来るかもしれない。
参考
https://www.vice.com/en/article/y3wxej/scientists-solved-the-mystery-of-an-ancient-continent-that-disappeared
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-12662773/lost-continent-argoland-broken-australia-155million-years-ago.html
以下、補足として、アトランティスとムーに関して、実在性の考察についてお話ししておこう。
プラトンの対話編「ティマイオス」と「クリティアス」に語られた伝説の島、アトランティス。
その描写は非常に詳細であるため、プラトンが創作した架空の島だは考えにくい、とされている。
しかし、歴史的な事実を見てみると、アトランティスの着想源となった要素がいくつか存在している。つまり、アトランティスには元ネタがあったと考えられるのだ。
プラトンは、当時すでに知られていた地理や科学の知識を活用し、そこから「アトランティスの話を作る」ことができたのではないか?
まず、アトランティスといえば『海に沈んだ』という点が挙げられる。遥か昔、プラトンの話の中では先史時代にあたる時代に、大きな天変地異が起こり文明が破壊された、と語られている。
実はプラトンの時代にも自然災害が起こり、小さな島や都市が海に飲み込まれたという記録が残っている。たとえば紀元前426年にギリシアの多くの地で強い地震が起こり、エヴィア島の一部が海に沈んでいる。こうした自然災害の知識と天変地異の理論が結びつき、「アトランティスが地震と津波で滅びた」ーーという物語につながったのかもしれない。
さらに、プラトン自身がシチリア島を訪れたことも、アトランティスの描写に影響を与えた可能性が高い。プラトンが滞在していたシチリア島は、当時の地中海世界では最大の都市であり商業の中心地で、シュラクサイはアトランティスの首都ポセイドニアのように栄えた都市。そのシチリアは幾度も大地震に襲われていたのだ。まさにアトランティスのようである。
そして、シチリアでプラトンが耳にしたはずのカルタゴという都市も、アトランティス(の伝説)の描写に影響を与えた可能性がある。カルタゴには大きな円形の港や船を収容できるドックがあり、都市の大部分は外壁で守られていたのだ。円形の都市とはまさにアトランティスの首都ポセイドニアを彷彿とさせるではないか。
当時、カルタゴ人は西地中海を支配していたが、彼らはギリシアの船をほとんど寄せ付けなかったため、ギリシア人の中では「大西洋は航行不可能」という噂もあった。紀元前4世紀までには、ギリシア人の世界についての知識は拡大しており、中東や地中海の大部分については存在が分かっていたが、ジブラルタル海峡の先、大西洋に関してはまだまだ未知の領域だったのだ。
逆に言えば、アトランティスの描写に疑問を呈されても、ギリシア人には矛盾を確認するすべはなかったわけだ。
高度な文明と豊かな資源を有したというアトランティスを、古代ギリシアのプラトンは一種の「理想郷」として伝えている。神話や歴史、科学、地理学、政治、商業、農業などの要素を織り交ぜた描写があまりにも真実らしく、「史実」として受け止められたわけだが、プラトンの本意としては物語の中に込めた寓意や哲学的なメッセージだったのではないだろうか。
それでは、「アトランティス」が実際に存在したとされる「候補地」を紹介していこう。
最も有名なのは『大西洋説』だ。プラトンは「ティマイオス」「クリティアス」の中で「9000年前に、大西洋に存在していた大陸であり、ある夜に突如として海に沈んだ」と語っている。
太平洋説でいえば、予言者にして高次元リーディングを得意としたエドガー・ケイシーは、アトランティスが現在のバミューダトライアングルに位置していたと示唆している。
しかし、近年の地質学者たちからは大西洋上に大規模な陸地の痕跡が見つからないことが指摘されている。また、アトランティスの文明の技術や建築様式は、当時の他の文明と比較しても非常に進んでいたとされるが、現在の考古学的証拠からは、高度な文明が大西洋上に存在した形跡は見つかっていない。
『大西洋説』の派生で、ヨーロッパからアフリカにかけて広がっている巨石文明の遺跡をアトランティス文明の痕跡と主張する説もある。アトランティスは島ではなく、ヨーロッパからアフリカの西岸一帯に発展していたという解釈だ。しかし、これらの遺跡は異なる時代や文化によって造られたものであり、一つの文明が大西洋全体に広がっていたという証拠にはならないようだ。広範囲、長期間にわたって継承された文明の記憶全体ともいえなくもないが、やや苦しい説だろう。
次に『地中海説』。
地中海でアトランティスの存在が示唆される場所の代表的なの説は、サントリーニ島(古代名:ティラ島)だ。サントリーニ島は現在のギリシャに存在する島で、およそ3,600年前に大規模な火山噴火「ミノア噴火」が起こった。この噴火によって島の中心部が沈んでしまい、カルデラ(火口湖)が形成されたのだ。
サントリーニ島では火山噴火前の青銅器時代の遺跡(アクロティリ遺跡)が発見されており、複雑な建築構造や壁画は当時の高度な文明を物語っている。これらの遺跡や火山噴火の事実が「アトランティスの源」というわけだ。しかし、プラトンが述べたアトランティスの規模や位置はサントリーニ島や他の地中海の地域と完全に一致しないため、候補地としては分が悪い。地中海周辺の遺跡がアトランティスの名残であるとする考え方は、現地の文化や歴史を過小評価することになる恐れもある。
実は、アトランティスにはまだまだたくさんの候補地がある。
「大西洋説」にしても、アゾレス諸島、カナリア諸島、マデイラ諸島などなど、「地中海説にしても、クレタ島、シチリア島、サルデーニャ島などなど。その他にも、南米説やイギリスのコーンウォール説、北極・南極説や大陸棚説といった具合に、あげ出したらキリがない。
どこにあるかわからない、未知の島で、高度な文明と豊かな資源を有した場所があるーー。
アトランティスは、そんなユートピアとして共有され、各地の伝説や遺跡などと紐づいていったのだ。
古代の太平洋に存在し、東西約7000km、南北約5000kmもの広大な陸地に、6400万人もの人々が暮らしていたと伝わっている「ムー」も、幻の超大陸として知られている。
ムー大陸は高度な文明を築き上げ、太陽神の化身である帝王ラ・ムーの統治のもと、学問や文化、建築、航海技術などを発展させていた。しかし約12000年前、大陸は突如として地震に見舞われ、大津波に飲み込まれてしまう。一夜にしてすべてが崩壊し、ムー大陸は消え去ってしまったのだ。
これが一般的によく知られるムー大陸の伝説なのだが、この説がいつから広まったのか、ご存知だろうか? ムー大陸と同様に有名なアトランティスの伝説は、古代ギリシャの哲学者プラトンの著作にまで遡るが、ムー大陸の伝説は、イギリスのジェームズ・チャーチワードという人物の著書に由来する。
そのチャーチワードの著書は1930年前後に出版されたものなので、実はまだ100年も経っていない。
チャーチワードはムー大陸の伝説自体を「ナーカル碑文」と「メキシコの石版」という2つの古文書に基づいて紹介した、としている。これらの文書は、ムー大陸の「聖なる霊感の書」を元に作成され、ムー大陸の伝説を知る上で重要な文献とされていた。
しかし、チャーチワードがこれらの古文書をどのように知ったのか、肝心の経緯は明らかではない。
彼がナーカル碑文と出会ったのは、イギリスの軍人としてインドに配属されていた時とされている。当時、チャーチワードは現地の寺院で古代文字の研究を行い、高僧との交流を通じてナーカル碑文の存在を知ったそうだ。高僧は当初、この貴重な粘土板を見せることに難色を示したのだが、チャーチワードの説得に折れ、ついには粘土板を見せてくれることになった。
それからチャーチワードは2年の歳月をかけてナーカル碑文を解読し、ムー大陸の歴史を明らかにしたのだ。
しかし、このナーカル碑文の発見については、チャーチワード以外の証拠は存在していない。その場所や写真も公開されておらず、真相を知ることができるのはチャーチワードのみ。
メキシコの石版については、アメリカの鉱物学者ウィリアム・ニーベンが発見したと言われている。チャーチワードはこのニーベン・タブレットを見つけるために旅をし、メキシコで出会ったと語っていた。ニーベン・タブレットは実在するもので、ムー大陸の文化や思想を伝えるものだとされているのだが、この石板もチャーチワードが解読したと主張するだけで、客観的な証拠というものは存在していないのだ。
そもそも注目したいところは、チャーチワード自身の経歴である。
彼がナーカル碑文を発見した時点で、まだ若輩者の外国人である。なぜ寺院に伝わる碑文を見ることができたのだろうか? 軍人だというチャーチワードには軍属としての記録もない。
彼が引用したトロアノ絵写本やラサ記録についても、その内容は疑わしいものとされている。
トロアノ絵写本は実際にはマヤの占星術に関するものであり、ラサ記録はそもそも存在しないとされる代物である。
これらの事実を踏まえると、ムー大陸の伝説はおろか、チャーチワード自身の信頼性も疑わしく思える。あまりの疑わしさに、ジェームズ・チャーチワードは、身分を隠し、後に記録も抹消される極秘エージェントとして暗躍していたという考え方をしたくなるほどだ。
謎の人物、ジェームズ・チャーチワードが語る「ムー大陸」なるものとは一体何だったのだろうか?
筆者としては、「ムー大陸のようなもの」があるとしたら、必要とされるとしたら、それは人類の根源的な考え方や集合的無意識の一端としての存在かもしれない。
人間が理解できないことの方が、世界には数多く存在する。理解できないことこそ、人間は追い求め、語り継いでしまう。
アトランティスとムーという幻の大陸を通じて、そんなことも考えてしまうのだ。
世界ミステリーch
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ミステリーな出来事を検証視点で情報収集し、解説する。
通称「ミスチャン」。
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