サハラ砂漠に実在した…伝説の黄金都市「ゼルズラ」の謎/遠野そら

文=遠野そら

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    サハラ砂漠に謎のオアシス国家があった!? 文献に残る幻の都市「ゼルゼラ」はどこにあったのか?

    文献にも言及される謎の都市

     サハラ砂漠に眠る黄金都市「ゼルズラ」をご存じだろうか。ナチス・ドイツの研究機関・アーネンエルベも捜索していたという伝説の都市である。
     伝説によると、ゼルズラがあるとされるのは、ナイル川を西に向かった砂漠の奥地。白い城壁に囲まれたそこは、謎の民族が治める豊かで美しいオアシスが広がっているのだという。

     それまでもアラブ諸国では、古くからサハラ砂漠に眠る黄金都市にまつわる神話や伝承が伝えられてきた。エジプト国立図書館が保管している文献には、紀元前1世紀、エジプト・アレクサンドリア図書館の司書「サモトラケのアリスタルコス」が豊かなオアシス都市について言及していたことが記されており、他にも「砂漠の王国」「オアシス国家」と呼称は異なるが、古代エジプト人が彼らと交易していたことを記したパピルスや、旅人の記録など、そこかしこにゼルズラの片鱗を見ることができる。

     その中でも近年特に注目を集めたのは、中世アラビアの宝の書『キダブ・アル・クドゥヌズ(隠された真実の書)』である。これはエジプトに眠る財宝の在処を記した書物で、ゼルズラへ連れて行かれた男性の体験談が掲載されているのだ。

    イメージ画像=PIXABAY


    「ナイル川を西に向かった砂漠の奥地に草木が生い茂り、こんこんと泉が湧出する美しいオアシス都市があった。建物は白く光り輝き、巨大な門には鳥の彫刻が施されている。宝が欲しければ、鳥がくわえている鍵を捜すがよい。その扉を開けた時、その者は膨大な富を手に入れることができる。だが、そこはゼルズラ王と王妃が統治する安息の場所——。彼らの眠りを妨げた時、黒い巨人が目を覚ますだろう」

    ゼルズラから逃げた男の体験談

     当時、リビア・ベンガジ首長の記録では、1481年。ある行き倒れの旅人が保護された。旅人はハミッド・ケイラというラクダ使いで、「ゼルズラ」という王国から逃げてきたのだという。
     それによると、ある日、ダクラとカルガのオアシスへ向かいサハラ砂漠を横断してハミッドのキャラバンは激しい砂嵐に巻き込まれてしまった。生き延びたのはハミッド1人。空と砂しかない砂漠で、自分がどこにいるのかもわからない。死を覚悟していると、偶然通りがかった男たちに救出されたのだという。
     案内された場所は、水と光があふれる黄金都市であった。黄金製の噴水からは美しい水が湧き出し、子どもたちは水遊びをしている。建物は美しい象牙色で、埋め込まれた無数の貴石が光り輝いていた。人々はみな色白で、背が高かった。まっすぐに伸びた髪はブロンドで青い目をしており、奇妙なアラビア語を話していた。少しずつ彼らと言葉を交わすようになると、王国の名は「ゼルズラ」といい、ここへはふたつの山の間にあるワディ(乾いた渓谷)を通ってきたと教えられたという。

    イメージ画像=PIXABAY

     ハミッドは首長に、ゼルズラ王の歓迎を受け、数か月間も滞在していたことを明かしたが、なぜ逃げ出したのかは語らなかった。そこで身の回りの所持品を調べたところ、大きなルビーが装飾された黄金の指輪を発見。ゼルズラから盗んだ指輪である可能性が高いとして、ハミッドを窃盗罪に処した、というものだ。 
     指輪は、巡り巡ってリビアのイドリス国王が所有していたとされるが、詳細は不明である。他にも、ザイザル王国にはサハラ砂漠で遭難した初期ヨーロッパ十字軍が運んでいた財宝が保管されており、指輪はそのひとつだとする見解もあるようだ。

    黄金都市ゼルズラは砂漠の奥地に存在した!?
    画像引用:https://www.ancientpages.com/2020/06/10/zerzura-lost-ancient-sahara-oasis-guarded-black-giants/

    遠征隊が発見した黄金都市の痕跡!?

     古い文献にも記されている黄金都市ゼルズラだが、それらを裏づける決定的な証拠は発見されておらず、いまだ疑問点も多い。

     しかしその一方で、1930年、イギリスで発足した「ゼルズラ遠征隊」が興味深い発見しているのも事実である。
     これは、サハラ砂漠を地学者や測量士による陸地での調査に加え、航空機で空からの捜索も試みるという大掛かりなものだったが、そこで『キダブ・アル・クドゥヌス』の記述にピタリと一致する場所が見つかっているのだ。
     場所はリビアの国境近く。ワディの他、第4王朝ジェデフレ王の名が刻まれた石板が保管されていた古代神殿も発見された。さらにワディの地下には豊富な水脈まで確認され、ゼルズラの条件に近いと、当時かなり注目を集めたのだ。

    ジュデフレ王の像。(ルーヴル美術館収蔵)

     だが、その後勃発した第2次世界大戦により探検隊は解散。イギリスとエジプトの政治的な背景からその後の調査は行われていないが、エジプト探鉱局もダフタ近辺で奇妙な古代船を発見するなど、ゼルズラの実在は信ぴょう性が高いような気がしてならない。

     神秘に満ちた黄金都市ゼルズラの謎が現実のものとなる時、われわれはいったい何を目にするのだろうか。砂漠に眠る莫大な財宝には人類の大いなる謎が保管されているのかもしれない。
     
    参考
    https://www.ancientpages.com/2020/06/10/zerzura-lost-ancient-sahara-oasis-guarded-black-giants/
    https://codigooculto.com/enigmas/zerzura-antiguo-oasis-perdido-sahara-custodiado-gigantes-piel-negra/

    遠野そら

    UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。

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