250年未解決の幽霊船「オクタビウス号」の謎! 瞬間冷凍されたまま海を彷徨う船員たち/仲田しんじ

文=仲田しんじ

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    船員もろとも“瞬間冷凍”された幽霊船が大海原を漂っていた――。時間が止まったキャビンのデスクには、航海日誌を広げペンを握ったまま凍りついた船長が座っていたのだ。

    アラスカで消息を絶ったオクタビウス号

     歴史を振り返れば数多くの奇妙な事件が起きているが、最も不気味な事件の1つに幽霊船「オクタビウス号」のストーリーがある。1775年にグリーンランドの海岸沿いで発見されたオクタビウス号には、生きた乗組員はおらず、乗組員全員が船室で凍死した遺体となって発見されたのだ。彼らにいったい何が起こったとういうのか。

     8世紀半ばに建造されたイギリス船籍の商船、オクタビウス号は1761年、貨物と28人の乗組員を乗せてロンドン港を発ち、中国の港へと向けて出航した。

     約1年後に無事に中国に到着して目的を果たしたオクタビウス号だったが、帰路に就くことになった時、天気は良く海がとても穏やかだったこともあってか、オクタビウス号の船長に冒険心が芽生えたのだった。

     当時その存在は知られていたが、まだ誰も航海に成功していない理論上の航路、それが北アメリカ大陸の北方を通って大西洋と太平洋を結ぶ「北西航路」だった。船長は、今こそこのルートの航海に挑むべきであると考えて決断したのである。

     また、この「北西航路」を通ることができれば、帰路の航海の日程が大幅に短縮できることも魅力的であった。

     しかし、残念ながら船長の決断は悲劇に終わった。1762年の秋に北アラスカに到着したオクタビウス号だったが、この港を出航したのを最後に船は消息を絶ったのである。

    画像は「Pixabay」より

    13年前のまま凍りついていた船内

     1775年、グリーンランドの西海岸沖を航行中だった捕鯨船「ヘラルド号」が、氷山に囲まれて沖合に浮かぶ商船らしき船を発見した。

     ヘラルド号の乗組員が謎の船に乗り込んでみると、28人の乗組員全員が船室で凍死しているのを発見した。氷点下の寒さのため、乗組員全員が固く凍りつき、まるで「だるまさんが転んだ」で振り向いた時のように、それぞれが立ったり座ったり横になったりとポーズをとったまま絶命していたのだ。行為の最中で“瞬間冷凍”されてしまったかのようでもあった。

     キャビンの中のデスクには船長が座っており、開いた日誌に向かってペンを握ったままの姿勢で凍りついていたのである。彼のすぐそばには妻らしき女性と子供も座っていて、まるで仮眠を取っているかのように毛布の下で身を寄せ合っていた。

     またある乗組員は、ストーブに火を着けようと火口箱(火起こしキットの箱)を持ったまま凍りついていた。

     あまりにも不気味なキャビン内の光景に恐れをなした乗組員たちは、船長の航海日誌だけを拝借して船を出て、ヘラルド号に戻ったのである。

     持ち帰った航海日誌を読んでみたところ、この船は13年前に行方不明になったオクタビウス号であり、船長が最後に書いた日誌の日付が1762年11月11日であることがわかった。

     アラスカ周辺で行方不明になったオクタビウス号がグリーンランドの西海岸沖で発見されたということは、皮肉にも「北西航路」の航行に成功していたことになる。しかしその快挙が船長以下、乗組員が生きている間であった可能性はきわめて低いと言わざるを得ないのだが……。

    画像は「Pixabay」より

    乗組員全員凍死後に「北西航路」の航行に成功

     船長の航海日誌に記録された船の最後の位置はアラスカ州ウトキアグヴィクの北、約400キロの海域であった。ということはおそらく、船長をはじめ乗組員全員が凍死してから潮に流されて「北西航路」を航行したことになる。

     しかし、まるで急速に“瞬間冷凍”されたかのように短時間で凍死することなどあり得るのだろうか。歴史の専門家も医学の専門家もこの不気味な発見に頭を悩ませている。

     そして行方不明後のオクタビウス号について、その後の目撃報告がまったくないことも謎である。

     類似する話に「グロリアーナ号」のストーリーがある。1775年に「トライアゲイン号」のウォレンズ船長は航海中の洋上で「グロリアーナ号」を発見したという1828年の記録が残されているのだ。

     グロリアーナ号船内の乗組員は全員が死亡しており、オクタビウス号の報告と一致する点が実に多かった。ある専門家はオクタビウス号とグロリアーナ号が実際には同じ“幽霊船”である可能性についての研究を続けている。

    画像は「Pixabay」より

     オクタビウス号の運命は今もなお謎に包まれているが、このストーリーが時間の経過とともに誇張された可能性があることを幾人かが指摘している。話に尾びれ背びれがついて、より不気味で恐ろしいものにバージョンアップされた可能性も否めないというのだ。

     ともあれ、だた1つ間違いないことは、オクタビウス号の神秘的で身も凍るような物語は今日にも語り継がれているという事実だ。この250年前の幽霊船騒動に新たな動きが見られる可能性は低いと言わざるを得ないが、史上最も有名な幽霊船として、その船名を憶えておいてもよいのだろう。

    https://www.thearchaeologist.org/blog/the-mystery-of-the-octavius-an-18th-century-ghost-ship-was-discovered

    【参考】
    https://www.ancient-origins.net/unexplained-phenomena/octavius-0017769

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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