現代にUMAは住みにくい…新時代に向けてお引越し/マンガMUMINz
石原まこちん連載マンガの最新話を公開! 世相の変化にあわせて、最終回です。
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ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘する、それが「妖怪補遺々々」! 今回は〝宇宙3部作〟の最終回、七尾町の怪火と恐ろしい顔が出現した「化け物屋敷」伝承から、補遺々々します。
空飛ぶ円盤、UFO――なのではないかと話題になった怪火【そうはちぼん】、「カッ」と音を立てて〝ハッチ〟が開くと光る鳥が飛びだす奇石【かっと石】など、解釈のしかたによってはSF的といえる描写のある伝説を前回、前々回とご紹介しました。
その話だけを切りだして見ると、どこにでもある怪火譚や金鶏伝説なのかもしれませんが、「宇宙から到来したもの」として読み聞きしてみると、また違った印象の話になります。
遥か遠い宇宙(そら)からの来訪者に思いを馳せながらお送りする〝3部作〟。
最後にご紹介するのは「化け物屋敷」と題されている不思議なお話です。
安永6年(1777年)の秋ごろのことです。
石川県鹿島郡七尾町に大野某という、たいへん穏やかな性格の俳人が住んでおりました。
その大野、新築の家を建てたのですが、この家には少々、問題がありました。
怪火や化け物が出る――そのような物騒な噂があったのです。
ある日の朝、隣の傘屋の亭主が大野を訪ねてきて、このようなことを話しました。
「たいへん申し上げづらいのですが、昨夜、あなた様の家で、怪火を灯す人の影のような物が、あちこち歩いているのを目撃してしまいまして……。世間はあなた様の家のことを化け物屋敷といっておりますが、これはもう間違いありません。祈祷でもされてはいかがでしょうか?」
しかし、大野は「世の中に化け物などいるはずない」と強く信じています。だから、傘屋の忠告は無視し、この件は放っておいたのです。
それから3、4日が経った、日が暮れて間もない時刻のことでした。
「きゃあ」
大野家の土蔵の前あたりから、黄色い悲鳴が上がりました。
驚いて人々が駆けつけると、大野の家に勤める女中が倒れています。
手当てを受けながら、女中は今起きたことを次のように話しました。
「――四角い提灯のような火が、地上1尺ほどのところを、ふわりふわりと浮いていたのです。どこに行くのかと見ていましたら、その後ろから、顔の真っ青な、何ともいえない恐ろしい人が現れ、ものすごく睨んできたのです。そして、それらは薪を積んでいるあたりに入ると見えなくなってしまいました。ああ……あの恐ろしい光景が、今も目に見えるようです」
そこで大野は下男に命じ、積んであった薪を取り除いてみましたが、なんら変わったことはありません。
しかし、こんな出来事があってから「大野の新宅は化け物屋敷である」という噂は一層高まってしまったのです。
そんなある日、楓居という者が大野家をたずねて来て、このような話をしました。
「家に化け物が出るのは、その化け物がこの屋敷をあてにし、住みたいと思うからです。そのように住みたいと思うものは、たとえ化け物でも住まわせてやるべきです」
この楓居という者、あろうことか、化け物を受け入れろというのです。
そして彼は、このように続けます。
「――ですが、このお宅は新築なので、古い物を少しも使っていませんね。化け物はさぞ、住みにくいことでしょうな。少し古いものを集めて、化け物の好みそうな場所を作ってみてください」
これを聞いた大野は「なるほど、もっともだ」と考え、近所の古城跡から古い木石を取り寄せ、温井備中の屋敷跡にあった大石を手水鉢にするなどし、新築の家を努めて古くするようにしたのです。
すると――なんということでしょう。
その後、化け物は家に現れなくなったのです。
結果として良かったのかどうなのか、よくわからないお話ですが、ここで注目すべきは、大野の家に現れた化け物の姿です。
まず、怪火です。火の「玉」ではなく、四角い形の火というのは、数ある怪火の表現でもなかなか珍しいものではないでしょうか。球状の火や、燃え盛る炎などは、人の魂魄・怨念の顕現という印象ですが、「四角い火」からは「物」の印象が強くなります。輪郭が揺らぐ不明瞭な存在感ではなく、はっきりとそこに「在る」、物体の印象です。
「提灯のような」といっていますから、四角いといっても板のような角ばった形というより、高張提灯のような縦長の明かりを四角いと表したのかもしれません。
【そうはちぼん】の回に書いた、眉上山に現れる怪火も「大なる高張提灯」という書かれ方をしています。当時は提灯としか例えられなかった怪しい火が現れていたようです。近年、「四角いUFO」も目撃されておりますから、もしかして――。
この四角い火とともに現れた「顔の真っ青な、何ともいえない恐ろしい人」も、たいへん気になる存在です。顔色が悪いだけでなく、表現しがたい恐ろしい姿とは、いったい?
肌色が普通ではない人の形をしたもの――もしかすると女中は、この星の人間ではないものと遭遇してしまったのかもしれません。

参考資料
『石川県鹿島郡誌』上巻
(2020年12月2日記事を再掲載)
黒史郎
作家、怪異蒐集家。1974年、神奈川県生まれ。2007年「夜は一緒に散歩 しよ」で第1回「幽」怪談文学賞長編部門大賞を受賞してデビュー。実話怪談、怪奇文学などの著書多数。
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