空から降ってきた「ネコ人魚」と「カニ雷獣」の衝撃/大江戸怪獣録
カエルや魚など、本来空から降るはずのないものが降ってくる事象を「ファフロツキーズ現象」と呼ぶ。今回はお江戸の空から降ってきた怪獣たちの図版をながめてみたい。
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「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2025年11月号、第499回目の内容です。
ブラジルはサンパウロ州イーリャコンプリーダの海岸を、レティシア・サンチャゴさんと恋人のデバミール・ソウザ君が散策中に偶然、なにやら骨ばった長い5本指の大きな手がついた一見、巨人の片腕のように見える謎めいた物体が漂着しているのを発見した。
科学者でもないかぎり、海水に浸かったり腐りかけの物体なんぞには興味など示さないものだ。
だが、このカップルはいささか違った。ぜひとも正体を知りたいとその怪物体を持ち帰り、当地のマスメディアに通報したのだ。
例によっていつもいささか無責任なテレビや新聞は、
「これはひょっとして〝切り落とされた異星人の手〟では?」
などと大げさに騒ぎ立てたが、科学者たちの反応はもっとはるかに冷静で現実的だった。
海洋生物学者たちはこの怪物体の写真を見ただけで、恐らくは鯨目、それもネズミイルカの腐敗しかけたヒレ足と断定したのだ。
サンパウロ連邦大学の海洋生物学者エリック・コーミンは、その腐敗の度合いから、死後1年半は過ぎているとさえ推定した。
だがこれに対し、鯨類専門の古生物学者ロバート・ベッセネッカー博士は、この推測を退ける詳細な分析結果をツイッター(現X)に投稿して反論した。
「したがって〝ブラジルの謎の異星人の手〟の正体は、絶対に鯨類のものなどではあり得ない!」
さらに博士はひとつのありうる仮説として、ひょっとしたらこれは鯨類に精通する何者かが試作した〝作り物のヒレ足〟の可能性も無きにしも非ずとしている。
いずれにせよ、想像力の逞しい御仁にとっては残念ながら、これが異星人の手ではないことだけは確かなようだ。
場違いは承知のうえで、イギリスのとあるギャンブルサイトが、切実なオナラの悩みごとの解決案をオンラインで求めている。
それによるとなんと毎年200万人ものイギリス人が、人前でなんとかオナラを堪える方法を捜していることが判明し、さらに10万人の男女が、彼ら彼女らのパートナーのオナラを堪えさせる方法を求めていることがわかったのだ。
「サン」紙2024年4月29日付によれば、くだんのギャンブルサイトはこう強調している。
「われわれの調査によれば、じつに多くの人々がこのオナラ問題で助けを求めているのだ!」
中国黒竜江省ハルピン市在住の胡さん(苗字以外不詳)は、大きな水素気球のゴンドラに同僚といっしょに乗り組んで松林の間の低空を移動しながら、パインナッツ(松の実)の収穫作業にせっせと励んでいた。
その時、気球の係留索がどういうわけか外れてしまい、気球だけがゆっくりと浮遊しはじめた。
同僚はその寸前にゴンドラから地上に飛び降りて助かったが、逃げ遅れた胡さんはそのまま気球に空高く連れ去られてしまった。
必死の捜索の結果、救助隊は翌朝になってから、胡さんの行方を突き止めて、スマートフォンで状況を知ることができた。
胡さんを乗せた気球は、322キロ弱離れた空中を漂っていることがわかったので、救助隊は胡さんに、気球から水素ガスを少しずつ抜いてゆっくり降下させ、安全に着陸させることに成功した。
胡さんはひと晩中空中を漂う大冒険をしたにもかかわらず、怪我ひとつなく無事に生還した。強いていえば、背中にちょっぴり痛みが残っただけだったそうだ。
ウクライナ紛争が泥沼化している。2022年2月末にロシアがウクライナに軍事侵攻した前後、真偽のほどは定かでないが、巷ではさまざまな戦争伝説や幽霊伝説、さらにはUFO伝説まで囁かれた。
開戦直後、ロシアのミグ戦闘機を10機以上撃墜したエースパイロットの存在が囁かれたが、その正体は階級も所属も年齢も、男か女かさえも一切不明だった。
ただし、権威ある「(ロンドン)タイムズ」紙2022年3月11日付によれば、開戦当初の数日間でウクライナ軍はロシア機を、少なくとも6機は撃墜したが、ただしこれはパイロットひとりの手柄ではなく、地上からの対空砲火も大いに貢献しているという。
米都市サンフランシスコでは、グーグル社がロボットタクシー・ウエイモをテストし、一方ゼネラルモータース社は似たような運転者無用のクルーズ車を実験中だ。
だが、ベイエリアの住民たちはその実験結果にいささかご不満そう。それというのも自動運転車はちょくちょく立ち往生するし、往来の激しい通りをよけい混雑させるし、たとえ救急車や病院車や消防車などの緊急車両でも、意地悪く通せんぼしてしまう。
例えば、無差別銃撃事件が発生したとして、たくさんの犠牲者や被害者を一刻も早く救出・救命しなければという緊急事態の時などは、出動・目的地変更・病院の取捨選択など、生身の人間でなければ臨機応変に対処できない。
結局、最後の最後には、生身の人間の最終的判断がどうしても必要になるというわけだ。
オランダはフェーンダムのマリーン・デワルさんは、3歳になる虎柄の愛猫ミロの姿がここ数時間見えないことに不安を感じた。甘えん坊のミロらしくないからだ。
「過保護すぎますけど、この肌寒い季節、どこに遠出したのやら」
マリーンはSNSのフェイスブックで、ミロの映像と失踪のいきさつを報告し、猫好きユーザーたちに協力と通報を依頼した。
不眠と心痛の三日三晩を過ごした後、思いもかけぬ朗報が、853キロも彼方のオーストリアはロイッテから舞い込んだ。
当地の獣医師ヨハネス・ヘルティング氏から電話があり、ミロらしき虎猫を保護したとのこと。どうやらロイッテを通る定期運送トラックに乗って運ばれたらしい。
マリーンは愛猫を抱きしめて、
「終わりよければすべてよしね!」

南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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