魔女狩り人による悪魔学基本文献「完訳 デモノラトリー」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    完訳 デモノラトリー

    ニコラ・レミ 著/秋山眞人(国際気能法研究所) 監訳・解説

    魔女狩り人・レミによる悪魔学基本文献の完訳版

     本書は、本邦における悪魔学の研究と啓蒙の歴史上において、まさに画期的な金字塔となる一冊である。
     原著者であるニコラ・レミは、16世紀フランスの治安判事で、かのジャン・ボダンやド・ランクルに比肩される魔女狩り人。文字通り、悪魔学の歴史にその人ありと知られた最重要人物のひとりであり、「数百人の魔女を火刑台に送った」と自ら豪語する人物である。
     本書は、そのレミの代表作である悪魔学の基本文献Daemonolatreiaelibri tres(1595年、リヨン)の完訳版。底本として、1930年にモンタギュー・サマーズの注釈入りで刊行されたドーヴァー版が用いられている。

     このような貴重極まりない文献が、読みやすい日本語で完訳されるというこの僥倖は、文字通り一昔前では考えられない事態である。斯道の研究家・愛好家の皆様におかれましては、まずは本書を胸に抱いて、その幸福を存分に堪能されたい。
     しかる後、本書の監修者であり日本一の超能力者にして国際気能法研究所長である秋山眞人氏の提唱される、霊的な読み方を試みられると、悪魔学全般に対する理解がいっそう深化することだろう。
     なお余談だが魔女狩りに関するもうひとつの基礎文献である「Heinrich KramerのMalleus Maleficarum」の邦語版は、評者の知る範囲では現時点でKindle版のみ配信されている。これに関しては正直、評者としては、論評は差し控えさせていただきたい。

    ヒカルランド6050円(税込)

    (月刊ムー 2025年10月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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