湯川れい子のスピリチュアル半世紀「私に起きた奇跡」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    私に起きた奇跡

    湯川れい子 著

    奇跡は「起きる」ものではなく「起こす」もの

     本書の著者・湯川れい子氏は、音楽評論家・作詞家。代表作に、安西マリア『涙の太陽』、シャネルズ『ランナウェイ』、松本伊代『センチメンタル・ジャーニー』、稲垣潤一『ロング・バージョン』、アン・ルイス『六本木心中』……作詞家としての著者が、いかに当時の日本人の心をわしづかみにしていたかが、おわかりいただけよう。

     そんな著者は、人生は奇跡の連続だった、という。自称「とても平凡で平均的な人間」だった彼女は、高校卒業後すぐに音楽評論の道に入る。
     彼女は、エルヴィス・プレスリーの大ファンで、ほぼ不可能とされたエルヴィス本人との面会に成功。後には、自身の結婚証明書にサインをもらうにいたる。まさに奇跡である。
     また、女優シャーリー・マクレーンの著作を通じてスピリチュアルに傾倒しはじめた途端、シャーリー本人から招聘を受ける。その後、スピリチュアルの総本山ともいうべきダライ・ラマ14世、そしてサイ・ババの両巨頭との面会も果たしてしまう。

     だが彼女によれば、「奇跡は奇跡の顔をしているわけではない」。日々を懸命に生きるうちに、時間がたって初めてそれが奇跡であったことに気づくのだという。と同時に、奇跡はまた「起きる」ものではなく「起こす」ものであるという持論が、実体験とともに語られる。
     著者の半生と思いを追体験しつつ、スピリチュアルな気づきを得られる良書。ファンならずとも必読である。

    ビジネス社1760円(税込)

    (月刊ムー 2025年5月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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