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黒木朋興 著
時代とともに多様化するヘヴィ・メタルを題材に西洋社会とキリスト教の理解を深める文化論
ロック・ミュージック、中でも「ヘヴィ・メタル」と呼ばれるジャンルは、1970年代初頭、ブラック・サバスの結成をもって産声を上げるが、以来、一貫して、このジャンルは悪魔表象を扱ってきた。
なぜ彼らは悪魔を歌うのか? それは、そもそもロックという芸術運動自体が、人種差別問題や階級問題を背景に、「社会に対する不満を音楽に乗せてぶつけるもの」であり、「権力に対して牙を剥く彼らが悪魔と相性がいいのは当然」だったからである。
本書は、時代とともにさまざまに変貌し多様化するヘヴィ・メタルを題材として、「西洋社会とその基礎となっているキリスト教の理解を深めるという目標の下、ロックと悪魔表象というテーマを論じ」ようとする試みである。
そもそも、古来の一元論のカトリックでは、悪魔は圧倒的な神の力の前には、取るに足らぬ存在でしかなかった。だが、このカトリックに対して、血みどろの総力戦を挑んだプロテスタントは、その宗教戦争において、思想的にはむしろ二元論に近づき、その伝統の中で悪魔表象を強調していくことになる。その意味では、ヘヴィ・メタルはむしろ、プロテスタントの伝統の後継者ともいえるのである。
本書を一読して、とりわけ恐ろしく感じたのが、「自らを正義」と信ずる者たちによる文化弾圧である。
たとえば、アメリカでは、「福音派」と呼ばれるプロテスタント原理主義者が、巨大な勢力を占めている。彼らにとって、悪魔は実在する脅威であり、絶対に看過できるものではない。
そして彼らは、自らは神の側、つまりは「絶対正義」の体現者であると信じている。そんな正義という錦の御旗を掲げた彼らが、ヘヴィ・メタルに加える攻撃は、必然的に徹底して陰惨かつ苛烈なものとなるのだ。他者を悪魔化するとき、その当人こそが悪魔になるという皮肉を、心に刻みたい。
著者の黒木朋興氏は、フランス文学者で、現在は慶應義塾大学などで非常勤講師を務める。主著に『マラルメと音楽――絶対音楽から象徴主義へ』(水声社)がある。
文学と音楽をこよなく愛する著者が、独自の観点から論じたあまり類例のない文化論、宗教論として、本書を推す。
(月刊ムー 2025年3月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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