地球の生命誕生前に「似て非なる生命」が存在した!? 今週のムー的ミステリーニュース7選

文=羽仁礼

    12月6~12日に世界を騒がせたオカルト・考古学・民俗学などの最新不思議ニュースから、超常現象情報研究所と編集部が厳選!

    1938年のフェイクニュース

    映画『宇宙戦争』より引用

     12月6日放映の「ダークサイドミステリー」(NHK-BS)は、1938年にオーソン・ウェルズのラジオ番組が原因でパニックが起きたとされる事件の真相に触れる。H・G・ウェルズのSF小説「宇宙戦争」が臨時ニュース形式で放映されたため、100万人とも言われる聴衆がその内容を事実と信じてパニックになったという話は広く信じられてきたが、最近の調査でパニックと呼べるようなものは発生していないと判明した。長年そう信じられてきたのは、ラジオに対抗意識を持つ新聞が根拠のない記事を書き連ねたことも大きな原因だった。また『火星からの侵略』を著した社会心理学者ハドリー・キャントリルの調査も、サンプル選択に歪みがあったという。

    https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/episode/te/QGP49GX6K3/

    暴走呪術

     ハイチの首都ポルトープランスのスラム街、シテ・ソレイユで12月6〜7日にかけて、60歳以上の高齢者180人以上がギャングに殺害される事件が起きた。ギャングの指導者ミカノール・アルテが、自分の子どもの病気についてヴードゥー教の司祭に助言を求めたところ、この地区の高齢者が呪いをかけたせいだと告げられたため、高齢者を殺害するよう命じたという。ハイチではヴードゥー教が強い社会的影響力を維持しており、呪術も広く信じられている。なお、アルテの子は死亡したという。

    https://www.cnn.co.jp/world/35227115.html

    忍者の実像

    忍術書『間林清陽』 画像は「甲賀市」より引用

     12月11日放映「歴史探偵」(NHK総合)は、「忍者サバイバル」の副題で、最新の忍者研究を紹介。番組の秋鹿アナウンサーが忍者の里、伊賀市を訪れて忍者の歴史や、3年前に発見された忍術書『間林清陽』の内容を紹介、忍者の秘術を再現する試みにも触れる。甲賀忍者・藤田西湖が陸軍中野学校で忍術を教えていたことにも言及。

    https://www.nhk.jp/p/rekishi-tantei/ts/VR22V15XWL/plus/

    ピラミッド、墓ではなかった?

     12月9日放映「独占取材!ピラミッドの常識を覆す3つのカギ」(TBS系)は、ギザの大ピラミッドが墳墓であるとする通説に異を唱えるエジプト考古学者・吉村作治の最近の研究成果を紹介。墳墓説を否定する根拠として、王の石棺には名前が刻まれているはずなのに、大ピラミッド内に残る石棺には何も掘られておらず、しかも近くで見つかったクフ王の子の一人の石棺よりも小さいことを挙げる。また吉村は、大ピラミッドとカフラ王の第2ピラミッドは、クフ王以前から聖地とされてきたアビュドスの地形をギザに再現するために建てられたとし、クフ王はピラミッド西方にある謎の空白地帯に葬られていると主張する。この空白地帯では現在発掘が進められている。

    https://rkb.jp/tv/egypt2024

    日本最古の人骨と疑惑

     12月7日付「朝日新聞」夕刊「『日本最古の人骨』クマだった」は、1957年に愛知県豊橋市牛川町の石灰岩採石場で発見され、かつては日本最古の人骨と考えられていた牛川人の化石がクマのものだという説について報道。この化石骨については1980年代から人間のものではないとの批判がなされていたが、新潟医療福祉大学の佐宗亜衣子教授らはヒグマやツキノワグマの骨と比較し、クマの骨、それも後期更新世(12万6000年~1万1000年前)のヒグマの可能性が高いとした。

    https://www.asahi.com/articles/DA3S16101881.html

    生命誕生のミステリー

     12月8日付「日経新聞」朝刊「科学の扉」は、地球で最初の生命に関する諸説を紹介する。生命は約40億年前に誕生したとみられ、RNA(リボ核酸)を使って自己複製を行う「RNA生命」が最初と考える研究者が多いが、RNAは熱や紫外線に弱く、生命が誕生したといわれる海水中では合成できない。実験室でも、短いものしか合成されていない。そこで、「RNA生命」以前に、アミノ酸がいくつかつながるペプチドの段階で自己複製が行われた、つまり「似て非なる生命」が存在したのではないかと考える研究者もいる。

    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG11AFK0R11C24A1000000/

    遅れる日本の宇宙開発

     12月9日、政府の宇宙政策委員会が政府の宇宙政策の進め方を示す「宇宙基本計画工程表」の改定案を示した。改定案では、2024年度内に予定されていた次世代小型ロケット「イプシロンS」の打ち上げ時期を明記せず、「H2A」最終機となる50号の打ち上げを2025年度に延期。インドが協力して月の水資源を調査する「LUPEX」も2025年度から2026年度に遅らせるなどの内容となっている。また工程表に、地球に接近する小惑星や彗星に対応するプラネタリーディフェンスを盛り込む案も大筋で了承された。工程表は年内に開催される宇宙開発戦略本部で正式掛呈される。12月10日付「日経新聞」朝刊、及び12月11日付「朝日新聞」夕刊に関連記事。

    https://www.asahi.com/articles/ASSD92QY1SD9ULBH006M.html

    羽仁 礼

    ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
    ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。

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