相手の魂を受け入れ、アートとして描き出す! 坂東工の「オーラアート」の神秘/辛酸なめ子
「バチェラー」の司会進行、俳優、アーティストなどの顔を持つ坂東工氏が手掛ける「オーラアート」とは? 対象を取り込んで描く自動書記のような描写法に驚愕!
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文=ケリー狩野智映(海外書き人クラブ/スコットランド・ハイランド地方在住ライター)
作品が「予言」として話題のポップアーティストに現地スコットランドでインタビュー。彼が心の目で見た世界に…光明を、見たい。
イギリス北部スコットランドのハイランド地方に住むポップ・シュルレアリスム系アーティストが、ドナルド・トランプ絡みの重大事件を予見していたのではないかと思わせる作品を描き上げていたという話題は別の記事で紹介した。
https://web-mu.jp/history/49065/
では、その作者であるマイケル・フォーブス氏とは、どんな人物なのだろうか。
同じくスコットランド・ハイランド地方を拠点(しかも同氏の自宅から車で20分程度の距離)に活動するフリーライターの筆者が話を聞いた。
マイケル・フォーブス氏は1968年生まれの現在56歳。
15歳のとき、それまでアートに無縁かつ無関心だったフォーブス少年は、突如として絵画創作に目覚めた。だが、学校で美術を習ったわけでもなく、アートスクールに通ったわけでもない。ただただ絵を描きたいという強い願望に突き動かされ、ほぼ独学でアーティストになった。
アート教育らしき体験といえば、1990年代にハイランド地方の主要都市インヴァネスの郊外に居を構えていたイングランド出身のポップアーティスト、ジェラルド・レイング(1936~2011)のアシスタントとして働いたときのことだろう。
絵を描き始めたときから、目に見えるものを写生するのではく、心に思い浮かんだもの、つまり心の目が見たものを描いていたのだ。そして、彼の作品を目にした赤の他人から「君の絵はシュルレアリスム(超現実主義)だね」と指摘されるまで、そのようなものが存在することさえ知らなかったという。
オカルトや超常現象には興味がなく、何事にも科学的な説明を求めるタイプだと自身を描写しているが、何度か不可思議な体験をしていることも事実。
そのなかでも極めて驚異的なのは、2011年に他界した母君の話だ。
フォーブス氏の母君は当時、末期がんで余命わずかとの宣告を受けていたが、残された日々を家族に囲まれて過ごすことを希望し、自宅で生活していた。
それが、彼女が永眠する10日ぐらい前のこと。夜中に突然目を覚ましたフォーブス氏の母君は、「恐ろしい大津波が日本を襲った」と言い、テレビでニュースを貪るように探し始めたという。だがそのような報道は見つからなかった。
それから彼女は毎日のように、テレビやラジオ、新聞で日本での大津波のニュースを探し続けた。彼女の動揺ぶりを心配したフォーブス氏は、父君と弟と共にさまざまなメディアで幾度も確認したが、それらしき報道はどこにも見当たらなかった。
海外旅行に行ったことがなかった母君は、国際情勢に特に関心を持つこともなく、のどかなハイランド地方で穏やかな人生を送っていたという。それがなぜ突然、「日本で大津波」なのか。
死が目前に迫った母の妄想かと思ったものの、彼女の主張があまりにも具体的で、確信している様子であることがなんとも不可思議だったという。
それからしばらくして母君は入院し、数日後に病院で息を引き取った。
看護師たちが母君の遺体を着替えさせる間、フォーブス氏たち遺族は病院の待合室で待機することになったのだが、その待合室のテレビで流れていたニュース速報がフォーブス氏の目に飛び込んだ。
それはなんと、東日本大震災の巨大津波による甚大な被害の報道だったのだ。
フォーブス氏は隣に座っていた弟に、これは本当に現実かと何度も聞いたという……。
自らの命日に起こる、遠く日本の巨大災害を予知していたのか……?
果たして、フォーブスの母君には秘められた透視力があったのだろうか。そしてフォーブス氏自身も、それを彼女から受け継いでいたのだろうか。
実際、本人に自覚はないものの、その可能性をうかがわせる過去がフォーブス氏にはある。
子供の頃から環境問題に敏感だった彼は、17歳だった1985年に地球温暖化をテーマにした一連の絵画を創作・展示している。
地球温暖化が国際的に注目されるようになったのは、1985年10月にオーストリアのフィラハで温室効果ガスの影響をとりあげた世界会議が開催されてからのことというから、同時期に弱冠17歳でこの問題を絵画で表現していたというのには驚きだ。
そんなフォーブス氏は、20年近くの経歴を持つ筋金入りの反トランプ派だ。
2006年、ドナルド・トランプの事業体トランプ・オーガナイゼーションは、スコットランド北東部のアバディーンシャーに広大な土地を購入。同事業体が進めていたゴルフリゾート開発計画に対し、環境に悪影響を及ぼすとして地元住民の多くが反対していた。フォーブス氏は2007年から何度も抗議デモに参加したという。
さらに、リゾート建設予定地の近くに所有する農地をトランプに売り渡すことを拒み続け、スコットランドの国民的英雄になった農業・漁業従事者のマイケル・フォーブス氏(なんと同姓同名!)を称え、トランプが「まるでブタ小屋」と罵った彼の倉庫の壁に、「STOP」という文字を刺青した拳を見せる彼の巨大な肖像画を描いた。
その当時から、「トランプは富と権力を手に入れることしか頭になく、環境にとっても人類にとっても脅威だ」と直感的に感じていたという。
そして2016年6月下旬。トランプ・オーガナイゼーションがスコットランドに所有するターンベリーゴルフリゾートを、米大統領選挙キャンペーン活動中のトランプが訪問したとき、フォーブス氏はトランプの顔を悪魔の顔にしたてた巨大なプラカードを作成し、抗議デモに参加している。
同年11月の大統領選挙におけるトランプの勝利に愕然としたフォーブス氏は、翌年2017年1月20日の就任式の数日前に『Not My President』と題した作品を描き上げ、Instagramで公開した。
そこには、紙の王冠を被ったトランプの顔を持つキングコングが自由の女神の頭に乗っかり、向かって来るスーパーマンを叩きのめそうとしている姿が描かれている。よく見ると、自由の女神の顔は世界的なポップスターのマドンナで、パンチを食らったかのように左目がどす黒く腫れている。そして右手には、たいまつの代わりに「NOT MY PRESIDENT」と書かれたプラカードが。
この彼の作品をなんと、マドンナ本人がソーシャルメディアで共有し、英米メディアで話題になった。
*BBCの記事:https://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-highlands-islands-38662225
モンティ・パイソンのテリー・ギリアムなどのセレブからも高く評価されている彼の作品には、反トランプの政治的メッセージを含むもののほかに、環境問題を訴えるものや、女性の権利と多様性を擁護するものが数多くある。
フォーブス氏は自らを予言者と名乗ることはない。ただ、とびきりシュールな独特の世界観で描かれたこれらの絵画には、もしかしたら、フォーブス氏の心の目が見た近未来の出来事が示されているのかもしれない。
気になるムー民の方々は、フォーブス氏をInstagramでフォローしてはいかがだろうか。
マイケル・フォーブス氏のInstagramアカウント:michaelforbesartist
同氏のホームページ:http://www.michaelforbes.co.uk
ケリー狩野智映
スコットランド在住フリーライター、翻訳者、コピーライター。海外書き人クラブ所属。
大阪府出身。海外在住歴30年。2020年より現夫の故郷スコットランド・ハイランド地方に居を構える。
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