語られ書かれて生まれる実話怪談というジャンルを語り合う「教養としての怪談」対談/吉田悠軌・蛙坂須美
各種メディアにとりあげられ、すでに重版出来の話題書『教養としての最恐怪談』。先日開催された発売記念イベントでは、実話怪談をめぐるあつい議論が交わされた……!
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台風に負けるな!この夏最後(?)の怪談会は怪しいワード連発の盛り上がり。
とにかく暑かった2024年の夏。この酷暑をひんやりぞわっと納めるような怪談会が、8月末、東京の阿佐ヶ谷ロフトにて開催された。出演は、吉田悠軌さん、松原タニシさん、煙鳥さんというやや異色の顔合わせだ。
吉田悠軌さんは、古今の怪談の裏にある歴史的背景を読み解いた新刊『教養としての最恐怪談』(ワン・パブリッシング)も好評の怪談師・オカルト文化研究家。
“事故物件住みます芸人”としてお馴染みの松原タニシさんも毎年夏に二見書房より怪談本を発表しているが、今年の新刊はその名も『恐い怪談』(二見書房)。タニシさんが聞き集め、あるいは自ら体験した100話の怪談が収録され、思わず再確認してしまいそうなチャレンジングなタイトルも注目された。
そして煙鳥さんは、15年近く前からニコ生での怪談配信を行ない、現在も「VR怪談」など新たな恐怖の表現を模索し続ける知る人ぞ知る覆面怪談師だ。『最恐怪談』と同時期に発売された吉田さんの新著『ジャパン・ホラーの現在地』(集英社)での対談相手のひとりでもある。
迷走を続ける台風10号の影響により、怪談会当日は東海道新幹線の名古屋―三島間運休という非常事態が直撃。不可抗力的なキャンセルも見込まれるコンディションのなか、ふたを開ければ会場はほぼ満席のお客さんに恵まれた。
余談ながら、7月に大阪梅田で行われた『最恐怪談』イベントも、豊橋―三河安城間での脱線事故による東海道新幹線全面運休に直撃されるタイミングだった。この本、中部地方に何か災厄を招いてしまうのか……。
ともかく満席御礼の怪談会は、煙鳥さんの「“エドナラベ”って知ってますか?」という奇妙なひとことで幕を開けた。“エドナラベ”、それは煙鳥さんが取材した、ある一族だけが今も持ち続ける、人の死期を予知する能力だというのだがーー。
続いて吉田さんからは八丈島のタブー「七人坊主」にまつわる不気味な事件の連鎖、タニシさんからは「ある単語を口にした瞬間100%会話を打ち切られる海女さんの集落」というご自身の怪体験など、かわるがわる1時間以上にわたり怒涛のノンストップで怪談が披露された。
エドナラベ、七人坊主、海女集落の禁忌……詳細が気になる方はぜひ、9月13日まで視聴可能なアーカイブ配信をご覧いただきたい。
イベント後半ではこれまた怒涛の心霊写真紹介コーナーや、煙鳥さんによる最新VR怪談解説など濃厚な怪しい時間が展開。トーク終了後にはサイン会が開催され、盛況のうちに閉幕となった。
怪談の語り部や怪談作家も大きく増え、テイストやスタイルも多様化している近年の怪談界。三者三様のベテラン怪談プレイヤーの現在地点は、アーカイブ、そしてそれぞれの著書でぜひ確認したいところ。ようやく秋の気配がみえてきたとはいえ厳しい残暑が予想される日々、まだまだ今年の怪談熱はおさまらなさそうだ。
『ジャパン・ホラーの現在地』(集英社) https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-788104-2
『恐い怪談』(二見書房) https://www.futami.co.jp/book/5964
『教養としての最恐怪談 古事記からTikTokまで』(ワン・パブリッシング) https://one-publishing.co.jp/books/9784651204529/
webムー編集部
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