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島崎 晋 著
呪術にまつわる興味深いエピソードの集大成
「呪術」とは何か。著者によれば「地球上にはいまだ呪術師頼みで生きる人びとや地域が数多く残」る一方で、「科学が発達した先進国では、主にフィクションや個人的嗜好の世界で呪術や魔法は欠かせないアイテムと化している」。日本でも『呪術廻戦』や安倍晴明などを挙げるまでもない。
「日本も世界も呪術や魔法に心の安らぎを見出している」というのだ。
本書はそのような状況下において、読者の餓えを満たすべく、呪術に関する「古今東西の事例を幅広く扱」うという方針の下に編まれた教養書。
古代文明における呪術の歴史に始まり、中国とアジア、ヨーロッパと日本、そして近現代という項目別に、興味深い話が、これでもかと掲載されている。中でも、特に中国関係の記述が充実しているように感じるのは、著者の留学体験の賜物か。
「呪術の世界史」と題されてはいるが、通史のような体系的なものというよりも、各時代と地域における呪術にまつわる興味深いエピソードをひたすら集めて紹介するという構成。そのため、ぱらぱらとめくりながら、興味を惹かれたトピックを拾い読みする、という読み方も可能だ。
驚愕したのは定価で、この内容にして税別1500円というのは、あまりにも破格ではあるまいか。
著者の島崎晋氏は歴史・神話関連等を得意とするフリーライターとのことだが、実際に世界各地に自ら赴いて呪術の取材に当たっておられるようで、素直にうらやましい。
(月刊ムー 2024年10月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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