ツチノコのドキュメンタリー映画が追う怪蛇の実像とは? UMA研究家との対談を公開
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沖縄の離島を舞台にしたドキュメンタリー映画に、なぜかUFOが映っている! ちょっとふしぎなタイトルの映画『丸木舟とUFO』の関係者にインタビュー、UFO映像の真相を聞いた。
2022年9月24日、『丸木舟とUFO』というちょっとふしぎなタイトルの映画が公開される。
映画の舞台は沖縄県の石垣島。島北部に位置する人口20数名の極小集落、久宇良(くうら)に暮らす船大工の吉田友厚さんが映画の主人公だ。17年前に久宇良に移住してきた吉田さんは、島ならではの人間関係やルールを学びながら、やがて老船大工に弟子入りしてサバニとよばれる伝統的木造船の製造を生業にする。
友人から「そんなことしてどうするの」といった心ない言葉をなげかけられることもあったが、天職だと信じた船大工に打ち込み、今では自作のサバニを使ったガイドツアーを立ち上げ静かなブームを起こしている、島の仕掛け人である。
そんな吉田さんが新たに挑んだのが、一本の原木から船を彫り出す丸木舟の製作。経験者もほとんどいなくなってしまった古い技術を手探りで復元し、つくりあげた丸木舟で、はたして海に漕ぎ出すことができるのか……。
伝統的な木造船にあたらしい可能性を吹き込んだ吉田さんの人生、離島の小さな集落に暮らす人たちの交流、そして吉田さんファミリーそれぞれの人となりが穏やかにしみる、あたたかいドキュメンタリー映画が『丸木舟とUFO』だ。
……なのだが、ムーとしてはどうしてもスルーするわけにいかない3文字が、そこにはある。
「UFO」だ。
そもそも、この内容の映画でなぜタイトルに「UFO」が入るのか?
じつは作品内でも描かれているのだが、久宇良にはUFOを呼び、コンタクトをとることができる「UFOおじさん」とよばれる名物おじさんがいるのだ。
オカルトテレビ番組などで登場する「UFOおじさん」的な人物といえば、割とどこの地域でも遠巻きに眺められがちな存在だが、この久宇良の「UFOおじさん」はみんなに愛される存在。それどころか、おじさんを中心に地域の人みんなで星空をみあげ、UFOを探すのがローカルなブームにまでなっているという。
さらに驚くべきことに、映画ではこのUFO探しの集まりでほんとうにUFOが出現したシーンの映像が公開されているのである。映像は集会に参加した監督が現場で撮影したもので、それは「なにか映ってるような気がする……」というレベルではなく、はっきりと、星とは明確に異なる発光体が夜空を移動し、瞬間的に消える様子がとらえられていた!
webムー編集部は、水本博之監督、吉田友厚さん、そしてUFOおじさんこと前田末和(まえだすえかず)さんとのリモートインタビューの機会を得た。そのやりとりを交えながら、他に類を見ないふしぎな映画『丸木舟とUFO』の魅力に迫っていきたい。
『丸木舟とUFO』は、サバニをつくる船大工、吉田友厚さんの人生にフォーカスした映画で、『縄文号とパクール号の航海』などこれまでにも船をテーマにしたドキュメンタリーを製作している水本博之監督が、吉田さんに興味をもち密着をはじめたもの。
普通であれば、この流れの先には当然純粋な木造船ドキュメンタリーが生まれているはずで、そこにUFOが入り込む余地はない。監督がUFOおじさんや、UFO探しが地域のブームになっていることを知ったのは撮影が始まってからのことだったという。だが、一見なんの接点もなさそうな丸木舟とUFOには、「UFOってちょっと面白い」という以上の深い関係性が隠されていたのだ。
——ムーとしてもたいへん興味をもって映画を拝見したんですが、UFOの映像には驚きました。念のために確認ですが、「丸木舟とUFO」という興味深いタイトルとテーマは、「丸木舟」の部分である吉田さんのドキュメンタリーを撮影していたら、「UFO」が後からテーマとして浮上した、ということで間違いないでしょうか。
水本 そうです、そういうことですね。
——まったく偶然のUFOだったんですね! UFOをテーマにした映像作品は山ほどありますが、たいていはUFOを撮りたいという情熱からはじまるものです。別の企画で撮影していたらたまたまUFOが撮れてしまった、かつそれが作品のなかに違和感なく馴染んでいる。これはもう、ドキュメンタリー映画として画期的なことですね。
水本 ありがとうございます(笑)
——UFOは特別なものじゃない、どこにでもあるんだ、というリアリティが感じられました。監督ご自身は撮影中にどのくらいUFOをみたんですか?
水本 3回ですね。久宇良集落で、会議や集会のあとに開かれる空を見る集まりに3回誘ってもらって、その3回とも映像をおさえられています。あ、あと映画の撮影終了後にも1回撮れました。終了後なのでそれは映画には入っていないんですが、星空に4つ点があって、それが4方向別々に動いていくという……撮影できたなかで一番ふしぎな映像です。
ただ、僕はそれが何だ、という断言はできません。「点が映った」という以上のことはいえなんですが、しかし何かが映ったことは確かです。だから、なにもないことはない、久宇良の空に何かがいること自体は否定できないと思っています。
——あらためてすごい確率です。石垣島はUFOホットスポットですね。
——丸木舟についてもお伺いします。監督はこれまでも船をテーマにした映画を撮られていますが、吉田さんが一本の木から丸木舟を彫り出すシーンには、まるで仏像を彫るような荘厳さも感じられました。
吉田 ぼくの船大工の師匠もそうだったんですが、船をつくる場所ってなんとなく神聖な空間になるんですよね。また木も生き物ですから、木を伐ることは生き物を伐ることだという意識は常にあります。そして、そうした木・木材には神様が宿っているんだとも考える。そういう宗教観なんですよね。
だから地方によっては、船を進水させるときにわざとひっくり返すってところもあるんですよ。そうすることによって木の神様を海に落として、逆に海の神様に船にはいってもらう。そういうしきたりを続けているんです。
あと、ちょっと脇にそれますが、神社の鳥居のいちばん上の部分って船のかたちをしているんですね。だから船大工の間では「鳥居がつくれたら船が作れる、船が作れたら鳥居が作れる」という話があったりもします。丸木舟はそれこそ縄文時代までさかのぼれるものですから、日本各地に同じような宗教観が、根強く残っているんじゃないかなと思いますね。
水本 僕は木造船をつくってインドネシアから日本まで航海するというドキュメンタリーも撮影しているんですが、インドネシアだと船は人体に例えられるんです。ここが頭、ここがへそというように人体に対応する部位が決まっている。またそれは家も同じなんです。
そして家のへその部分にはバナナを吊るすとか、民間宗教のような意識が残っている。そういう宗教的な感覚は丸木舟でも同じで、世界的に共通する意識のようなものはあるのかもしれませんね。船に、どこか宗教的なものをイメージする。
船って、日常の移動の手段であるのと同時に、あの世との交流の手段、つまり別の世界へ旅するためのツールでもあるんです。だから丸木舟を彫り出す風景から仏像制作を連想する、というのは、言われてみればなるほどと思う部分がありますね。
——沖縄には、海の向こうにある異世界、常世の国ニライナカイの信仰もありますね。海の彼方、常世にむかって進む丸木舟と、そしてUFOもまさに「異世界からの乗り物」です。
水本 そうなんですよね。実はその点は少し意識はしているんです。船は僕がずっと撮り続けているテーマなんですが、先ほどもいったように、UFOは撮影のなかで突如現れたものでした。だけど、一見関係ないようでいて、これって無視していいものなのかな、と。
というのも、UFOって「知らない世界の、知らない船」なわけですよね。そうだ、船だよな……と考えたら、これは並列して描くべきテーマだろうと思ったんです。水平に移動する海の船と、垂直に移動する空の船としてのUFO。そのどちらも、異世界への移動ツールである……ということは、あえて明示はしていないですが、意識していました。
それに、たしかにこの映画の主役は吉田さんですし、吉田さんは伝統的な木造船の技術を守り伝えていく貴重な人、人材です。だからそういうところをとって「SDGs」的な方向でまとめることもできたんですが、でも、そういうことじゃないよな、大事なことってそれだけではないよね、と、そういう意識もあります。でも僕は他の人が捨てていくようなテーマをあえて拾っていくところがあるので、きっと別の人が監督だったらやっぱり「UFO」は入らなかったでしょうね(笑)。
吉田さんを結節点として、船を追うドキュメンタリー監督と久宇良集落が出会ったからこそ生まれた、それ自体が奇跡のような作品が「丸木舟とUFO」だったのだ。
後半では、「UFOおじさん」こと前田末和さんに石垣島のUFO事情を詳しく聞いていきたい。
『丸木舟とUFO』 は9/24(土)よりポレポレ東中野(東京都)にて公開。
webムー編集部
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