君はユリ・ゲラーに「テレパシーでやれよ!」とツッコんだことはあるか?/大槻ケンヂ「医者にオカルトを止められた男」(3)
ユリ・ゲラーと矢追純一。70年代に超能力ブームをもたらしたジャパン・オカルト最強コンビと40年後に出会ってみたら……その衝撃を振り返る!
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「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2024年2月号、第478回目の内容です。
スプーン曲げで有名な超能力者ユリ・ゲラーは、現在イスラエル国内に居住しているが、2022年7月、13年前に購入した英スコットランド沖合いの無人島、ラムアイランド(子羊島の意味)の国家独立宣言を行った。
島の大きさはせいぜいサッカー競技場ほどしかないし、人も住んではいないが、それでも立派に国旗と国歌があり、自前の憲法まで存在する。
「ラム島のようなすばらしい場所はほかにはないよ」とゲラーは胸を張る。「ほかとは比べようがない素晴らしい自然が、そっくりそのまま存在しているんだ!」
もっとも、ラム島のような〝ミクロ国家〟の誕生は、イギリスではこれが初めてではない。ほかにもロンドンのアパート内に創建された〝ラヴリー王国〟や、テームズ河口に存在した〝シーランド〟などの有名な前例がある。
米ケンタッキー州の観光名所レッドリバー峡谷を、両親と一緒にハイキング中のディラン坊や(仮名、4歳)が、うっかり足を滑らせて崖から転落してしまった。
ディラン君は途中の岩棚をゴロンゴロンと跳び弾ねながら、21メートル下の谷底まで落下した。
両親の通報で救助隊が現場に駆けつけ、谷底まで降りてみると、ディラン君は予想に反して元気一杯で、擦り傷と軽度の打撲傷しか負っていなかった。
ウォルフ郡捜索救助隊のドルー・スティーヴンスは報告する。
「坊やは軽い体重が幸いして、擦り傷と打ち身以外はほとんど無傷で助かった。まさに奇跡だね」
2021年10月19日付「ニューススカイ・ドットコム」によれば、念のため最寄りの病院で診療検査を受けたが、全身どこにも異常はなかったという。
英国サフォーク州サドベリーのナタリー・フォーサイス夫人は、息子のアーチー君(13歳)のいうことが最初は信じられなかった。
トイレを使った後でいつも水を流さないのは、自分ではなくて5歳になる飼い猫のロケットが犯人だといい張るのだ。
だが、注意深く観察すると、たしかにロケットは便座に坐って人間のように用を足すと、そのままトイレから出てきた。
「ある晩外出から帰ってくると、ロケットが便座に坐っていて、用を足した後、水を流さずに出てくるのを目撃したわ。じつは私もときどきそうするので、きっとそれを真似したのね」
と夫人は正直に告白した。
ロシアのウクライナ侵攻で、このところ大いに迷惑を蒙っているのは、世界唯一の〝ウラジーミル・プーチン大統領の職業的ソックリさん〟、ポーランドはヴロツワフ在住の芸人スワヴェク・ソバーヤさん(53歳)だ。
ヴロツワフにはウクライナ人がたくさん住んでいて、ソバーヤは彼らが自分たちポーランド人と対立関係になるのを恐れる一方で、心情的にはウクライナ人に同情している。
だが他方、自分そっくりなプーチンにも親近感があり、侵略行為には絶対反対だが、本業である旅行業者としては、ロシアにも儲けさせてもらっているので、心中ではそのジレンマに悩んでいる。
ソバーヤはこう慨嘆する。
「プーチンが悪いことをしているのは事実だし、今後もソックリさんとして利用するのは少々気が咎めるんですがね」
トルコ北西部のブルサ県で、行方不明になった男が、自分自身を捜す捜索隊にそれとは知らずに参加し、何時間も経ってから、この捜索隊が捜しているのは当の自分なんだと気がついた。
ベイハン・ムトルさん(40歳)の妻は2021年9月28日、夫が友人たちと酒を飲んだ後、ひとりで森の中へさ迷い込み、それきり夜になっても帰ってこないので、地元当局に届け出た。
夜が明けると、当局はただちに捜索隊を組織して、ムトルの捜索に出発させた。
一方、森林の中で一夜を明かした当のムトルは、森の出口で捜索隊にばったり出くわすと、自分も隊列に加わって歩きはじめた。
「おーいムトル、どこにいる?」
「おーいムトル、無事かあ?」
しばらくしてから、隊員たちが口々に叫び出すのを見て、ムトルはようやくこの捜索隊が捜しているのは自分なんだと気がついた。
「おれはここにいるよ!」
警官に事情聴取をされると、ムトルは平謝りになった。
2021年10月1日付「BBCニュース」によれば、ムトルは必死になって叫んだという。
「どうか重い罰は勘弁して、お巡りさん! 親父に殺されます!」
インドはウッタルプラデシュ州ムザファルナガル在住のビジャイ・クマールさん(32歳)は、突然激しい胃痛に見舞われて、救急車で病院に緊急搬送された。
X線検査の結果、原因はなんとクマール自身が1年がかりで呑み込んだ、62本もの金属製スプーンと判明した。
ただちに外科手術が行われ、2時間がかりでスプーンはすべて取り除かれて胃痛は治まった。
同じインドのラジャスタン州ジャイプールでも、36歳の男性プラモド(仮名)が胃の激痛を訴えて病院に担ぎ込まれ、こちらは胃の中に少額貨幣がたくさん呑み込まれていることが判明した。
やはりX線検査で数えると、胃の中の少額貨幣の山は63枚のコインからなることがわかったが、全部を取り出すには内視鏡手術でまる2日がかりとなった。
それにしてもどうして、金属スプーンやコインをそんなにたくさん呑み込まなければならなかったのか?
プラモド自身によると、なぜか気分が落ち込むとすぐ、呑み込みたくなるのだという。
2022年9月29日付「インディア・ドットコム」によれば、この患者は内視鏡検査の後、精神科に回されて治療を受けることになった。
南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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