この世界が仮想現実かどうかを見破る方法がある!/真実の目『宇宙奇譚集』プレビュー その2

文=真実の目

    この世界は、私たちが想像可能な領域を遥かに超えて複雑、かつ不確かに、そして、〝かなり興味深く〟成立しています。そのような奥深い世界を覗き込むために、サイエンスからオカルト、都市伝説まで縦横無尽に横断することで、〝世界解読〟を試みる「真実の目」氏の『宇宙奇譚集』。その気になる中身を抜粋、再構成し7回にわたりプレビュー公開いたします。2回目は、この世界がもし仮想現実ならば、見破る方法はあるのかーー

    この世界が「仮想現実」かどうかを見破る方法

     私たちのこの現世界において、私たちが今いる世界は現実なのか、それともシミュレーションなのか。それは、どうやって判断できるでしょうか。
     これを確かめる方法を今から分析していきたいと思います。
     分析のロジックは次のようなものです。
     仮に私たちが今いるこの世界がコンピュータによる仮想現実であれば、コンピュータやプログラミングによって構築された特徴が、ある程度この世界に反映されているはずだと考えるのです。
     さあ、この特徴が世界に現れているかどうかを確かめてみましょう。

    この世界は仮想現実なのか!?

    ハードウェア処理速度の制限〝光速の制限〟

     まず、皆さんもご存じのように、この世界は物理法則の支配下で動いています。しかし、これら物理法則の中にも、私たちの常識に反する法則があります。それは、「光速不変の原理」です。
     真空中の光の速度はどのような状況においても、永遠に毎秒約30 万㎞です。そして、この世界のどんな物の移動速度も、光速を超えることはできません。つまり、この世界の速度には、上限が存在しています。
     なぜこの世界には、移動速度に上限があるのか?  
     これはシミュレーション仮説なら説明できます。コンピュータなどのハードウェアは、物理的な処理速度の限界があります。
     もしこの世界が何らかのハードウェアによるシミュレーションであれば、そのハードウェアにも、処理速度の上限があるはずです。
     そして、その上限はこの世界に何らかの形で反映されます。
     上記の光速という移動速度の上限は、ハードウェアの上限からくるものなのではないでしょうか。
     また、この世界においては、物が動く速度だけではなく、情報の伝達速度も光速を超えることができません。
     これらのことはすべて、私たちの世界をシミュレートするハードウェアの上限処理速度に起因しているのかもしれません。

     ここまでの説明で気づいた方がいらっしゃるかもしれませんが、先ほどの説明の中で、「この世界の移動速度の上限は光速だ」という言葉を使いました。
     なぜ「速度」ではなく、あえて「移動速度」という言葉を使ったのか。それはなぜなら実は、宇宙には光速を超えるスピードが存在しているためです。
    それこそが、「空間の膨張する速度」です。
     なぜこの話をここでするかというと、これもハードウェアの処理速度の上限という話と関係があるからです。

    この世はシミュレーション!?

    宇宙に閉じ込められた〝空間の制限〟

     この宇宙は、「ビッグバン」によって誕生したと説明されています。これを、「ビッグバン理論」と言いますが、この理論によると、この宇宙は、1つの高温高密度の「特異点」の膨張(ビッグバン)によって誕生し、ビッグバン以降も、空間は絶えずに膨張し続けています。

    ビッグバンのイメージ

     現在の宇宙の膨張する速度は、光速を超えていると言われています。
     宇宙が膨張する速度というのは、空間自体が膨張する速度です。
     空間の中で移動している物体の移動速度には「光速という上限」が存在しますが、空間自体の膨張速度には、このような制限はないということです。
     このことはシミュレーション仮説とどのような関係があるのでしょうか?
     これもまた私の推測になりますが、宇宙の膨張する速度が光速よりも速いのは、この世界をシミュレートした誰かが私たちにかけたもう1つの制限なのではないでしょうか。  
     この制限があるために、私たちはたとえ光速で移動できるようになれたとしても、それよりも速い速度で宇宙が膨張しているために、永遠にこの宇宙の果てにたどり着くことができません。
     これは、私たちは永遠にこの宇宙の中に閉じ込められることを意味します。
     もしこのような制限がなく、私たちが宇宙の果てにたどり着けたとしたら、恐らくこの世界をシミュレートした彼らにとっては、不都合なことでも起こるのではないでしょうか。

    見えない世界は後回し 〝マイクロスケール世界の制限〟

     さらにもう1つ、この世界をシミュレートするハードウェアが私たちに残した痕跡があります。
     それは、マイクロスケールの世界に存在する粒子の挙動です。
     量子力学に分野で明らかになっているように、光子、電子などの小さい粒子は、人がそれを観察しない間は速度も場所も確率的にしか表すことが出来ず、不確定の状態にあります。
     人が観察したその瞬間に、粒子の状態が確定されます。
     この現象が起きる根本的な理由については、まだ完璧に説明できていません。
     しかし、シミュレーション仮説で考えれば、筋の通った説明が得られます。
     この世界をシミュレートするハードウェアの処理の負担を減らすために、シミュレーションの世界にいる意識をもつ人間に観察されていないものに対しては、ハードウェアがそれらを表示もしくは表現しないようにした、というものです。
     人に観察されたその瞬間から処理を始めれば、ハードウェアにかかる負担は数十億倍も減らすことができます。
     実は現在のコンピュータゲームもこのような仕組みで動いています。
     プレイヤーが見ていない、行っていない場所にある情報は処理されません。
     プレイヤーがそこを見た瞬間からコンピュータが処理を始めるのです。

    ↑『真実の目』本記事関連動画
    著者:真実の目
    出版社:KADOKAWA
    ISBN:978-4046059390
    刊行:2022年9月15日

    真実の目

    2021年12月に開設したYouTubeチャンネル「真実の目」は動画総再生回数1000万回を超え、謎に包まれた超新星サイエンス×都市伝説チャンネルとして注目を集める。YouTubeでは、独特な視点から、様々な現象や謎を論理的に分析し、この世界のあまり知られていない奇妙な一面を紹介する動画を投稿している。

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