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ロス・コーサート 著
過去の主要なUFO事例の歴史を辿り、各国当局のUFOへの対応を、仔細に明らかに
本誌の読者なら、だれもが興味津々であろうUFO(未確認飛行物体)。1947年のケネス・アーノルド事件以来、もう何十年もの間、UFOは「当代最大の謎」でありつづけており、有名なロズウェル事件や、アポロ11号UFO遭遇事件など、UFOを巡るさまざまな事件がある。 だがここのところ、UFO周辺の動きが、にわかに慌ただしくなっている。どうもアメリカは、本腰を入れてUFO問題に取り組もうとしている、あるいはそのようなメッセージを出している。たとえば2020年以降、アメリカ国防総省がUFOの映像を公開したり、国家情報長官室からUFOに関する調査報告書が公表されたり、議会でUFOに関する公聴会が開かれたりしているのだ。
UFOという名称自体、UAP(未確認異常現象)に改めようとする動きもある。あきらかに、UFO界隈では今、何かが起きている。
本書は、筋金入りの敏腕ジャーナリストである著者が、過去の主要なUFO事例の歴史を辿りつつ、各事例の目撃者や関係者を徹底取材。各国当局のUFOへの対応を、仔細に明らかにしていく。そこに見えてくるのは、政府内部で展開される、隠蔽派と情報公開派の、熾烈な攻防である。
そして、最終的に著者はこう結論を下す。「人間の手によって作られたのではないテクノロジーが回収されている――それもアメリカだけではなく、ロシアや中国によっても」「アメリカはこの衝撃的な事実をどうやって公にするかをずいぶん前から考えてきた」と――。
著者であるロス・コーサートは、オーストラリアのジャーナリスト。これまでにオーストラリア首相文芸賞をはじめ、数々の権威ある賞を受賞している。
そんな著者が、これだけの綿密な調査研究、膨大な資料に基づいてようやく出した結論である。これはもう、われわれはその事実を、素直に受け入れる他はない。
世にある多くのセンセーショナルなUFO本とは異なり、記述は極めて冷静沈着、かつ公正で客観的。全400ページを超えるボリュームで、読み応えも十分である。
本書一冊あれば、ことUFOという主題については、必要十分な情報が得られよう。
(2023年12月号掲載)
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