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ゲーム雑誌「ファミ通」とのコラボで ムー的ゲームをお届け! 今月は短編SF小説の歓びをそのままにこの1本。
SFジャンルの短編小説は、極上のエンターテインメント。しかもそれを、夜中に読書灯の下で暖かい飲み物とともに読み進めていったりしたなら、なお愉悦に満ちたひとときになるはず。
『Midnight Scenes: The Highway』は、まさにそんな短編SF小説の歓びをそのままゲームという媒体に落とし込んだ魅惑の小品。
ポイント&クリックスタイルのショートホラーアドベンチャーとなる本作では、家路を急ぎ夜道に車を走らせる主人公クレア・バーンズが遭遇した、超常なる恐怖の存在にまつわる旋律のエピソードを体験することになる。結末までのプレイ時間は、わずか15分ほど。これがまさにSF短編小説の一遍を読み終えるまでの体験に近いプレイフィールをもたらしてくれる。ゲームというメディアならではのナラティブな導入は、極上のSF短編小説の書き出しをなぞるかのよう。
家までの帰り道は、交通事故でふさがれてしまっていた。道をひらくべく車から降りて立ち寄ったクレアは、近隣のとある一軒家で人知れず起こっていた奇怪な現象と惨状を目の当たりにする。そして、その原因となったであろう"何か"の気配を察知することに……
といった超常現象との邂逅を、じっくり丹念に体験できるのも、アドベンチャー形式で自らが探索していくゲームというメディアならではのストーリーテリングが生み出す感覚。超常現象に人一倍興味を抱くムー民の皆様なら、きっと極上の短編体験を堪能できること請け合い。
『Midnight Scenes: The Highway』は『トワイライト・ゾーン』などの短編ホラー作品に強く影響を受けた作品で、そのエッセンスもふんだんに醸し出されている。現在では後続の作品が3つリリースされていたりと、ぜひこのまま短編SFシリーズとして継続してほしいと思ってしまう逸品。
(本作のムー民度 ★★★☆☆)
Steam 350円 配信中
ⓒOctavi Navarro
(「月刊ムー」2023年8月号より)
藤川Q
ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。
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