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天草で偶然遭遇した「超人」森宗意軒。その人生を調べると、歴史上のとんでもないビッグネームが次々とあらわれた!
「星野寿庵覚書」には、森宗意軒が島原の乱までに歩んだ波乱の人生が記録されているという。
それによると、宗意軒は義理のきょうだいにあたる小西行長によって外国貿易のトップに任じられたのだが、乗っていた船が難破して南蛮船に救助される。
その流れでオランダに渡り、そこで魔術や火を扱う技術、それに西洋医学を学んだのだという。ところがいざ帰国してみるとすでに小西行長は処刑されてしまったあと。そこで高野山ひっそりと暮らすことになるのだが、このとき高野山で蟄居させられていた真田幸村と出会うことになる。
「星野寿庵覚書」によれば、森宗意軒は大坂冬の陣、夏の陣では真田幸村にしたがって参戦していたのだという。真田といえば忍術のプロ集団・真田十勇士。もしかしたら十勇士たちの術にも宗意軒の影響があったのかもしれない……なんて想像もできちゃうのだ。
結局大坂の陣でも破れるので宗意軒はまた天草に落ち延びるのだが、じつは大坂の陣で死んだはずの豊臣秀頼が生きていて、秀頼がもうけた男子が天草四郎である……というすごい説まであるのだ!
そうなると、秀頼を天草に連れてきたのは森宗意軒なんじゃないの? という話にもなるわけだ。どんどん話が壮大になっていく。
さらにここからがすごいのだが、森宗意軒にもさまざまな奇跡をおこしたという伝説がある。宗意軒は何もないところに風を起こしたり、空に巨大な船を出現させたり(UFOを呼んだのか!?)、馬に乗って雲の上を走ったりといったことまでしたのだという。
一番ヤバいのが、一本歯のゲタをはいて海を歩いて渡ることもできたという話。これ、聞いた覚えがある。天草四郎も歩いて海を渡っていたじゃないか。
さらに、一本歯の下駄をはいてどこでも自由に行き来した男といえば……役行者じゃないか!伊豆大島に流されながらも毎晩富士山に修行にでかけていたという、役行者の伝説そのままだ。これは能力者あるあるなのか……あるいは、もしかしたら森宗意軒は役行者だったんじゃないか、とも想像することができるんじゃないか。
そのへんを断言することはできないが、天草四郎の奇跡の物語はもともと森宗意軒のものだった可能性もあるし、さらにルーツをたどれば役行者の伝説からきてるんじゃないかとも考えられるのだ。
以上、天草四郎を追って天草に行ったら、さらにすごい背景のありそうな超人・森宗意軒に出会いました、というレポートでした。
ここからはムーやんとタムーシのおさらい。
(ムーやん)そうすると、つまりイケメンの天草四郎はフロントに立てられた存在で、バックにいたのが森宗意軒だったということかな。イケメンでファンを集めているが、そのうしろには敏腕プロデューサーの影が……という構図だ。
(タムーシ)森宗意軒のプロデューサー能力はすごいよね。オランダに渡ったり苦労人だけど。そんなすごい能力を持ちながらも戦には負けてしまったけど、森宗意軒はその後も生き延びて「魔界転生」となるわけだ。小説のお話だけど。
(ウイお姉さん)でももしかしたら、森宗意軒はまだ生きているのかもしれないね。
(タムーシ)そういえば、役行者が活躍した奈良の葛城あたりは、森宗意軒が生まれた大阪の赤坂千早村とそんなに離れていない。同じ近畿だし。
(ムーやん)加藤清正が建てた熊本城には、豊臣秀頼のための部屋があるという情報も。「秀頼は生きていた」説と合わせて考えてもとても興味深いね。
(タムーシ)もしかしたら森宗意軒は今もどこかから、この国を動かしているのかも。妖術をつかって政界の大物を操っていたりして。政治家がよく言ってる「森先生」って本当は……! でも、宗意軒は地元大矢野では「もりすけさん」と親しまれている。もりすけさんにお参りしたら歯痛が治った、漁で疲れ切っていた体が元気になった、さらには昏睡状態の娘がもりすけさんのおかげで目を覚ました……とか、すごい体験談が伝えられているんだ。
(ムーやん)なるほど、もりすけさんには医術の神様としてのご利益もあるんだね。
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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