映画『真・鮫島事件』永江二朗監督×オカルト探偵・吉田悠軌対談ーーネット発怪奇譚の”民話化”と現在
2ちゃんねるの書き込みから最恐のネット都市伝説として定着した「鮫島事件」について、公開中の映画『真・鮫島事件』の永江二朗監督と、オカルト探偵・吉田悠軌が語り合う! 「鮫島事件」の真相とは? そして、2
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文=吉田悠軌 写真=塩原洋
協力=週刊ビッグコミックスピリッツ編集部
スタイリング/米村弘光 ヘアメイク/下條秀之
ムー読者には心霊体質でおなじみの鹿目凛(でんぱ組.inc)が、自身の周囲で起きた怪奇体験の数々を語る! 鶏の行方が心配でたまらない!
アイドルと心霊をミックスさせた漫画『生きてるうちに推してくれ』の第1集発売を記念した企画が「スピリッツ」誌上で展開中。「ムー」が企画協力する特集記事や心霊(?)アイドルの鹿目凛さん(でんぱ組.inc)によるコラボグラビアは「スピリッツ」でお楽しみいただくとして……。webムー編集部は、グラビア撮影現場にて、鹿目凛さんに心霊体験インタビューを実施した。
『生きてるうちに推してくれ』の主人公ミサキほどではないが、これまで数々の不思議な体験をしている鹿目凛さんが、生まれて初めて「幽霊を見た!」と確信したエピソードから、まずは語っていただこう。
「小学校低学年の時のことですね。その夜、家族みんなでベッドで寝ていたんですが、私だけハッと目が覚めてしまって」
そのまま視線が、とある方向に釘付けになった。
自分たちがいる部屋の中、1メートルほどの空中に、奇妙なものが浮かんでいたのだ。
中年男性の、首から上の頭だけ。それもひとつではない。四体もの男の生首が、後頭部でくっつくようにして、浮遊しながら回転している。
「四人とも、欧米の人のような顔立ちでした。それが東西南北の四方向を向いて、地球儀を回すみたいにくるくるくるくる……」
またそれは全体が半透明に透けていたのだという。
「キャスパーみたいな、ディズニーランドのホーンテッドマンションに出てくるみたいな、昔よくあった”ザ・幽霊”な透け方ですね」
目覚めたとたん、そんなものを見つけてしまった。最初はなにがなんだかわからず、しばらく茫然としていた鹿目さんだったが。
「うわあ~~~~!」
ようやく悲鳴が口をついた。その声に驚いた母親が駆け寄ってくる。
「お母さん! これ! なにこれ!」
必死に生首を指差して訴えたのだが、
「なに言ってんの。寝ぼけてる?」
母にはなにも視えないのだという。
ちなみに鹿目ママはかなりの霊感持ち。若い頃から相当数の心霊体験をこなしているツワモノだ。そんな母に、ここまではっきり出現しているザ・幽霊が視えないのはどういう訳だろうか。
「もう……早く寝なさい」
なまじ霊感が強い人だけに、自分が視えないとなればイコール「そこに霊はいない」ことになる。母はさっさとベッドに戻り、眠りについてしまった。
(え~!? そんな~~)
納得いかない鹿目さんは、生首をまじまじと観察した。こちらが左右上下に動き、角度を変えてみると、向こうも立体的に見え方が変わる。また五分も十分もずっとその場に浮かんでおり、まったく消える気配がない。
これは寝ぼけて見ている幻覚では、絶対にない。ここに「実在」するものだ。
「おじさんたちの表情は、特に怒っているでも悲しんでいるでもなく……。なんというか、私が彼らを視えていることを嘲笑っているような、ニヤニヤした顔つきでしたね」
そうこうするうち、だんだんと恐怖や驚きが薄れ、この奇妙な存在にも慣れてきた。
(もし幽霊と友達になったら、私も空とか飛べるのかな……?)
幼い鹿目さんは、彼らとコンタクトをとってみようとした。
ピンとたてた人さし指を、生首にそうっと近づけていき、そのまま顔の表面に触れる。と思いきや、なんの感触もなくそのまま指先が突き抜けてしまう。
とたん、強い静電気のような痺れが、人さし指の先から第一関節まで走ったのである。
そこでブツリ、と意識が途切れる。
気づいたら朝になっており、自分はベッドの上で寝ていた。
(……夢……?)
しかし母に訊ねてみれば、昨夜、鹿目さんが騒いでいたことをきちんと覚えていた。となると、昨夜の記憶は実際に起きた出来事だったのだ。
――私は、幽霊を見たんだ。幽霊は本当にいるんだ。
このことを、ずっと覚えておこう。
幼い鹿目さんはそう心にかたく誓った。
そして現在まで、あの夜の思い出を忘れずに生きているのだという。
「その頃住んでいた埼玉のアパートは、他にも色々変なことが起こってましたからね」
例えば、電気を真っ暗に消して寝たはずなのに、朝起きたら豆電球がついていたこともあった。
母も自分も夜中に起きて点けなおした覚えはないし、妹はまだ小さいから電灯スイッチの紐に届くはずがない。
また消灯から豆球の明かりに移るには、一度紐を引っ張るだけでは済まない。いったん消灯を全灯にして、そこからさらに豆球へと、二回のスイッチ操作がいるはずだ。
自分たちが寝ている隙に、幽霊が電灯の紐をカチカチと二回引っ張ったのか?
もしそうだとしても、まったく意味のわからない現象である。
「あと、皆で出かけて帰ってきたら、玄関が半開きになっていたこともありました」
泥棒か!? と、慌てて部屋を確認したのだが、中には誰もいないし、家具や荷物もいっさい荒らされていない。
しかし玄関を開けたなにものかは確実にいるはずだ。そいつは部屋の中に入らず、ドアを半開きにしただけで帰っていったのだろうか。
そう語り合いつつ、念のためにベランダの窓を開けたところで、母娘は驚きの声をあげた。
「鶏がいたんです」
一羽の鶏がベランダを歩き回っていたのだ。幻でも幽霊でもない、どこからかやってきた、本物の生きた鶏である。
またも意味不明で不条理な出来事だ。
これらの怪事は、はたして心霊現象なのだろうか? 鹿目さんたち家族は幽霊アパートに住んでいたのだろうか?
いや、もしそうではないとしたら。つまり、それらが人間の仕業だとしたら。
自分たち親子が寝ているところに、誰かがそうっと忍び込んできて、電灯のスイッチを二回引っ張り、またそうっと出ていった。
留守にしている隙に、誰かが合鍵かなにかで玄関を開け、しかし何も盗まず、ベランダに鶏を置いただけで帰っていった。
そんな誰かが、鹿目さんたち家族の部屋をしばしば訪ねていたのかもしれない。
それはそれで、かなり怖ろしい話になってしまうのだが……。
これはつい最近の体験談となる。
「二年半前、日本がコロナ禍になりはじめた頃ですね。そのせいで環境が激変したので、体調とかメンタルが落ち込み気味で……。うまく眠れなかった時期が続いてたんです」
熟睡できないからだろう、ベッドで横になっていても、半分目覚めて半分眠っているような状態になることがよくあった。
また、そうした夢とも現実ともつかない意識になると、いつも右手が上に引っ張られる感覚に襲われるのだ。
仰向けで寝ている自分の右手が、まるで誰かに糸で吊り上げられているかのように、どんどんと浮かんでいく。
「やばい! これはダメだ!」
最初のうちは、この状況にとっさに抵抗していた。自由になる左手を使って、右手を下に戻していたのだ。
ただ、同じ現象は何日も何日も続いていった。しかも日を追うごとに、右手のみならず上半身が、さらには全身ごと宙に浮かんでいく感覚へと発展していったのである。
「そのうち、だんだん怖いというよりも好奇心が湧いてきちゃって。これ、もしかしていけるんじゃね?」
“幽体離脱”、できちゃうんじゃね?
そう考えた鹿目さんは、ベッドで横になる際、むしろ積極的に浮かび上がろうとの意識を強めてみた。
「試しに腹筋に力を入れて、上体を起こしてみたらどうなるんだろう、とか」
努力の甲斐あって、だんだん自分の意識が肉体から離れていく感覚が強くなっていったそうだ。
そしてその日、ついに“離脱”に成功した。
「気づいたら、部屋の床の上に立っていたんです」
少し離れたベッドに目を向けると、ここにいる自分とはまた別の自分が、ぐっすり眠りについている。
「あ、完全に幽体離脱できたんだ!」
驚き半分・喜び半分で周囲を見渡したところ、ふと意外なものが目に入った。
ここにいる自分とベッドの自分と、ちょうど正三角形になるような距離にテレビが置いてある。
そのテレビの脇に、背の高い男が壁を向いて立っているのだ。
深緑色のカーデガンを着ている、二十代後半ほどの男性だった。
(え……誰、この人?)
鹿目さんは、そうっと男の顔が見える位置へと移動しようとした。
その瞬間、いきなり男がこちらを振り向いた。思わず目と目がくっきり合わさる。すると男は体の向きを変え、ベッドに向かって歩き出したのだ。
その動きは明らかに、もう一人の寝ている自分をロックオンしている。
――やばい! 入られる!
とっさに自分もベッドに向けて駆けだした。寝ている自分の体を目指し、猛烈に突進していく。男が枕元まで辿り着いたところで、自分も勢いよくベッドへ飛び込んで――
間一髪、なんとか先にもう一人の自分の中に入ることができたのだという。
男の顔は見たはずだが、どんな顔だったかはどうしても思い出せない。ただ深緑色のカーデガンだけは、今でもハッキリと覚えているらしい。
「あの時、下手したら、私の中身がその男性に入れ替わっていたかもしれませんね」
もしそうなれば今頃、謎の男が入った鹿目凛がでんぱ組.incにて活動していたかもしれない。まったく怖ろしいことだ。
「その頃はけっこう落ち込んでいたので、不思議なことに出くわしやすかったのかなあ。今は激しい気分の浮き沈みもなく、生きている現実に集中できているから、変な目にあうことはなくなりました」
鹿目凛(かなめ りん)
ディアステージ所属、でんぱ組.incのメンバー(たまご色担当)。ぺろりん先生として漫画やイラストの分野でも活動する。Twitter https://twitter.com/peroperorinko01
「週刊ビッグコミックスピリッツ」12月26日発売の4/5合併号で『生きてるうちに推してくれ』第1集発売記念特集(ムー協力)とコラボグラビア(鹿目凛さん)掲載!
さらに、2023年1月14日(土)に『生き推し』イベント配信決定。鹿目凛さんの心霊体験や、霊現象あるある、宇宙人対策について、吉田悠軌さんと語り合う……
詳細はコチラ!
https://sho-cul.com/courses/detail/386
配信チケット330円(税込み)
『生きてるうちに推してくれ』丹羽氏サイン本付き配信チケット(50限定) 1650円(税込み)
丹羽氏描き下ろしミニイラストトートバッグ(50限定) 1980円(税込み)
吉田悠軌
怪談・オカルト研究家。1980年、東京都生まれ。怪談サークル「とうもろこしの会」の会長をつとめ、 オカルトや怪談の現場および資料研究をライフワークとする。
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