古代出雲歴史博物館リニューアルオープン記念!ヤマタノオロチ退治神話の“その後”に迫る特別展が開催中

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    出雲神話のご当地で、神話のありかたを考えさせられる深い展示が開催中。神話は時代によって変化する??

    ヲロチとスサノヲの「その後」とは?

     10月は神無月。日本中の神さまが出雲に出張するため「神無し月」というけれど、だから逆に出雲でだけは「神在月」と呼ぶのだとは有名なお話だが、そんな神さまの月の出雲で、ご当地の神話にまつわる興味深い展示がはじまっている。

     出雲の神話といってもいろいろあるが、なかでもスペクタクルでインパクト絶大な物語といえば、やっぱり大蛇退治。高天原を追放され葦原の中つ国に降り立った荒ぶる神スサノオが、地上を荒らしまわる怪蛇ヤマタノオロチを知略と武勇で退治。救い出した姫と結ばれて厄介者から英雄神として生まれ変わるストーリーは、全日本神話のなかでも最も有名で人々の心を惹きつけるシーンのひとつといって過言でないだろう。

     今月リニューアルオープンした島根県立古代出雲博物館の記念特別展「その後のヲロチとスサノヲ」では、この神話が時代ごとにどのように語り継がれて今日にまで伝えられたのか、その変遷と変容の過程が描き出されている。

    石本正「島根の神楽(櫛名田比売と八俣の大蛇)」 昭和43(1968)年 島根県民会館蔵

     ーーと、気になるのが“その後”という部分。
    「ヲロチとスサノヲ」神話の“その後”ってどういうことだろう? もちろん、スサノオとクシナダヒメの大蛇退治後の新婚生活、みたいな話ではない。

     じつは神話は、古代から同じ内容、同じ解釈が変わらずに語り継がれているわけではなく、時代によって実にさまざまな変遷を経て今日に至っているのだ。
     たとえば中世(鎌倉〜織豊期)になると、

    「源平の合戦は、草薙剣を奪われたヲロチが朝廷から剣を取り返すために仕組んだものだった」
    「京を恐怖に陥れた最強の鬼・酒呑童子はあのヲロチの息子だった」

    など、神話の成立当時にはまったく想定されていなかったであろうさまざまな異説新説が登場し、それにともなってヲロチの役割やイメージも変容していくのだ。
     本筋に派生が生まれ、その派生からさらに派生が生まれてあらたな考察も飛び出し、物語そのものがかたちを変えていくーーそのありようは、まるできょうびの“都市伝説”をみているような気持ちにさえなってくる。

    松本喜三郎 桐生祇園祭「四丁目鉾」 生人形 素盞嗚尊 明治8(1875)年 桐生市本町四丁目自治会蔵

     古代出雲歴史博物館の公式リリースから見どころ紹介の一部を引用させてもらうと、

    本特別展では、こうした後の時代におけるヲロチ退治神話の変容を通して、単に「英雄神」と「悪神」という枠組みだけでは説明できないスサノヲとヤマタノヲロチの特質に迫り、先人たちが人智を超えた「大いなるもの」に対してどのように向き合い、受け容れてきたかを探ります。

     時代ごとに、人々は神話をどう受けとめ、解釈していったのだろう。
     「神話の変容」は歴史としても興味深いテーマであり、同時にそれはまったく過去の話ではない。現在の私たちだって、無意識に、あるいは意識的に神話をこの時代の価値観であらたに解釈し、変容させ続けているのだろう。

     たとえば冒頭で触れた「10月は出雲に神様が集まる月」という伝承も全国的に広まったのは実は江戸の中頃、18世紀になってからのことだといわれるし、「出雲大社=縁結びの神さま」という今では常識のようなイメージでさえ、生まれたのは江戸時代に入ってからだと考えられている。神話、神さまの物語はこんなに変容しているのだ。

     「その後のヲロチとスサノヲ」展、ご当地・出雲でこそ見るべき、知るべき深く大きなテーマの特別展だ。

    リニューアル記念 特別展「その後のヲロチとスサノヲ」
    会場:島根県立古代出雲歴史博物館
    会期:11月29日(日)まで
    料金:一般1,100円、大学生550円、小中学生330円
    詳細は公式サイトにて https://www.izm.ed.jp/cms/cms.php?mode=v&id=467

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