宇宙意識と輪廻転生の存在を示している? 臨死体験スケッチ「コズミックマップ」とロバート・モンロー「I/there」の共通点

文=仲田しんじ

関連キーワード:

    われわれははるかに大きな意識システムの一部にすぎないのか――!? とある臨死体験者のスケッチが、「ヘミシンク」を生み出したロバート・モンローが提唱する理論とリンクするという。

    臨死体験中に見た「宇宙の地図」

     カトリックとプロテスタントの双方の要素を併せもつキリスト教の教派「聖公会(アングリカンチャーチ)」。その司祭を務めていたカイリー・スウィーニー氏は2017年の夏、敗血症による合併症で心肺停止状態に陥った。

     臨床的な死の間、スウィーニー氏は死後の世界を垣間見て、「おまえは無条件に愛されている」と告げる神の声を聞いた。ありのままの自分を受け入れることが正しいと悟った彼女はその後、奇跡的に蘇生を果たす。

     九死に一生を得たスウィーニー氏は、臨死体験の記憶を自分の中にしっかりと留めておくため、目撃した光景をスケッチすることを決意。そして2020年8月、描き上げた絵を自身のInstagramアカウントで公開した。この手書きの「宇宙の地図(コズミックマップ)」は、たちまちSNSで話題になり、総閲覧数は現在までに3億4500万回を超えている。

    「宇宙の地図」の最下部には地球が描かれており、その上に小さな人型が並んでいる。これらは、ごく普通の生活を送る人々を表しているようだ。上に描かれたもの全てと比べると、人間は非常に小さく、地球上の存在ははるかに大きな現実のごく一部に過ぎないという印象を与える。

     人々から上へと向かって伸びる長い線について、スウィーニー氏は「銀色の糸のつながり」と表現している。その正確な意味はともかく、視覚的なメッセージは明確だ。地球に住む人々は、物質世界を超えたなにかとつながっているのだ。

     人間のレベルのすぐ上には「移行中(In Transit)」とラベル付けされた領域がある。この絵が彼女の臨死体験を表していると解釈するならば、これは意識が肉体から離れ、別の状態へと移行するプロセスを表しているのかもしれない。

     この移行領域のさらに上には、「中間状態(Intermediate State)」とラベル付けされたはるかに大きな領域がある。複数の水平の階層の中に、多数の人物像が描かれている。

     最も印象的なのは、最上部を占める巨大な球体である。スウィーニー氏はそれを「オーバーソウル(Over-Soul)」と名付けている。「オーバーソウル」の大きさに比べれば、下にいる人間たちは実にちっぽけな存在のようである。

     スウィーニー氏のスケッチは、個人の意識とは完全に独立したものではなく、階層化され、相互に連結されたシステムの一部であることを示しているように見える。人間の意識は肉体を離れ、過渡的および中間的な状態を経て変化し、「オーバーソウル」によって表されるはるかに大きな存在と繋がるようだ。

    「I/There」という“大いなる自己”

     海外オカルト研究者の分析によれば、「宇宙の地図」が特に興味深いのは、その基本的な考え方のいくつかが、意識研究者でありモンロー研究所の創設者でもあるロバート・モンロー(1915〜1995)が提唱した概念と非常によく似ている点だという。

     モンローは体外離脱体験で目にしたものを広大な野原や花畑にたとえた。しかし近づくにつれ、それらが一般的な意味での花や草木とは全く異なるものであることに気づかされるのだという。それらは個性、顔、そして人生におけるあらゆる経験を表していたのだ。

     この気づきはモンローの自己認識に根本的な変化をもたらした。彼はこれらの人格を無関係な存在と捉えるのではなく、それらすべてがなんらかの形で自身のより大きなアイデンティティを構成する要素であると結論づけた。セミナーの中で、彼はこの気づきを「人生の人格」や「人生経験」と表現し、その時に「これが私だと認識したのだ」と説明している。

    FifiによるPixabayからの画像

     モンローは、このような自身のより大きなアイデンティティの構造を「I/There」と呼んだ。彼はそれを単に一つの魂としてではなく、より大いなる自己の一部としてつながり続ける、膨大な数の人格、経験、そして個々の人生の総体であると説明する。かつてモンローは、「I/There」について「あなたの全体性」と表現している。

     モンローによれば、彼自身の「I/There」のクラスターには200以上もの人生が含まれていたという。その数は“私”のアイデンティティの一般的な概念を完全に変えるのに十分な数字だ。

     モンローはまた、自身の“私”という概念の中に存在する過去の人格を、有用な経験の源泉として捉えていた。現在の人格が、別の人格がすでに経験したことのある状況に遭遇した場合、より大きな自己の中に蓄積された経験が指針となる可能性があるというのだ。さらに彼は、深刻な困難に直面した際には、特定の状況に対処できた過去の人格が、一種の助け手として機能することもあると主張した。つまり、すべての答えは自分の中にあるということだ。

    すべては繋がっている

     スウィーニー氏の「宇宙の地図」と、モンローの「I/There」はもちろん同じものではないが、どちらも個々の人格は、はるかに大きく、相互接続された意識構造の中に存在するという共通の理解がある。

    「宇宙の地図」は、人間がはるかに大きな意識の領域と繋がっていることを示唆しているのに対し、「I/There」は、個々の人間の人格が、はるかに大きなアイデンティティの領域の中に埋め込まれていることを示唆する。また、スウィーニー氏のスケッチでは、人間は通常の物理的存在を超えた広大なネットワークの中に位置づけられるのに対し、モンローは「自身の人格が、膨大な数の異なる人格や人生経験の中に存在していることを発見した」と述べている。

    Gerd AltmannによるPixabayからの画像

     複数の意識状態を通して繋がった「オーバーソウル」と、はるかに大きな自己の蓄積されたアイデンティティを含む「I/There」。どちらの説明も意識が死後も存続すること、輪廻転生が起こることを科学的に証明するものではない。しかし、これらの体験を描写する上で、両者は本質的に同じアイデンティティ・クライシスを引き起こす可能性がある。つまり日常的な“私”とは、そもそも単体かつ完全な自己ではないという確信に近い疑惑である。

     もちろん「私は私である」というアイデンティティは現実の社会生活を送る上での原理原則ではあるが、その一方で“すべては繋がっている”というイメージを頭の片隅に置いておけば、いつか彼らのような“気づき”がもたらされるのかもしれない。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「Atlos Audio」より

    【参考】
    https://howandwhys.com/robert-monroe-i-there/

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

    関連記事

    おすすめ記事