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文=遠野そら

広い宇宙のどこかには知的生命体の文明がある、という視点は当然だが、「月面に文明の痕跡があった」可能性が指摘された。物理学者の主張に対し、NASAの”資料”はどう答えるのか?
天文学の目覚ましい発展にともない、地球外生命体の捜索に世界中が躍起になっている。最近では地球から約100光年離れた「かじき座」の中に生命が存在できる可能性が高い恒星が発見されたが、100光年離れた恒星に探索機を飛ばすのは現代の科学技術では限界がある。火星や金星も目下調査中だが、まだはっきりとした証拠は見つかっていない。
「地球外生命体の存在を探すなら、まずは月を捜索するべきだ」
ーーそう主張するのはアメリカの物理学者ジェームス・ベンフォード博士である。博士によると、地球外生命体の痕跡ならば、月に必ずある、というのだ。
有名な「ドレイクの方程式」をご存じだろうか。7つの定義を掛け合わせることで、銀河系に存在する人類とコンタクト可能な地球文明の数が算出できるという方程式だ。ベンフォード博士は、この「ドレイクの方程式」を応用し、新たな公式を開発。「ドレイクの方程式」が求める“アクティブな文明”とは対照的に、“滅びた文明”の数を算出することに成功した。するとその結果、月では過去に何らかの文明が存在していた可能性が非常に高いことが判明したというのだ。

ベンフォード博士はこの結果から、「月には必ず地球外生命体の痕跡がある」と断言、文明そのものは滅びていても、彼らの残した遺物の中には通信がまだ生きているものがあるかもしれないと主張している。博士は、地球外生命体からの信号を解析する地球外知的生命探査(SETI)のように巨大なアンテナを建てなくとも、これまでにNASAが撮影した膨大な画像からAIで分析できると考えており、今後、ブレイクスルー・リッスン・プロジェクトのメンバーとも議論を重ねていくということだ。
月の捜査に積極的なベンフォード博士に対し、NASAがどこまで画像を提供するかがまた違った注目点となる今回の発表。確かに、アクティブでない文明も探索の視野に入れることで地球外生命体捜索の幅が広がることは間違いないだろう。だが、これまでも「月」は地球外生命体の存在が囁かれてきた謎多き衛星である。アポロ宇宙人飛行士たちの証言やデータなどから、「月には開けてはいけない何かがある」と確信している人のではないだろうか。
ベンフォード博士は物理学者として月にある地球外生命体の痕跡を指摘したのか、それともこれから何かが起きる伏線のための発表だったのか。今後の続報に期待したいと思う。

(2021年5月24日記事を再掲載)
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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