「時間の正体 宇宙・生物・心・脳・芸術・社会・哲学・人生の視点から 読み解く!」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    時間の正体 宇宙・生物・心・脳・芸術・社会・哲学・人生の視点から 読み解く!

    藤沢健太・一川誠 著

    時間研究における最高峰のふたりが語る「時間」論

     今から約138億年前、「ビッグバン」と呼ばれる事象とともに、われわれの知る時間は始まった。そしてそれ以前には、「時間」なるものはどこにも存在しなかった。

     本書は、そんな壮大な提言に始まり、「時間は止ったり、歪んだり、消えたりする」といった話から、生物の体内時計と体感時間、記憶の本質、時間とアートの表現、働き方と効率、時間と言語の関係、老化や死と時間など、時間に関する話題がてんこ盛りの、実に愉しい書物である。

     著者の藤沢健太氏は、電波天文学・宇宙物理学を専門とする理学博士で、山口大学理学部教授にして、山口大学時間学研究所の元所長。もうひとりの一川誠氏は千葉大学教授で、日本時間学会・日本視覚学会会長。つまり現時点で、時間の研究において日本最高峰のおふたり。しかも理系と文系の黄金コンビ。

     そんな権威者が、「専門知識がなくても大丈夫」と保証する安心安全な語り口で、「いろいろな分野をまたいで、時間を〈横から〉〈斜めから〉見ていってみる」本なのだから、がぜん興味が湧く。

     のみならず著者は「時間とうまく付き合うことで、心身の健康が得られ、充実感や幸福感が強められ」る、とまで太鼓判を捺しているのだ。さらには「この本を読み終えたとき、時計を見る目や、日常の出来事を受け取る感覚が、ほんの少し変っている」らしいのである。そんな素敵な体験をしてみたい方は、ぜひ一読を。

    あさ出版/1892円(税込)

    (月刊ムー 2026年08月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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