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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
角悠介 著
呪文、魔女、魔術をめぐる、言語学エッセイ
 呪文はことばである。そしてことばである以上、それは言語学という学問の研究対象となる。本書は、「言語学」という至高の武器をもって、謎と神秘に満ちた、呪文と魔女の世界に斬り込む意欲作だ。
 著者の角悠介氏は言語学博士であり、ルーマニア国立バベシュ・ボヨイ大学日本文化センター所長で、吸血鬼の故地であるトランシルバニア在住。高校卒業と同時に「民俗学研究の聖地」ルーマニアに留学したという古強者ものであり、本誌月刊「ムー」とも30年来の奇縁を持つという。専門はロマ民族の言語であるロマニ語で、『ロマニ・コード――謎の民族「ロマ」をめぐる冒険』(夜間飛行)という著書もある。
 緻密な学術的知見と、豊富な実地体験の両輪に裏打ちされた、骨太な論考でありながら、驚くほど読みやすい文体でぐいぐいと引き込まれる本書は、魔女や魔術に関心のある人はもとより、言語学に興味を持つ人にとっての最高の贈物。
 読み進めるほどに、「呪文はことばである」というよりも、むしろ「ことば自体が呪文である」という想いを強くする。
 さらに著者は、その言語学理論を駆使して、自ら「絶対に効く!!」と断言する発毛の術式まで創成している。一部の方々にとってはまさに福音であり、最強の実用書なのだ。
 巻末には、著者の師である竹内康裕と本物の魔女との対談も収録されており、これもまた必読。

(月刊ムー 2025年11月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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