ギョベクリ・テペの円形神殿は「ポセイドニアの再現」だ! /アトランティス遺産
確認される世界最古の神殿遺跡ギョベクリ・テペ。円形の遺構は、かのアトランティスの円形都市を再現したものだったーー!?
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ギョベクリ・テペ、カラハン・テペなどの遺跡群の調査が進むトルコのタシュ・テペレル。それらを建造したのは超大陸を継承した賢者たちだったのか。
神の怒りにふれ海の底に沈んだという「アトランティス」。世界各地に植民地を持ち、当時の古代世界に多大な影響を与えたという伝説の超古代文明である。
これまでも謎めいた遺跡や遺物が発見されるたびに、アトランティスとの関係性が話題になってきたが、特に今、多くの研究者が目を向けているのがトルコ南東部シャンルウルファ周辺に広がる世界最古の遺跡群「タシュ・テペレル(ストーン・ヒルズ)」であろう。
タシュ・テペレルは世界遺産にも登録された巨石遺跡「ギョベクリ・テペ」の他、「カハラン・テペ」「チョイヨヌ・テペ」など、新石器時代に建造された遺跡が20か所以上も地中に埋まっている、歴史的にも貴重な地域。2021年にはトルコ文化観光省が本格的な調査に乗り出し、さらなる発見に期待が高まっているが、その一方で、多くの人類学者が頭を抱えているという、まさに”いわくつき”の場所である。
タシュ・テペレル最大のミステリーは、遺跡群に残された高度な天文学的知識と巨石の加工技術であろう。人類の定住があり、そこから都市が生まれ、祈りの場ができるという人類発展の過程から逸脱しているのはもちろんのこと、彼らがどのようにしてそれらの知識を得たのか、その来歴も不明。突如、この地で巨石神殿の建造が始まったと推測されている。
諸説あるものの、考古学のみならず多くの研究者が注目しているのがここだ。タシュ・テペレルの建造群には、独自の文化や芸術が花開き、徐々に発展した形跡がない——つまり、人智を超えた介入により、突如発展した可能性が高いというのである。
古代メソポタミア地域に広く伝わる神話には、神エンキ(エア)の使徒である「アプカルル」という7人の半神が登場する。アプカルルは大洪水前の人類に文字や科学の他、芸術、天文学、占星術、農耕、都市工学など、さまざまな知識を与えたとされ、その筆頭が半人半魚の姿で知られる「アダパ(オアンネス)」だ。
古より”叡智の象徴”として描かれることの多いアダパだが、長い髭に長衣、そしてハンドバッグのようなものを手に持つモチーフは、ご存じの方も多いのではないだろうか。
そして驚くことにタシュ・テペレルの建造物群「ギョベクリ・テペ」や「カハラン・テペ」でもアダパと思しきハンドバッグや長衣姿の男性のモチーフが発見されている。今も解読の途中ではあるが、神殿の石柱や重要な石碑に彫刻されていたことから、神殿建造に重要な影響を与えた人物に対する「崇拝の証」として推測されているようだ。
そしてこの「崇拝の証」こそ、人智を超えた介入——つまり当時の人々に文明技術を与えた賢者の存在ではないか、というのが多くの研究者に注目されている所以である。
事実、タシュ・テペレルが建造されたのは、狩猟採集が主の、都市が成立していない時代。王様や権力者が存在し、神殿で五穀豊穣を願うのはそのずっと後のことである。
しかしながらタシュ・テペレルでは、すでに高度な建築技術を用いた巨石神殿がいくつも建築されている。神殿はシリウスの位置や歳差運動を完璧に理解した配置が取られ、そこで宗教的な儀式が行われていた。そして人々がこの神殿建造を境に狩猟採集から定住農耕へと舵を切っていることは、ただの偶然とは言い切れないだろう。
もちろんこれは現在の調査結果に基づくものであり、賢者説を裏付けるものではない。だがタシュ・テペレルの建造には、アダパのような”賢者”がこの地を訪れ、当時の人々に知識や技術を授けた——むしろそうでないと辻褄が合わない、という見解が存在するのもまた事実なのである。
とするとここで疑問なのは、賢者がこの地に持ち込んだ、名も無き文明技術の由来になるが、むろん我々の常識ではそのような古代文明は存在していない。だが、ひとつだけ世界中でその痕跡が囁かれている超文明がある。
伝説の超古代文明「アトランティス」である。
プラトンの伝えるアトランティスの滅亡は、諸説あるものの紀元前9600年頃、つまり今から約1万1600年前のこととされる。人類史でいうところのヤンガードリアス期の終わり、狩猟採集から定住農耕社会へ移行する頃だ。
そして世界最古の遺跡「ギョベクリ・テペ」が一部建造されたのもこの頃である。正確な年代については多少の誤差がありそうだが、シリウスの上昇点に合わせて造られた神殿や、彗星衝突と大洪水の記録が刻まれた石柱など、これらが概ねアトランティス滅亡と同じ時代節であることはすでに説明した通り。他にも神殿の形状がアトランティスの首都「ポセイドニア」に酷似した円形構造であることなどから、賢者がこの地にアトランティスに由来する文化を持ち込んだ可能性が一部囁かれているのである。
これはあくまでも推測の域を出ない説ではある。だが、我々の想像をはるかに超えたタシュ・テペレルの高度な知識を鑑みると、「賢者」がこの地を訪れていた可能性は十分にあるだろう。
一般的な神殿の建造過程は、小さく簡素なものから、文化や技術の向上と共に規模が大きくなっていくのが通常であるが、ここは全くの逆。古い年代のものほど規模が大きく、新しくなるにつれ縮小している。このことから、賢者は初期の神殿建造に携わり、技術の定着を見届けた後、さらに別の地へと移ったのではないかと著者は考えている。
そして彼らが各地で巨石を使った建造技術を伝授してまわったのだとしたら……。マルタ島のジュガンティーヤといった巨石神殿や、イギリスに数多く点在する巨石群ストーンサークルなどの謎を解く鍵になるだろう。また、長い髭に長衣をまとい、ハンドバッグを持った姿で描かれるマヤ・アステカ神話の創造神「ケツァルコアトル」やインカの「ヴィラコチャ」、ゾロアスター教の「アフラ・マズダー」などの叡智神の正体にもつながるかもしれない。
人類史の原点「ゼロ・ポイント」とも称されるタシュ・テペレルの調査はまだまだ始まったばかり。地中深く埋もれた遺跡がすべて出土する時、我々はいったいどのような事実を目の当たりにするのだろうか。ここが真の始まりの地かどうか、明らかになる日はそう遠くないのかもしれない。
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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