アメリカ合衆国政府の極秘計画に登場する宇宙人「セルポ星人」／ダンダダン考察ファイル

国内外で圧倒的人気を誇るアニメ「ダンダダン」

　人気アニメ「ダンダダン」は妖怪や宇宙人、UMAに怪獣、都市伝説といったオカルティックな要素がふんだんに盛り込まれた青春バトル漫画だ。
　2023年11月に第一期が放映されると、濃密な世界設定や目を奪われる美麗なバトルシーン、耳に残るテーマ曲などハイクオリティな内容が国内外のアニメファンに大絶賛された。
　そしてこの2025年7月より待望の第二期が放映スタート。そこにも登場する人気オカルトキャラたちを掘り下げ、かつその源流となった都市伝説を掘り下げていく。

三人一組で登場し、人体実験を好むセルポ星人

「ダンダダン」において、セルポ星人が最初に登場したのは第一話から。宇宙人の存在を信じない女子高生の綾瀬モモがUFOスポットを訪れた際にふいに暗闇から現れたのが、七三分けの髪をした成人男性に擬態したセルポ星人だった。
　言葉遣いは丁寧で友好的な様に感じるが、「やたらと大きな頭部」「個体によって違う色の瞳」「超能力で金縛りにしてくる」など明らかに人間と違った特徴を持つ。
　そして成人男性の姿は擬態したもので、本来の姿は目が左右に広がり歯をむき出しにした巨大な口を持つ、全身に黒い文様を浮かべた異形となっている。

　セルポ星人はオスしか存在しておらず、クローン技術により固体を増やしている。が、繰り返すことで感情が欠落してしまい、それを補う形で生殖機能を取り戻すため、地球人の男女をさらって研究しているのだ。
　第一部では最初に登場した三人一組（A、B、C）は主人公のオカルンとモモの活躍により撃退。後に新たな三人組（D、E、F）が登場し、二人をさらに苦しめていく。

元ネタは米政府の極秘計画プロジェクトセルポか

「セルポ星人」の元ネタとなったのは、1960年代にアメリカ合衆国政府が秘密裏に行ったと噂されているプロジェクト・セルポ（Project Serpo）だろう。これは2005年11月に「アメリカ国防情報局の元職員」と名乗る匿名の人物が明かした秘密裏の計画の事を指す。
　この情報によると1947年7月にアメリカ合衆国ニューメキシコ州ロズウェルに墜落した2機のUFOから回収された宇宙人の協力により、このプロジェクトが実現したという。その内容は驚くべきもので、レティクル座ゼータ連星系の惑星セルポへアメリカ軍人12名を交換留学させるという内容だった。

　その仲介として協力したのが先の墜落したUFOに搭乗していた宇宙人「イーブ（EBE = Extraterrestrial Biological Entity）1号」であり、1952年に死亡するまでアメリカの秘密施設で生存し地球と惑星セルポの橋渡しを執り行っていた。
　イーブ1号はUFOの通信機器や未知の技術について地球人に説明し、惑星セルポとの通信も成功させ、交換留学事業を進めていった。地球からは10人の男性と2人の女性が留学チームとして派遣され、UFOに乗って惑星セルポに向かう。時に1965年のことであった。

　惑星セルポまでの道中は困難を極めるもので、留学チームの1名は惑星セルポに到着する前にUFOの中で死亡。さらに1名は惑星セルポに滞在中に事故で死亡した。その後、1978年になり留学時期が終わりを迎えると2名は惑星セルポへの残留を希望。残る8人は無事地球に帰還したという。一部の情報筋からは、このときチームは惑星セルポの技術や知識、遺物などを持ち帰ったとされる。

　ロズウェル事件で回収された生きた宇宙人はイーブ1号だけとされるが、研究家の間では他にも複数の死体が発見・回収されたと考えられている。アニメ「ダンダダン」に登場するセルポ星人が三人一組だったのも、こうした文献などからイメージして描かれているのかもしれない。

　なお、セルポ星人の姿をAIで画像生成してみたところ、本稿で使用しているものとなった。その姿は「ダンダダン」に登場するそれよりも、我々がよく知る宇宙人像に近いものに見られるのは実に興味深い。