「ゼロから始めるホツマツタヱ」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    ゼロから始めるホツマツタヱ

    NAVI彦 著

    ホツマツタヱの"本格的な"入門書

    「ホツマツタヱ」とは、いわゆる「古史古伝」のひとつで、「ヲシテ文字」と呼ばれる特殊な文字で記されている。学術的には江戸時代の創作物とされるが、これを縄文・弥生の文明を記録する、真正な古代文字とする見方は根強くある。
     だが、本書の著者はそうした真贋論争にはあまり興味がなく、「ホツマツタヱを詠み味わうことを、ただただ楽し」むという立場。ホツマツタヱを知るだけで「気持ちが楽になって、心豊かに暮らせるように」なるのだという。実に清々しい。

     本書は、そんな著者がわかりやすく説くホツマツタヱの入門書。入門書とはいえ、ホツマツタヱ全文のあらましから、記紀との対照まで、必要十分な情報は抜かりなく押さえられているので、よほどマニアックな読者でもない限り、ホツマツタヱに関しては本書一冊で十分ではないか。
     興味深いのは、第4・第5章の、各地の神社の祭神や、日本古来の民間信仰を、ホツマツタヱで読み解く試み。他にあまり見たこともないし、内容的にも目から鱗であった。「ゼロから始める」などと歌っているが、その実、かなり本格的な研究書でもあると見た。
     著者のNAVI彦氏はホツマツタヱYouTuber。2018年に初めてホツマツタヱに出逢い、その魅力に取り憑かれたという。そして気がつけば、わずかな間にこうして立派な本を出すまでになっているのだから、その精進ぶりには唯々感嘆し、敬服する。

    かざひの文庫/1870円(税込)

    (月刊ムー 2024年12月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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