「失われた古代文明 歴史に消えた40の民族」/ムー民のためのブックガイド
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2016年最大のヒット映画『君の名は。』に、「ムー」が登場していたことをご存じだろうか? 青春映画になぜ「ムー」が? ムー愛読者・テッシーが物語で果たした役割とは? 新海誠監督に語っていただいた。 (ムー2017年1月号掲載)
「ムー」は小中学生のときによく読んでいました。『君の名は。』のサブキャラクターで勅使河原克彦(愛称:テッシー)という男子高校生が出てくるんですが、彼は「ムー」の愛読者。ヒロインの宮水三葉は男の子と心が入れ替わって行動がおかしくなって、荒唐無稽なことをいいだすのですが、そのときに率先して助けてあげるんです。
それは、彼がひそかに三葉を好きだからなんですが、それだけだと説得力が弱いと思って、そういう不思議な現象を受け止める素養を示すためにも「ムー」を出したんです。「ムー」読者というだけで、いろいろなことが観客にすぐ伝わると思ったんですが、あとで今の若い子の中には「ムー」を知らない人も多いと聞き、どれだけ通じるのか不安もありました(笑)。
劇中では、テッシーが「ムー」を読んでいて、三葉たちに得意げにアカシック・レコードの記事が載っているページを見せるシーンがあります。そして実は、ラスト付近でも、テッシーは鞄の中にムーを忍ばせているんです。1.5秒くらいのカットなんですけど、その表紙に「ティアマト彗星は人工天体だった」と書いてあるんですよ。ほとんどの人は気づかないと思いますけどね。彼はそういう記事も読んで行動していたわけです。
テッシーのオカルト好きな側面が語られることは少ないので、ここではっきりいっておきたいですね。勅使河原にとって「ムー」はすごく重要なんです!
彗星の名前、ティアマトはシュメール神話に出てくる龍の神様からつけました。本来、彗星は発見者の名前がつけられるので、ちょっとおかしいんですよ。ここは最後まで悩んでいたんですけど、ほかに思いつかなかったので、そのままにしました。
公開後に、ティアマトが天と地に切り裂かれて世界の祖になった神話を知りました。名称はヴェリコフスキーのティアマト=彗星説から着想したのではないか……ともいわれましたけど、正直、どちらも知りませんでした。イメージが実際の説に一致していたとは、それこそ無意識下でアカシック・レコードにつながって、関連のある名前にしたのかもしれないですね(笑)。
制作前に、青山通りにある豊川稲荷で完成祈願をしました。うちのスタジオ(コミックス・ウェーブ・フィルム)の社長が欠かさずそういうことをやる人なんです。あと、制作状況がつらいときとかにはよく神社にお参りしました。当時、千駄ヶ谷に住んでいたので、将棋会館の向かいにある鳩森神社で、賽銭いれて、乗り切れますように、とお祈りしていました。ご利益はあった、といえると思います(笑)。
神秘的な体験といえば、小学校4年生くらいのときに、人魂みたいな謎の火球を見たことがあります。夜の星とか町の灯りを1時間とか2時間見るのが好きな子供だったんですけど、ある夜、家の窓から見える山をじっと見ていたんです。
明かりが動いているので、山道を懐中電灯をもった人が歩いているな……と思ったら、その明かりは山道からそれて、そのまま空に浮かんで行ってしまって……。
すごく怖くて、「お母さん!」って教えにいったんですけど、もう消えていて、実際何だったのかはよくわかりません。
普段からそういう超常的なものが見たかった気持ちはよく覚えていますね。UFOも見たかったし、幽霊も見たかった。日常とは違う、どこか遠いところにつながりたいという思いはすごくありました。宇宙的なものとか、SFや、「ムー」への興味もその現れで、それらは今の映画作りに生きていると思います」
映画『君の名は。』公式サイト
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