オーロラUFO墜落事件と秘密結社ソノラ飛行クラブの謎! 「この世界の住民でない」パイロットの正体は?/武田崇元
19世紀後半、アメリカ各地に謎の飛行物体が出没した。そして、ある秘密クラブのメンバーが残した膨大な数の奇妙な飛行物体のスケッチが明らかとなった。それらはUFOか、それとも謎の新兵器か? そんななか、飛
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フリーメーソンを凌ぐ世界最大の友愛結社オッド・フェローズについて、現役団員が驚愕の200年史をつまびらかにした。注目の新刊の一部を紹介。
目次
病める者を訪れ、嘆く者を慰め、亡くなった者を埋葬し、孤児を教育するよう命じる。
―― IOOFソブリン・グランドロッジ(1834年)
上記の文章は、オッド・フェローズのメンバーであることの神髄を簡潔に示したものにほかならない。オッド・フェローズは現存する中で最も長い歴史を誇る倫理的・人道的友愛組織のひとつで、現在、世界約30カ国で活動中の友愛団体および共済組合、そして福祉団体を意味する言葉だ。すべて280年ほどの歴史がある組織だが、さらに古いとする意見もある。
中世のギルドとイギリスの職人組合の伝統から発展した初期のオッド・フェローズのロッジ(集会所)は、社会保障制度や国民健康保険、社会奉仕クラブ、あるいは現代でいう慈善施が存在していなかった時代においてメンバーを守り、世話をするために設立されたものだった。
当時も今も変わらない目的は、メンバーとその家族、そして地域社会が必要とする支援を行うことである。それだけではない。演劇や講義、象徴や相互認識のための秘密のサイン──これらを通してそれぞれの階位に従った儀式で伝えられる原則を基に友情をはぐくみ、人格を高めていくことも目的だった。最も普及した組織であるインディペンデント・オーダー・オブ・オッド・フェローズ(IOOF)は1819年4月26日、北米大陸で組織された。
オッド・フェローズは現在も進化し続けているため、確定的な定義は存在しない。伝統的な意味合いでは、以下のようになる。
「友愛・共済を目的とする人々の集まりで、それぞれがさまざまな宗教的信条や理想を宿し、必要な時にお互いの問題を緩和するだけでなく、友情・愛情・真実というモットーに基づいて結束する」
1907年、オンタリオ州グランドロッジが次のような文章を残している。
「オッド・フェローズとは、人間の個人的な無力さ、そして生きている間に起きるすべての出来事に対する他者からの協力の必要性を認識しながら、人類を道徳、知性、社会性、肉体的意味合いで向上させることを目的とする組織である。すべてのメンバーに対してお互いを支援し、助力しそして守ることを義務付ける。病める者を訪れ、嘆く者を慰め、亡くなった者を埋葬し、孤児を教育するよう命じる。神の父権、そして人類の兄弟姉妹愛について説く。人の手によって作られ、同志であるお互いを隔てる障壁を破壊するために尽力し、すべての人をひとつの偉大な家族の一員として平等に扱う」
オッド・フェローズの活動および目的もまた、長年にわたる進化の中で変わっていった。過去の分裂によって、現存する三つの提携組織がそれぞれ強調する特定の目的と活動は細かい部分で異なるのが事実だ。
三つの組織とはグランド・ユナイテッド・オーダー・オブ・オッド・フェローズ(GUOOF)、マンチェスター・ユニティ・インディペンデント・オーダー・オブ・オッド・フェローズ(MUIOOF)、そしてIOOFである。
しかし概して、オッド・フェローズのメンバーの生き方の目標は、人格を磨く(倫理)、友人を作る(友愛)、そして人々を助ける(慈善)という3点に集約される。
オッド・フェローズは、自分という存在に内側から働きかけるようメンバーに求めることによって、人類全体の人格改善と向上を目的としている。
「兄弟愛の倫理と互恵主義、慈善についての教育機関」であると感じるメンバーもいる。IOOF国際評議会は、現時点での使命について「神への信仰に導かれ、人間一人ひとりに宿る友情と愛、そして真実の原則によって人格を向上させること」と述べている。
この使命は、一定の倫理的原則に則った、ポジティブな生き方についての教えを授けられる儀式から始まる。オッド・フェローズのメンバーは神に対する荘厳な信仰、人格改善への欲求、他のメンバーや家族と地域社会を助ける心、そして言葉の響き以上に「友情、愛、真実」の原則に生き、実践するという使命によってまとまっている。また、人類同胞の原則を支持し、人種や国籍、宗教、支持政党や社会的身分に関係なくすべての人を同じ家族の一員として考える。
オッド・フェローズは組織として寛容の価値を促進し、それによってさまざまな階層の人々の間に調和と理解がもたらされる。隔たりを埋めることに努め、友愛精神の最も純粋で実用的な形態を活かしながら、知り合いはもちろん、敵対する人同士であっても友人になれる手段として機能した。メンバー同士の思いやりを高め、誠実な姿勢で日々を過ごし、世界中のさまざまな国々に住む人たちの信念に対して寛容になるよう仕向ける。さらには、欲求に対して節度を保ち、いかなる形であれ不道徳な行いを避けるよう働きかける。これがオッド・フェローズの倫理面である。
オッド・フェローズでは、兄弟姉妹愛でまとまるよう教えられるため、友人を作ることも目的となっている。
友愛組織とは、友愛精神の絆と相互協力、そして日常生活のレベルを超えた一段高い場所で生まれる、利他的な仲間意識に惹き寄せられた人々の集団にほかならない。人種や信念、宗教に対する寛容性についての教えが伝えられる。すべての人間のための愛と友情について説く。私たちは隣人を守る立場にあり、近隣地区を住みやすい場所にするための義務を怠るべきではないことが教えられる。
オッド・フェローズのロッジは、理想的には創造的で建設的なものごとに関する議論や人的ネットワークの形成から、ふらっと立ち寄って誰かと一緒に過ごすことまで、メンバー同士のありとあらゆる形の交流の場となる。若き者と老いた者が学び合い、富める者と貧しき者が必要な時に助け合う手段である。教育を受けた者とそうではない者が、生きるための知恵と経験を分かち合う場でもある。
あらゆる職業や地位、性別、人種、宗教、所属政党、社会的地位に関係なく、人々が、全世界レベルでの寛容と理解の実現に向けてひとつになる。月に少なくとも1〜2回ミーティングを行うことで、メンバーはやがて、長く続く友情をはぐくむことができる。さらに言うなら、メンバーになれば世界約30カ国を網羅する国際的ネットワークに加入することになる。どこの都市や国に行っても、メンバーは歓迎され、旅行中や仕事面で協力してもらえることが確約される。これが、メンバーを助けるための全体方針である「組織が説く理想と価値観に沿って生きる自分なりの方法を定義する」という考え方に基づくオッド・フェローズの友愛組織的側面である。
オッド・フェローズの紋章「三つのリンクの鎖(スリーリンクス・チェーン)」は、次のようなメッセージを意味している。
私は信頼できる人物だ。あなたの兄弟であり、友人である。もし問題や恐れがあるなら、ぜひ助けたい。倫理的価値観について言葉を交わすこともできる。なぜなら私も、より意味のある人生を送るために真実を追い求めているからだ。
オッド・フェローズは人助けを目的としている。メンバー同士、そして人間同士お互い助け合うことを求める組織であるからだ。これは「人にしてもらいたいと思うことを人にしなさい」という黄金律に基づくものである。
「友愛という言葉は、人道主義につながらない限り、むなしく響くだけである」ということを忘れないようにするための儀式がある。伝えられる内容を自らの行いで活かし、「病める者を訪れ、嘆く者を慰め、亡くなった者を埋葬し、孤児を教育する」よう促す儀式だ。慈善活動そのものではないが、博愛と慈善の原則を進めていくために構築されたものである。思いやりを持つこと、分かち合うこと、そして仲間を見捨てないこと、まず他者を思いやること、困っている人を助けることに関する思考様式について教える役割を果たす。メンバーは、困っている人や行き詰まってしまった人たちに常に救いの手を差し伸べなければならない。
IOOF国際評議会はメンバーに対し「健康と教育、個人的向上と世界的友好」に努めるよう求め、「言葉だけでは十分ではない。目標はそれぞれ個々の能力にしたがって行動に移されなければならない。それが人類全体の進化に貢献するかもしれない」と説いている。「どのような善きことを行わなければならないのですか?」というメンバーの質問に対する答えは、それぞれのロッジとメンバーによって異なるだろう。「善きことも悪しきことも、出会う度に最大限に活かすこと」という言葉になることも、「大切なのは行いの大きさではなく、愛に基づく正しい姿勢である」という言葉になることもあるはずだ。
世界各国に社会保障制度や国民健康保険制度が事実上存在しなかった時代において、オッド・フェローズはメンバーおよびその家族に対して緊急援助や就職支援、疾病手当、そして死亡給付金を提供する共益法人として機能していた。
外面的な活動が最も盛んだったのは、老人や孤児そして寡婦向けの住宅と墓地を多く建設した19~20世紀だ。オッド・フェローズが提供する数多くの社会奉仕は後になって政府や保険会社に引き継がれたが、ロッジは地域社会をはじめ国や国際レベルの慈善事業に対して大口の献金を行い、多くの募金を集めていた。IOOFは今日もIOOFピルグリメイジ・フォー・ザ・ユース、オッド・フェロー&レベッカス老人ホーム、オッド・フェローズ&レベッカス関節炎理事会、IOOF国際教育基金、オッド・フェローズ&レベッカス視力眼球研究基金、IOOFリビング・レガシープログラム、オッド・フェローズ&レベッカ世界飢餓災害基金といった慈善事業の運営資金を毎年調達している。オッド・フェローズには、こうした人道的側面がある。
2012年、ソブリン・グランドロッジは、著者が以下の通り提出したインディペンデント・オーダー・オブ・オッド・フェローズの目的の概要を受諾した。
● 人格の改善 儀式で示され、実生活で実行される友情と愛、真実、信念、希望、慈善、普遍の正義の原則を実践し、説くことで全人類の人格を磨き向上させる。
● 友人を作る 人類同胞の原則、すなわち、人種や国籍、宗教、社会的地位、性別、社会的地位や身分に関係なくすべての人は平等な兄弟姉妹であるという信念を通し、人々および国家の間で善意と理解を生み出す。
● 他者を助ける 世界を生きていく上でより良い場所にし、困った時には奉仕活動や慈善活動によってお互い助け合い、恵まれない境遇にある人々や子どもたち、若者、高齢者、そして地域社会や環境の利益になるよう「病める者を訪れ、嘆く者を慰め、亡くなった者を埋葬し、孤児を教育する」という言葉にしたがって最大限に努力する。
オッド・フェローズは非政治的団体である。政治権力や政府権力とのつながりは一切求めない。無宗派であり、特定宗教に属する人たちに限られた団体ではない。宗教ではなく、魂の救済を約束するものでもない。宗教的秘儀を説くものではなく、オカルト教団でも神秘思想集団でもない。秘密の知識や目的はない。金融機関ではない。メンバーが金融資産を持つことを約束するものではない。エリート主義の団体ではない。関心を買うためだけに富める人々や名のある人々と付き合うことはしない。団体の歴史に陰謀や犯罪、権力乱用といった汚点はない。
組織としてのオッド・フェローズの目標は、人格の改善と向上だけである。これを達成するためには、メンバー一人ひとりに実用的で慈愛に満ちた価値観を浸透させるとともに、組織の原則――性格の改善、人種・政治理念・宗教的背景に関係ない形で他者を理解・受容すること、地域社会、国家、国際レベルの慈善事業を通して必要とされる時に手を差し伸べる相互扶助によって示される人間としての思いやり―を行動に移すのを促すことが必要となる。
メンバーになるためには、神の存在を信じ、善良な市民であり、16歳になっていなければならない。この条件は性別、人種、信条、宗教、所属政党、および社会的地位に関係なく適用される(31)。非政治的・無宗教的組織であるため(32)、会員資格はいかなる信念を持つ人に対しても開かれており、ロッジは常に中立的存在としてとらえられるため、宗教と政治に関する討論は厳に慎むべき行為である。
国際的には、今日の会員資格者は、ビジネスマンから医師、弁護士、教師、学生、政府関係者、退職者、ブルーカラーもホワイトカラーも含めた労働者と、あらゆる職業および社会的地位の人々を含んでいる。国によっては男性あるいは女性しか入れないロッジも存在するが、性別に関係なく誰もが利用できるロッジもある。会員の所得層や学歴もさまざまである。白人、黒人、そしてアジア系やヒスパニック系、あるいはプロテスタント、カトリック、イスラム教、そしてユダヤ教など各宗教の信徒がいる。
会員個人が組織全体および他のメンバー、そして本人に対して直接的な脅威をもたらさない限り、IOOFが身体的ハンディキャップや年齢、民族性、性別、人種、性的指向、宗教などを理由に会員資格を認めなかったり、メンバーとして享受できる権利を侵害したりすることはない。こうした指針は組織の運営方針の変更や慣行、または手続き、あるいは補助的要素や実務によって抹消できるものではない。また、身体的ハンディキャップや年齢、民族性、性別、人種、性的指向、宗教などを理由に、事業および施設の完全な平等性の維持を怠ることはない。
オッド・フェローズの使命とビジョンを完全に理解するため、メンバーは階位別に設定された一連の指示を含む正式かつ厳粛な儀式を受けることが慣例となっている。伝統的に、階位別の通過儀礼は主として講義、演劇、そして象徴を通して示され、階位ごとにひとつの原則に集中する。
オッド・フェローズのような友愛組織においては、それぞれの階位においてメンバーに熟考の時間が与えられる。目標は、新しいメンバーに対し、日常生活とは異なるユニークな体験を通して、日常生活に適用できる賢明な教訓と崇高な原則を伝えることだ。こうした儀式は、「会員がお互いを兄弟姉妹として定義できる手段」でもある。一般的に、知識や経験を共有する人たちの絆はより強くなると言われている。
都市や国には独自の文化や現地ならではの嗜好性があるため、それぞれのロッジが展開するプロジェクトやイベントの内容は異なるかもしれない。しかし階位や象徴、握手の方法、合図、そして合言葉に関する学びは世界中ほぼ同じだ。オッド・フェローズの普遍的な象徴を理解し学ぶことで、国籍に関係なくメンバーが共有の使命、ビジョン、組織の中核となる価値観を持つようになる。組織外では知られていない儀式や秘密の合図や象徴を共有することで、メンバーは排他的感覚で結びつき、結束力と帰属意識を高めていく。メンバーが別の都市や国にあるロッジを訪れても、儀式はほぼ同じように行われるため、「わが家にいるような」感覚にとらわれるだろう。
メンバーは儀式を通して団結し、オッド・フェローズの高い理想や倫理観、教えの追求に帰属意識を感じるようになる。しかし、基本は階位そのものではなく、階位別に示される教訓にほかならない(2)。階位は補足的なものに過ぎず、組織が存在する主な目的ではない。共通の習慣、そして核となる価値観を持つことは、どんな組織にとっても非常に重要だ。
サンフランシスコ在住の形而上学講演家、ダディシ・サニカは次のように述べている。
「正式な儀式の過程がない場合、無意識の通過儀礼が発生する。こうした無意識の通過儀礼はしばしば価値観や知識の系統的な伝達ではなく、反社会的なものになりがちだ。都市部におけるストリートギャングへの入会儀式はその好例であり、彼らの儀式にはコミュニティやその価値観を再確認する過程が見られない」
オッド・フェローズの儀式にしごきやいじめ、ばか騒ぎは含まれない。ロッジの部屋の中で邪悪なことは行われない。儀式に関しては秘密主義がある程度まで貫かれ、公にされないことがらもあるが、オッド・フェローズは秘儀やオカルト主義を信奉する秘密結社では決してない。IOOFが取り組むものは高度に公的であり、一般の人々から隔絶された秘密の知識を求めることはない。実際、現在の入会儀式は大部分が旧約聖書から取り入れられた要素から成る。入会儀式は、ほぼ全体がメンバー間で共有される倫理的教訓と中核的原則を伝える方法としてのみ機能し、同時に、入会希望者と既存メンバー双方に神秘的感覚と魅力を与えるものとなる。テレビをはじめとする近代的なレジャーがまだ存在していなかったかつての時代、階位の儀式は娯楽を提供する場でもあった。適切に行われる入会儀式は観劇にも似ており、会議を通して礼儀に関する意識も得ることができる。
オッド・フェローズの階位は時間の経過とともに進化してきた。以前存在していた数多くの提携団体のため、儀式としては今日も数種類のバリエーションが実践されている。合併または脱退によって新しい提携教団が設立されるたびに、一般的な教えはそのままの形で残される一方で、古い入会儀式はしばしば改定されるか完全に置き換えられた。新しいオッド・フェローズのグループは通常、不満や意見の相違によって生まれた古い組織の一派閥だった。よって、一新されたグループが前任者の古い記録を保管し、儀式の慣行を続行していく可能性は低い。
新しい提携団体の指導者は、古い儀式が二度と復活しないようにそれらの抹消を決定することが多い。過去数世紀にわたり、古代の儀式が印刷された状態ではごく少数しか残っていない理由のひとつは、こうしたことであると考えられる。現存する証拠によれば、継承は年代順にエンシェント・オーダー・オブ・オッド・フェローズから始まり、それがインプルーブド・オーダー・オブ・オッド・フェローズ、さらにパトリオティック・オーダー・オブ・オッド・フェローズ、ユニオン(あるいはユナイテッド)・オーダー・オブ・オッド・フェローズ、MUIOOF、IOOFへと引き継がれていった。
オッド・フェローズの初期の典礼的な儀式は、イニシエーション(メイキング)、そしてロッジの開設と閉鎖という形式のみで構成されていたことが示唆されてきた。イギリスにおける同様の友愛組織と同じく、階位の追加や劇的要素を盛り込むことは、式典にさらなる魅力を求める需要に応えるための、後の時代になってから生じた進化だった。現存する最古の入会儀式と階位の資料は、1797年3月12日にロンドン・グランドロッジで改訂され合意されたオーダー・オブ・パトリオティック・オッド・フェローズのものだ。これには開会と閉会の儀式、入会儀式、白または契約の階位、ロイアルブルーの階位、ピンクまたは美点の階位、ロイアル・アーチ・オブ・タイタスあるいは忠誠の階位、緋色あるいは司祭の階位が含まれていた。階位は次々に、3~4カ月ごとにひとつが授与された。
現在知られている最古の入門階位は、人類の生き方を象徴するものだった。
階位を受ける者は衣服を脱いでロッジの部屋に入る。この状態は生誕を意味する。先の道のりは危険がいっぱいだ。危険の数々は、人々が現実の生活で遭遇するさまざまな課題や困難を表現することを目的としていた。無知を表すために目隠しをされたが、これは私たちが人生を歩んでいく中で暗闇に置かれ、明日何が起こるかわからない状態を意味する。
入会式の終わりに、人生の終わりを意味する死の場面が設けられ、地上の人生は一時的なものであるという事実を想起させ、階位を受ける者に対して、「誰かの何かの役に立つ人生を送り、必要ならいつでも助ける準備を整えておくように」と語りかける。式の最後に、ロッジのワーデンが次のように説明した。
「友よ、この場面は人生の嵐を表している。あなたは雲と暗闇に囲まれ、あなたの行く手には多くの危険と困難が待ち受けている。すべての不幸な人たちを憐れみ、同情することをこの場面から学ぼう。国家的災難の話を耳にするときは、あなたが耐えた象徴的な苦痛を思い出しなさい」
この儀式はIOOF、そして現存する提携組織によって今日行われているものと完全に同じではない。階位を受ける者が服を脱ぐことはもうないが、一般的な学びは変わらない。1814年、MUIOOFは、古い儀式の見直しを開始した。文字情報化されているMUIOOFの最初の儀式では、階位が以下のように分けられていた。イニシエーションあるいはメイキング。第1階位または白。第2階位またはロイアルブルー。緋色または司祭の階位。セクレタリー、バイス・グランド、パスト・グランドとなるための講義の本もあり、これは1816年以来何度も改訂されている。
一時期、アメリカのIOOF はMUIOOFと同様の儀式を採用していた。1820年、合衆国グランドロッジは、ジョン・ポーソン・エントウィスルによって書かれた契約と追悼の階位を追加した。どちらの階位も1826年にMUIOOFとIOOFの儀式に登場している。1835年までに、イニシアトリー、第1階位、契約、第2階位またはロイアルブルー、追悼、緋色または司祭の階位という区分に分割された。同じ講義本でセクレタリー、バイス・グランド、ノーブル・グランドにも触れられている。
1834年、MUIOOFは講義の内容を改定した。契約と追悼の階位を削除し、これが他の大幅な改定を伴うMUIOOFとIOOFの分離につながっていった。その後IOOFはさらにイニシアトリーと五つの階位──白または第1階位、ピンクまたは第2階位(契約)、ブルーまたは第3階位、グリーンまたは第4階位(追悼)、および緋色または第5階位に改定した。この制度は、階位の数が三つに減らされた1880年まで実質的な変更がないまま継続された。その後多くの修正が加えられたが、いずれも小さなものだった。
イニシエーションや儀式、典礼という用語は、言葉の響きがひんしゅくを買ったせいで意味が大いに誤解されており、しばしば誤った形で魔法、魔術、悪魔崇拝、血の誓い、しごきやいじめなどと関連付けられる。
しかし、イニシエーションという言葉の定義は単に「人をグループや組織のメンバーにするにあたって行われる儀式や一連の行為」でしかない。入学希望者が大学に入学する前に筆記試験と面接を受けることを要求されるのも、一種のイニシエーションだ。教会の牧師や司祭として叙階される前、あるいは大学の学位を取得する前に一連の訓練や教育レベルを受けることを要求されるのも、イニシエーションを受けているのと同じことになる。
一方、儀式や典礼は「常に同じ方法で行われる正式な儀式または一連の行為」と定義される。人間の生活には、大小さまざまな儀式や行事が含まれる。食後歯を磨いたり、寝る前にお風呂に入ったりすることは、簡単な儀式の例として挙げられる。多くのキリスト教会においては、ミサや礼拝中に司祭や牧師が秘跡を与える儀式が行われている。
基本的に、入会儀式や通過儀礼とは「誕生、成人、結婚と死、あるいは特定のコミュニティへの参加などの大きな出来事に伴って行われる演出を伴う儀式」である。典礼は「永続的コミュニティの由緒ある不変の習慣」とされる傾向がある。一般的な通過儀礼の例としては、通常年に一度の誕生日のお祝い、結婚式、卒業式や学位授与式、葬儀などが挙げられる。
一方、宗教にはより複雑な儀式と必要条件がある。宗教における洗礼は、その人が教会に加わり、信徒の一員とみなされることを意味する。カトリックにおける洗礼の儀式はアダムとイブが生んだ原罪の汚れを取り除き、イエスの御名において儀式を受ける人を「生まれ変わった」人々から成るコミュニティへ導くものと考えられている。通常はこれに続いて約7歳で和解の儀式が行われ、続いてイエス・キリストの体と血として神聖化された一切れのパンを食べる初聖体拝領の儀式が行われる。子どもが12歳になると、確認の儀式が行われる。この(ずっと)後に結婚の儀式が行われ、死にゆく人が自分の罪を告白して油を注がれる最後の儀式が行われる場合もある。ヒンドゥー教にも誕生から死に至るまでの通過儀礼が10〜40ほどある。
こうした儀式は人類の文化的・宗教的伝統の一部にほかならない。通過儀礼や入会儀式の習慣に地理的または父系思想的起源はなく、世界中のほぼすべての文化にさまざまな形で存在する。集団を形成し共同体として共生するとき、最終的にグループ内に共通の特定の習慣や慣例を生み出していくのは人間の本質だ。
中には、公共生活の一部として多くの人々が共有感覚を抱いているものも含まれている。 コミュニティに属するすべてのメンバーに対して義務付けられているわけではなく、特定のグループのメンバーに対してのみ実行される入会儀式もある。こうした儀式は特定の宗教、友愛組織、大学の男子・女子友愛会や、またはその他の種類のクラブに加入するために行われる。これらの慣例や慣習は、内容が一新されるまで何十年も続けて行われる。
現実的な議論の結果としては、オッド・フェローズのようなイギリスの友愛組織における入会儀式は古代の神秘、ギルド、職人協会の儀式が進化したものであり、人々の演劇への興味の影響を盛り込んだものであることが示されている。早ければ中世には、イギリスとスコットランドの業界団体やクラブの間で「ブラザーリング」が一般的な儀式として認識されていた。こうした習慣はグループによって異なるが、一般的に居酒屋やパブで行われる。ばか騒ぎやいたずらを盛り込んだ講義が含まれ、すべて新メンバーの支払いで食べ物と飲み物がふるまわれる。初期のオッド・フェローズでは、新メンバーは「メイキング」または「イニシエーション」と呼ばれる単一の階位で入会が認められた。この儀式は、職人や労働者が実践していた「ブラザーリング」とよく似ていた。
イギリス起源のさまざまな友愛組織や友好団体の間では、装飾品に類似点がある。 これは、ほとんどの団体が同じ仕立て屋、製造業者、または販売者から装飾品を購入していたためだ。 多くの場合、同じ材料と設備を使って大量生産されるため、よく似た形状やデザインになる。
オッド・フェローズとフリーメーソンの装飾品がよく似ていることから、過去の時代の歴史家はオッド・フェローズがフリーメーソンを模倣したものであると漠然と考えていた。ただし、首掛けや腰飾りなどの装飾品の使用については、フリーメーソンが普及に貢献した可能性はあっても、完全にフリーメーソンに由来したものではない。むしろこの伝統はイギリスのギルドに由来している。
歴史家のビクトリア・ソルト・デニスは次のように述べている。
「オッド・フェローズやフリーメーソンを含むさまざまなグループが、市民およびギルドの服装や習慣といった庶民的伝統を参考にしていたというのは、一般的に言って真実のようだ」
MUIOOFとGUOOFは、首掛けと腰飾りの双方を装飾品として使用し続けた。一方、IOOFは、1881年に儀式を改定した際に腰飾りの使用を止めた。記録に残されている理由は、メンバーを多すぎる装飾品の費用の負担から解放するためだ。もうひとつ考えられるのは、世間の誤解を取り除くことだった。
早くも18世紀には、特にローマ・カトリック教会とフリーメーソンの間に政治的、宗教的対立が発生していた。1826年のフリーメーソンによるウィリアム・モーガン殺害容疑を受けて、アメリカでは状況がさらに悪化した。宗教団体や政治団体、さらには陰謀論者による反フリーメーソン感情は現在に至るまで続いている。フリーメーソンとオッド・フェローズは装飾品が似ているため、教会を含む多くの人々が両者を区別できなかったことから、IOOFや他の友愛団体に対する一般の認識にも悪影響がおよんだ。
1870年代、ソブリン・グランドロッジが宗教団体の指導者からオッド・フェローズとフリーメーソンとの関係についての問い合わせを受けるという事例さえあった。実際、オッド・フェローズの批判者たちは、オッド・フェローズとフリーメーソンが同一であるという主張の論拠として、腰飾りなどの装飾品の類似点を利用した。その一方で一部のフリーメーソンは、腰飾りの使用などの類似点を論拠として、オッド・フェローズがフリーメーソンの模倣者であると非難したが、これは誤りである。こうした経緯があり、IOOFが最終的に腰飾りを廃止し、公式の装飾品として首掛けだけを使い続けることになったのだろう。
宇佐和通
翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。
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