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2001年に破壊された遺跡の信仰文化を見て学ぶ展示が実現!
京都府京都市の龍谷大学にある龍谷ミュージアムにて、春季特別展「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰-ガンダーラから日本へ-」が2024年4月20日(土)から開催される。タイトルからわかる通り、2001年に破壊された世界文化遺産「バーミヤン遺跡」を深掘りするイベントだ。
特に、壁画に描かれた神々の姿を掘り下げ、当時の宗教観にも迫るのが興味深い。以下より、見どころをチェックしていこう。
アフガニスタンの首都カブール北西に位置する、古代から続く都市バーミヤンを中心としたヒンドゥークシュ山脈山中の渓谷地帯、バーミヤン渓谷。そこはかつてユーラシア各地の文化が行き交った地域であった。近郊には石窟による仏教美術が多く残され、その代名詞となっていたのが、渓谷の崖面に彫られた巨大な2体の大仏だ。その周囲には「太陽神」や「弥勒」の姿も壁画で表現されていた。
それは仏教信仰がこの地で隆盛を誇った証であり、当時の信仰観を今に伝える貴重な遺物である。バーミヤン遺跡は、そんな歴史の足跡を残す国際的な文化遺産だった。
……しかしご存じの通り、2001年3月にイスラム原理主義組織・タリバンによって爆破されてしまう。当時のニュース番組で、巨大な2体の大仏が粉々になる映像が流れていたのを覚えている人も多いだろう。
その後、日本も含む国際支援によって修復事業が進められているわけだが、この度、かつて日本の調査隊が撮影したバーミヤン遺跡の写真や調査資料を詳細に検討することで、壁画の新たな描き起こし図が完成したという。
今回のイベントはこれを記念したもので、新しい描き起こし壁画の原図が展示される。名古屋大学・龍谷大学名誉教授の宮治昭氏による監修のもと、京都市立芸術大学の正垣雅子教授が描いた、貴重な学術研究成果を間近で見ることができる。
さらに会場では、壁画に表された太陽神と弥勒の世界に迫っていくのも見どころだ。
まず太陽神についてだが、バーミヤン遺跡の巨大大仏の片方である「東大仏」の頭上に描かれた壁画の中央には、実はゾロアスター教の太陽神・ミスラがいるのだという。なぜここに異教の神が…? 当時の人々がどのように仏教信仰を捉えていたのかを考えると、非常に興味深い。
そして弥勒である。「現在仏」であるブッダ(釈尊)に対し、「未来仏」とされる弥勒は、釈尊入滅から56億7千万年後に降臨し人々を救うとされている存在。この弥勒を信仰するのが「弥勒信仰」だ。いわばメシアニズムとも繋がるそれは中央アジアで発展し、東アジアへと伝わっていった。今回の展示では、この弥勒信仰が広まっていく中で多様な展開を遂げる様子を紐解く。
そのほか、東京国立博物館が所蔵する重要文化財の玄奘三蔵像、ガンダーラで出土したスーリヤ柱頭や弥勒菩薩立像など、ゆかりの美術作品も多く展示される。ぜひこの機会に、かつてバーミヤンで栄えた仏教の姿に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
【イベント概要】
「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰 ―ガンダーラから日本へ―」
https://museum.ryukoku.ac.jp/exhibition/2024/bunmei/
【会期】2024年4月20日(土)〜2024年6月16日(日)
【会場】龍谷大学 龍谷ミュージアム
【住所】600-8399 京都府京都市下京区堀川通正面下る(西本願寺前)
【展示室】龍谷大学 龍谷ミュージアム
【時間】10:00〜17:00(最終入館時間 16:30)
【休館日】月曜日(ただし、4月29日(月)、5月6日(月)は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
【入館料】一般 1,600(1,400)円、高大生 900(700)円、小中生 500(400)円、小学生未満:無料、障がい者手帳等の交付を受けている方及びその介護者1名:無料(手帳またはミライロIDを受付にてご提示ください)※( )内は前売り・20名以上の団体料金
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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