ロシアのアトランティス「キーテジ」の謎! 神の意志で湖に沈んだ“見えない都市”は今どこに?
邪馬台国やアトランティスがどこにあったのか依然として議論が続いているが、ロシアには湖底に沈んだ謎の都市があるという――。
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1908年にシベリアを襲ったツングースカ大爆発の原因は何だったのか? 最新のプラズマ説や、現在最有力視されている説について解説する!
1908年6月30日の朝、中央シベリアに位置するバイカル湖周辺の住民を突然、異様な光と爆発音、そして振動が襲った。旧ソ連で起きた「ツングースカ大爆発」では、東京都の面積に匹敵する2千平方キロで約700万本の針葉樹がなぎ倒され、その中心部分では直径30〜50キロで樹木が焼け焦げた。
当初は小惑星が落下し、爆心地の上空6〜11キロで爆発したと考えられていた。ソ連科学アカデミーは調査隊を組織、2度にわたり現地で大規模な遠征を行ったが、隕石を発見することができなかった。
仮に隕石が木っ端みじんに吹き飛んだとしても、含まれている鉄分が極めて多いため、落下地点周辺には磁鉄鉱球がバラまかれるはずだ。ところが、磁鉄鉱球もまったく見つからなかった。
困惑したソ連科学アカデミーは、鉄隕石ではなく、ガスが凍結した氷の塊が落下したのだと発表した。氷なら、跡形もなく消えてもおかしくない。
それから数十年後、1950年代のSFブームで、ツングースカ大爆発を引きこしたものは何か、科学者のみならず作家やジャーナリストからもさまざまな意見が上がるようになった。隕石でも彗星でもないとしたら?
最初に考えられたのは、核爆発だった。SF作家アレクサンドル・カザンツェフが、ツングースカ大爆発は異星人の宇宙船が落下したためという小説を発表。宇宙船の核エンジンが爆発したというのだ。この説を検証するため、大学の研究者らが放射線計を携えて現地に入ったが、残留放射能による異常は見られなかった。
当時の目撃証言に共通しているのは、白く青みがかった円筒形状(目撃した地域によって、球状の場合も)の光の塊が、地平線の少し上を高速で移動し、爆心地となった森上空で光を広げると、続いて黒煙が地上から噴き上がったというものだ。当時の新聞には次のよう記されていた。
「多くの住人は、雷が鳴る前に“丸太のような燃えている物体”が南から北方まで急速に空を覆い尽くしたのを目撃した。その直後、雷鳴が聞こえ、光の本体が消えたところに火が現れ、そして煙が発生した」(『1908年のツングースカ事件:目撃者の証言の分析 1908年に収集された発光現象』アンドレイ・オルホバトフ)
爆発音は700キロ離れた村でも確認され、砲撃と間違えるほど強烈なものだった。地面が揺れ、窓ガラスが割れた家も少なくなかった。
では、これが隕石でなかったら、何が落下したのか?
マイクロブラックホールが地球を突き抜けた、反物質が落下した、地下からガスが噴出したなど仮説はさまざまに挙げられたが、いずれも説得力に欠けた。ブラックホール説はユニークだが、地球を貫通したのなら南半球でも爆発が起きないとおかしい。そこを突かれた提唱者のテキサス大学の物理学者は、ブラックホールは地球の核にトラップされたと反論。ちょっと自説に責任がない感じである。反物質にしても証拠はまったくなく、謎は深まった。
そうした中で、「1908年のシベリアにおけるツングースカ現象 地表と高温プラズマの放電?」(Norbert Brugge)や「ツングースカ大惨事で大気圏の上昇はあったのか?」(Olga G. Gladysheva)などの論文からプラズマ説を紹介したい。
当時の目撃情報には、飛行物体が森に姿を消した後、6〜7秒間、光の柱が立ち上がったというものがある。強力な熱放射を伴い、65キロ離れた地点の住人さえ熱さを感じたという。
地球の電離層(高高度で薄くなった大気が宇宙線によりイオン化した層)とプラズマ層(電離層の外側で、電離層から漏れた大気が完全にプラズマ化した層)の間では、冷たいプラズマ(エネルギーが低い状態のプラズマ)が発生している。何らかの理由で冷たいプラズマが強く帯電、エネルギーを増した。ツングースカの地下には、磁鉄鉱の鉱脈があることがしられており、磁力の強いツングースカへとプラズマ圏からプラズマが引き寄せられ、それが光の柱として目撃されたのではないかという。
地上の強い磁気スポットとぶつかったプラズマに、タウンゼント崩壊というプラズマの蓄積したエネルギーが一気に放散する現象が発生、大気の温度を急激に上げ、膨張する空気が爆発したのではないか。
このプラズマ説は、深宇宙から何かが落ちてきたわけではなく、あくまで地球で起きた現象というのが特徴だ。HAARPのようなプラズマ兵器の噂も、ツングースカの爆発がプラズマで起こせるのならありえそうだ。
現在、もっとも説得力があるとされている説は、2020年2月にシベリア連邦大学のダニイル・クレニコフらが発表した小惑星通過説だ。
小惑星が地球をかすめるように飛び、ツングースカ上空で最接近したという説で、シミュレーションによると、ツングースカ大爆発を引き起こすには直径100〜200メートルの鉄の小惑星が毎秒7キロで高度1.1万メートル前後を、およそ3000キロ飛行したとすると計算が合うのだという。
小惑星はそのまま飛び去り、衝撃波によってなぎ倒された森林だけが残された。小惑星の証拠である磁鉄鉱球は、ミリサイズの非常に小さなものが川の泥から見つかっており、ほぼこれで説明できるという。
大山鳴動ネズミ一匹、案外と事実はその程度で、面白くもなければ不思議でもなかったりする。できれば小惑星ではなく宇宙船に通過してほしかったのだが。
【参考】
http://www.b14643.de/Tunguska_event/index.htm
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1364682622000827
https://www.researchgate.net/publication/339875327_On_the_possibility_of_through_passage_of_asteroid_bodies_across_the_Earth‘s_atmosphere
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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