プーチン大統領とシベリアのシャーマンの魔術対決! 混迷するロシアを揺るがす悪魔祓いのリアル/仲田しんじ

文=仲田しんじ

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    世界を驚かせた電撃的なウクライナ侵攻から1年が過ぎようとしている中、ここにきてプーチンのメンタルを不安視する声がいくつかあがってきているようだ。心身の壮健さを維持するために、プーチンはオカルト的儀式でシカの血を浴びているというのである。

    プーチンが実践する魔術的な儀式

     誰も予想していなかったロシアのウクライナ侵攻から約1年が経つが、今なお収束の気配は見えていない。ロシアの最高指導者、ウラジーミル・プーチン大統領は何を考え、世界をどこへ導こうとしているのか。

     著名なロシアのジャーナリストによると、プーチン大統領は読心術や“血の儀式”などのオカルティシズムに没頭しているという。この男の身に、いったい何が起こっているのか。

    https://df.news/en/2020/06/26/putin-the-roc-and-the-occult-part-i-what-does-putin-believe-in/

     昨年10月に70歳を迎えたプーチン大統領の健康状態に関しては、これまで数々の懸念が指摘されてきた。毎年恒例となっている極寒の湖で沐浴するロシア正教伝統の荒行も、昨年に引き続き今年も行われていない。

     もちろん、体力が徐々に低下するのは無理からぬところではあるだろう。しかしロシアのジャーナリストで作家のオレグ・カシン氏によると、肉体的および精神的な健康状態が悪化した大統領は今や超能力に執着し、体力と権力を維持するためにシカやイヌやワシなどの動物を犠牲にしているという。具体的には、定期的にシカの血を浴びる魔術的儀式を執り行い、衰えた男らしさを補っているというのだ。

     だが、ウクライナ侵攻前から、プーチン大統領の周囲にはオカルトや超常現象“界隈”の人々が多くなっていたともいわれている。たとえばロシア版の“シークレットサービス”であるFSO(ロシア連邦警護庁)副局長であるアレクサンダー・コモフ将軍は、占星術と超常現象に深い関心を抱くオカルティックな人物であることがクレムリンの情報筋から伝えられている。そして、プーチン大統領とその周囲のこうしたオカルトへの傾倒が、ウクライナ侵攻を決断した大きな要因であるとも囁かれているのだ。

     なお、前述のカシン氏は、超常現象に対するプーチン大統領の関心について、読心術を会得していたKGB時代の同僚ゲオルギー・ロゴジン(1942~2014)の影響であると説明している。このロゴジンは、ビル・クリントン政権下の国務長官であったマドレーヌ・オルブライトの心に侵入し、彼女がロシアに対する深い憎悪を持っていることを突き止めたと主張している。

     ロゴジンの主張を裏付ける証拠はないにもかかわらず、この一件でロゴジンは「クレムリンのマーリン(魔術師)」、「制服のノストラダムス」という異名を獲得した。また、ロゴジンは精霊と交信できるとも噂され、その言動がプーチン大統領に永続的な影響を与えたとも言われる。そしてロゴジンは、ソ連崩壊前後の段階でボリス・エリツィンの後継者がプーチンになると“予言”し、実際にその通りになったのである。

     カシン氏は、英タブロイド紙「The Sun」の取材に対し、「プーチン大統領とその周囲の決定について考えるとき、神秘主義を避けることは不可能だ」と語った。
    「ずっと前に亡くなったクレムリンの超能力者(ロゴジン)の錯乱した幻覚は、本当の戦争を引き起こし、世界を核戦争の瀬戸際に追いやったのです」(オレグ・カシン氏)

    ゲオルギー・ロゴジン 画像は「Daily Star」より

    “シベリアのシャーマン”を恐れるプーチン

     カシン氏はまた、プーチン大統領の妄想の背後にあるのはロゴジンの教えだけではないと同紙に語っている。プーチンは、2019年にクレムリンの“悪魔祓い”をしようとした“シベリアのシャーマン”ことアレクサンドル・ガビシェフ氏を恐れていると説明している。

    アレクサンドル・ガビシェフ氏 画像は「Amnesty International」より

     クレムリンに憑りついている悪魔とは、ガビシェフ氏によればまさにプーチンその人だという。ガビシェフ氏はプーチンという悪魔を祓うため、2019年3月にサハ共和国のヤクーツクから徒歩で約8000キロ先のクレムリンを目指したのだった。

     YouTubeなどで情報発信しながら旅を続けたガビシェフ氏だったが、旅の3分の1を旅した後、シベリアのバイカル湖のほとりで同年9月に当局によって拘束されて世界的なニュースとなった。クレムリンに到着して実際に“悪魔祓い”の儀式を行い、威力業務妨害などで逮捕されるのならわからないでもないが、まだ何もしてない旅の途中で拘束されるというのは理不尽な話である。

     当局はこれまでの言動からガビシェフ氏を「反政府デモを扇動し得る人物」として危険視しており、首都へ向けての旅を看過できなかったようだ。
     同年12月、再び旅をはじめたガビシェフ氏だったが、またしても当局に逮捕され、現在は入院させられたといわれている。
     カシン氏は「ロシアの法律はシャーマンを禁止しておらず、彼が逮捕された唯一の理由は、プーチン大統領がこれらの儀式(悪魔祓い)を信じ、恐れていたことにほかならない」と語っている。

     同じように、プーチンのオカルトへの執着について言及した人々は迫害に直面している。

     プーチンが行っているシカの血を浴びるという悪魔的な儀式について、2017年に最初に報道した調査メディアの「Proekt」は、ロシア国内での活動を禁止された。同様に、カシン氏自身も2010年後半に何者かによって凶悪な襲撃を受け、顎と頭蓋骨、指を骨折する重症を負い、骨折した指の1本は切断することを余儀なくされている。

     政権に批判的な言動について敏感な反応を見せているプーチン政権だが、混迷を深めるウクライナ情勢の中、ロシアとプーチンがどこへ向かうのか、引き続きチェックを怠ることはできない。

    【参考】
    https://www.dailystar.co.uk/news/weird-news/mad-vladimir-putin-obsessed-occult-28650201

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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