「天眼」が導く大衆救済は降霊術で始まった! ベトナム「カオダイ教」の世界/新妻東一
フランス占領下で生まれ、社会主義政権下でも活動が認められているベトナムの大衆宗教・カオダイ教。その始まりは降霊術だった。
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江戸末期に生まれ、わずか12歳にして潮江(うしおえ)天満宮の神主となり、生身のまま神仙界に出入りを許されたという霊的天才・宮地水位(みやじすいい) 。その往還のなかで、神仙界の霊符、秘呪、神法などを人界に伝えたことでも知られている。 今回は、そのひとつ「龍鳳神字」の意味と使用法を、神仙道研究家の大宮司朗師が指南する!
目次
2020年末、筆者の監修で『龍鳳神字秘典』(八幡書店)という書籍が刊行された。この書籍は、『鴻濛字典(こうもうじてん)』と名づけられた書物のなかから、龍鳳文という神仙界の文字(以下、龍鳳神字とする)を取りだし、検索しやすいよう五十音順に並べたものである。
この龍鳳神字は、正真の神仙界出伝のものであり、その筆の運び、勢い、神気漂う格調の高さは比類ない。座右に置いてその神気を日々受ければ神徳はあらたかであり、神字に思いを凝らし、あるいは一字一字を書して習得すれば、その人の霊格の向上は疑うべからずと、神仙道においてはいわれている。
この神聖なる文字を現界に伝えたのは、肉身のまま神仙界に出入りしたとされる不世出の霊的天才・宮地水位(みやじすいい)である。もともと水位は神仙界で仙職の官位を得ていたが、掟に触れて人間界に落とされ、嘉永5(1852)年、謫仙(たくせん)としてこの世に生まれた。水位という名は、少彦那神(すくなひこなのかみ)から与えられたいわゆる道号で、水位星という星の名に因ちなんだものである。
のちに水位は多くの神々の啓導を受けるのだが、その端緒となり、水位の霊的覚醒に大きな影響を与えたのは、潮江(うしおえ)天満宮(高知県)の神主を務めた父・常磐である。「我れ父の行ひの有状を見るに雪の夜などは庭前の石上に坐して祭服にふりかかる雪は氷となり、之を握れば服と共に氷りたり」と、水位がその霊的著書『異境備忘録』(大宮司朗監修/八幡書店)に記すがごとく、常磐は寒冷霜雪の間も休むことなく求道(ぐどう)をつづけ、ついに大山祇神(おおやまつみのかみ)に感応し、その導きにより四国の霊山・手箱山(てばこやま)を開き、その頂上に大山祇神社を建立した。
水位は10歳のころから、厳父・常磐の使いとして、脱魂法によって手箱山の神境に遺わされるようになる。また、諸般の事情から、わずか12歳で父親の後を継いで潮江天満宮の神主となり、神明奉仕ならびに一切の社務を担う。これがいっそう神界と水位との間の霊的気線を強化する機縁ともなったのであろう、道を得た者を神界に取り次ぐ高級神・玄丹大霊寿眞人(げんたんたいれいじゅしんじん)、少彦名神の代命であり、海わだ宮つみ神界の神仙である龍飛太上仙君(りゅうひたいじょうせんくん)、龍徳太上仙君、天狗小僧として知られる寅吉の師匠・杉山僧正などの啓導をも頻繁に受け、最高神界(北極紫微宮“ほっきょくしびきゅう”、日界、神集岳“しんしゅうがく”、萬霊神界“ばんれいしんかい”)にまで出入りを許されたばかりか、幽真界(ゆうしんかい)の神物、たとえば五岳真形図(ごがくしんぎょうず)をはじめとする各種の真形図、霊符、人界に漏れたことのない神界の様相、秘呪、神法などを現界にもたらすようになる。
そうした神界の秘事を知ろうとする人は多く、水位在世中の門下は約3000人といわれ、その門人帳には、国学者・平田篤胤(あつたね)の学統の大物で、帰幽(きゆう)に際してあらかじめ訃報を発して親類縁者を宴に招き、酒杯を挙げて談笑しつつ、端座したままで悠然と帰幽した矢野玄道、明治の易聖といわれた呑象(どんしょう)・高島嘉右衛門(かえもん)なども名を連ねている。
水位は多芸多才、多趣味な人物で、和歌もつくり、刀剣や書画骨董の鑑識にも相当なものがあった。酒も大好きで、一日1升は飲んでいたが、明治32年、48歳で重い病気に罹り、その後は一日1合程度しか嗜まなくなった。そして大患後、帰天する明治37(1904)年の春までは、ほとんど病床にあった。
しかし、やはり水位が凡人と違うところは、このような病気の最中においても熱心に神祇(じんぎ)に祈り、修法を怠らなかった点であろう。さらには、霊的現象に悩み、あるいは病気平癒を依頼してくる人があれば、事情の許す限り、それを快諾し、神界出伝の秘文や神法を用いて祈禱し、多くの人々を救ったのである。
ここで読者のなかには次のような疑問を持つ人もいることだろう。生身のままで最高神界にさえ出入するという破格の立場を許され、しかも不世出の神法道術の達人であった水位が、晩年5年もの間、病床で苦しみ、わずか53歳という若さでなぜ道山に帰ったのだと。
これにはいくつもの理由があるが、そのひとつは、水位が仙界での過ちを償うために人界に生まれた謫仙(たくせん)であったことだ。流謫(るたく)の期限を終え、肉体を脱して帰山するに当たり、罪科消滅の清算を急いだ。それが難治の病気による心身の禊であった。
また、北極紫微宮、神集岳、萬霊神界などの最高神界の消息をはじめとして、数々の神仙界の秘事を、後学の者のためにと自らの責任のもとに現界に漏洩した。そのことによって真摯なる求道者を覚醒せしめたという功もあるが、神界の祕事は本来俗界の者にたやすく知らしめてはならないという厳律がある。
結果的には、謗法(ほうぼう)、売法(まいほう)の徒にそうした貴重な祕事が洩れてしまった罪もあり、その修祓(しゅばつ)の意味などもあったかと思われる。
ともかくも水位は明治37年3月2日、肉身生活53歳をもって尸(し)を解いた。帰幽の祭儀において、その柩より一大音響とともに閃々たる電光が発せられたため、通夜に集った人々は春雷かと驚き呆れた。また、その柩を運ぶに当たって、運んだ人はあまりの軽さに不思議だと首をかしげたと伝えられている。
こうしたことから、水位は神仙道において道を得た人が行うといわれている尸解(しかい)の法をもって瞬時に肉体を跡形もなく消散させ、霊的な身体である玄胎(げんたい)に移って仙去したものと、斯道(しどう)の人々は固く信じている。
ところで、宮地水位の代表的な著作のひとつは、先に引用した『異境備忘録』だ。同書によれば、現実界と並行して存在する「異境」には、神仙界、仏仙界、天狗界、悪魔界など、さまざまな世界が存在するという。また、それまでほとんど語られることのなかった高級神仙界についても詳しく記されており、ある界においては、現界と同じように山野もあれば河川もあり、宮殿、神社、民家などの建築物もあり、人間界と同様に文字も存在する。その文字こそが、ここで紹介する龍鳳神字なのだ。
龍鳳神字は明治23(1890)年、水位が門人・多田勝太郎の屋敷(阿波国小松島)に滞在中、同人に請われて書いたものだ。多田勝太郎の父・宗太郎は勤皇家(きんのうか)で、新田開発や海防の功労者として徳島藩藩公にも賞せられたほどで、著名な人物であった。その父君が、医者も見放すほどの大病に罹ったときに、縁あって水位に治病の修法を頼み、その効あって見事に快復した。それに感激した息子の勝太郎は水位の弟子となり、熱心に修行し、水位の道業の発展のために金銭などを惜しむことなく援助した。そこで水位も、その熱意と恩義に報いる意味で頼みに応じたものと思われる。
水位は執筆に当たり、座右に一冊の資料も置くこともなく、一気呵成(いっきかせい)に認めていったと、そばにいて執筆の様子を眺めていたという人物が語っている。こうしてできあがったのが、龍鳳神字などの文字が記された『鴻濛字典』である。
この秘書の存在は長らく世に知られていなかったが、ある古神道系統の霊能者が、宮地神仙道の清水南岳に、徳島県小松島の多田家に所蔵されていることを告げる。その情報によりこの書を入手した南岳は、これを修道の士に必須のものと考え、印刷して、自分が主宰する神仙道の道士に渡そうとしたが、事情があって果たせなかった。だが現在は、『幽真界神字集纂』(大宮司朗編/八幡書店)に収録され、神縁のある人は見ることができるようになった。
この書は、神代文字と幽真界文字に関する一大宝典ともいうべきものであるが、普通の漢和辞典のように索引が付けられているわけではないので、漢字に対応する龍鳳神字を捜すのがいささか大変であったため、読者諸氏から索引増補などの要望を受けていた。そこで龍鳳神字を検索しやすいように再編し、索引を付した『龍鳳神字秘典』を出版するに至ったのである。
「ムー」2021年10月号ではでは、1200ほどある龍鳳神字のなかから12字を選び、「富栄」「奇増」「神縁」「勝運」「寿福」「霊発」という6つの単語とし、龍鳳神字開運符と名づけて付録とした。
ウェブ版では符としての提供はできないが、その用途を簡単に説明する。
富栄という語は、神仙道において瑞祥(ずいしょう)盛運を呼び寄せるための秘呪としても用いられている。文字どおり、富み、栄えたい人に役立つ。どうも金運がない、もう少しお金が自分のほうに回ってこないかという人がこの神字を活用すれば、金銭運が上昇してお金が入り、貯金なども貯まるようになるだろう。また、商売などがどうもうまくいってない、なんとかもっと繁盛させたい、会社がなかなか軌道に乗らない、もっと発展・繁栄させたいなどと願う人なども、この神字を用いて吉となる。
この語も先の富栄と同じく、瑞祥盛運を呼び寄せる秘呪として用いられている術語である。文字のごとくに、不思議に増えるわけで、富栄の神字と同様な用途に用いることもできるが、富栄のように堅実にやっていて金銭に恵まれるというよりは、意外なことで儲かるという要素が強いので、日常生活のなかで運よく、思いがけなく貴重な品物や金銭が入ってくることだろう。また宝くじなどを購入する際に用いて、不思議な応験を得ることも期待できるだろう。
神縁とは、第一義的には文字どおり神との縁ということである。人は神とのよい縁を結ぶことでよい人生を送ることができる。第二義的には、神には「不思議な」とか「霊妙な」などという意味もあり、人と人との縁にかかわることに用いても、よい結果を得る。男女の仲において、縁を結びたい、切りたいなどの願いだけではなく、有力な人物などと縁を結びたいときにも、また逆に、嫌な人物との縁を切りたいときにも、この神字を用いて大きな霊応を得ることができるだろう。
勝ち運をもたらしてくれる神字である。ギャンブルをはじめとして、運の要素が強いことを行う場合に所持して、予想外の勝利を得るのはもちろんのこと、実力で勝ち負けを決めるようなスポーツなどであっても、これだけは勝ちたいといったときに用いると思わぬ勝利を得ることができることだろう。この神字を用いることで、訴訟などにおいても勝つことを得たり、交渉や取り引きなども自分に有利に運ぶことだろう。
文字どおり、長生きで幸福なことである。幸福な人生であってもあまりに短命では、やはり情けないし、また逆に、長生きしても、苦労だけの人生ではこれまた感心できない。人はあまりいろいろと欲張るべきではないと思うが、幸多くして長く生きられれば、とりあえずは、いうことはなかろう。そうしたことを望む人の神字である。
この開運符は、秘めたる才能を霊妙に発揮するのに役立つ。そればかりではなく、新しい発想を得たいときや受験勉強をするときなどにおいて、この神字を利用することによって、意外の結果を得ることができるはずだ。さらには、そうした俗的なことばかりではなく、高い霊的な世界に対応する神智、霊智の開発にも貢献することだろう。
神字にはもともと神気が宿っており、これを所持することでしだいにその神気の影響を受けて運命が回転し、「富栄」「奇増」「神縁」「勝運」「寿福」「霊発」を期待できるわけではあるが、よりいっそう霊験を大きなものとする方法がある。それをこれから、いくつか紹介する。
*付録を使った方法を紹介するが、自分で書いた符でもかまわない。
使用する開運符を切り取り、本来の神聖な気が発現するように清める。これにより、いっそうの霊験を期待できる。これは、鏡などが汚れていると、鏡面にはっきりと外界を映しだすことができないが、汚れを落とすことによって、清明に外界を映しだすことができるのと同じ理である。なんらかの穢れによって本来の神気を発現してないかもしれない開運符を清め、十全の神気を発現させようというわけである。以下に、そのための略作法を紹介する。
①清めようとする開運符を両手で持ち、眼前に掲げ、「神火清明(しんかせいめい)、神水(しんすい)清明、神風(しんぷう)清明」と、微声で口中にて唱える。
②息吹きによって一切の穢れを吹き祓うつもりで、口から「プーッ、プーッ、プーッ」と3回勢いよく息を吹きだし、その息を開運符に吹きかける。
この所作によって、祓い串で祓い、火打ち石、火切り金、あるいは神水で清めるのと同様に、開運符の穢れが祓われるわけなのである。あまり手数をかけずに開運符を用いてみたいならば、これで準備は完了である。あとは財布や定期入れなどに納めて常に所持するか、小さい額縁にでも入れて机の前に置き、その霊応がいかなるものかを試していただきたい。
今回の開運符は霊符ではないので、霊符などに用いる開眼法を行う必要は必ずしもないのだが、どういうわけか開眼法を行ったうえで所持するほうが効果が大きいという声を聞くので、その方法をここに記しておく。
①手を洗い、口をすすいだ後、熱を感じるようになるまで手をよく擦す
りあわせる。
②開眼しようとする開運符(先に清祓法を行っておく)を両手に挟んで眼前で合掌し、「天地の玄気(げんき)を受けて、福寿光無量(ふくじゅこうむりょう)」という呪を7回唱える。
これにより天地に充満する神気がいっそう開運符にこもり、霊なるものとなる。人によっては気の感通がわかり、開運符を持つ手がピリピリしたり、不思議な圧力や風のようなものを感じることもあるはずだ。
この法は、神秘な独特の形象を描いた真形図などの図気を吸収して、図の持つ力を自分のものとする神仙道の術法のひとつなのであるが、同じことがこの開運符においても可能である。
①開運符を目の正面、見やすい位置に貼るか置くかして、その前に正座、もしくは正しい姿勢で椅子に座る。
②両手を左手の親指が上になるようにして、体の後ろで組みあわせ、指で手の甲を押さえるようにして握り(イラスト参照/本来は、ある特殊な鎮心秘印を組むのであるが、残念ながら、いまだ公開の時機を得ない)、目を閉じる。
③首と上体を後ろに3度そらせる。そらせるにつれて、組みあわせた手を下方に伸ばすようにする。2度目までは、息を軽く止めたまま行い、3度目はそりながら、口より気息を空中に十分に吐き尽くす。
④気息を吐き尽くしたならば、そったままの姿勢で目を開き、前方にある開運符の神字を見つめつつ、その神気を吸うと観念して、鼻から息をゆっくりと吸いつつ自然の姿勢に戻り、それと同時に下方に伸ばしていた両手を自然と腰のあたりに戻す。
以上である。
毎朝起きたら、食事前にでも実行なされると、自らの心身が神気に感応して、何事も今まで以上にうまくいくようになるだろう。回数には定めがないので、適宜の回数を行ってけっこうである。人によっては、神字のまわりに神光を見たり、神気の波動が肌に感じられたりすることと思う。
心を込めて墨を擦り、自分の願望に一致した龍鳳神字を書写するのも、その神気を感得し、霊応を得るひとつの方法である。書写するごとに神気の感応が顕著になり、願望が成就に向かうことだろう。
また、神字謹書の霊応を体験した人も数多い。ある人は、瞑想用のキャンドルを灯して書写していたら、キャンドルの炎が今まで見たことのない輝きを発してビックリしたと語っているし、またある人は、自分に風当たりの強かった上司が急に左遷されたとか、これまで取り引きがなかったところから取り引きが持ち込まれたという。
できれば、より多くの神字に触れ、神界との気線を繋ぎ、神徳を受けられることを願うしだいである。そして、自分の好みで「光明」「玄気」などの言葉を浄書され、机の前に置き、壁に貼り、所持するなどして神々のご加護を得て、宇宙波動の息吹きを享受されたい。
ちなみに、この龍鳳神字で「福寿光」と浄書し、それを所持することで運気が好転したという人が大勢おられる。紙などに書いたものでは汚れたり傷んだりするので、長く用いることのできる物をとの意図で、筆者の監修で「福寿光」という龍鳳神字を銅板に刻み、桐の箱に入れて、毎日拝することのできるようにした物が、現在、八幡書店から頒布されていることをつけ加えておく。
本号に付した「龍鳳神字開運符」で霊験を感得なされた方はぜひ、「福寿光」の龍鳳神字をも試していただきたいものである。
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