米ネバダ州の洞窟で発見された「ラブロックの巨人族」の謎! 悲劇的最期を遂げた“赤毛の凶暴な存在”にまつわる秘密
ホモサピエンスを含む現在の霊長類の進化の傍流に、巨人族が存在していたのだろうか? 米ネバダ州には「ラブロックの巨人」の伝説が語り伝えられている――。
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デジタル化された1930年代の古新聞の記事が話題になっている。イランやイラクなどに囲まれたペルシア湾で、謎の巨大水棲獣が目撃されていたのだ。 広大な海には知られざる巨大生物が存在している――。歴史の闇に埋もれた知られるUMA遭遇事件を公開。
あらゆる分野でデジタル化が進み、出版界においては雑誌や書籍が紙媒体と電子版の両方が同時に発売されることも珍しくなくなってきた。この電子書籍化の流れは新刊に対してだけではない。雑誌ではバックナンバーの電子化が進み、書籍も過去の名作が電子版によって再び光があたるケースも少なくない。これは学究的な分野においても同様で、かの『死海文書』がデジタルアーカイヴ化され、広く公開されるようになったことは記憶に新しい。
そうした潮流の中で、フランスのUMA情報関連サイト「STRANGE REALITY」(2020年10月9日)が、デジタル化されたある一枚の古新聞を公開した。1936年12月13日に発行された「ウエスト・フラッシュ・サンデー」紙の一面に報じられた、ペルシア湾に潜む謎の水棲生物の目撃・遭遇事件である。
今や世界中から未確認生物の報告がなされる時代にあって、西アジア圏、とりわけペルシア湾からもたらされる情報が極端に少ないのは周知のとおりだ。それだけに、たとえ20世紀前半の古い報道であったとしても、UMA史においては重要な意味をもつ。
しかも、この目撃事件ではカメラが一般に普及していない時代に決定的な証拠写真が撮影され、専門家による分析が行われた結果、まぎれもない“本物”であると結論づけられているのだ。
はたしてカメラは、どのような“海の怪物”を捉えていたのか? 80 年余りを経て“再発見”されたペルシア湾に潜む海竜の目撃報告を紹介していきたい。
事件が起きたのは1936年10月1日。イラクからフランスへ向かって飛ぶエールフランスの小型旅客機がホルムズ海峡の湾上に差しかかったとき、眼下に巨大な影が出現した。記事中では、目撃者であるフランス人のローラン・ペルティエの証言を交えながら、事件の一部始終を伝えている。
フランスの植民地行政に従事する土木技術師としてサイゴンで働いていたペルティエは、もう何年も故郷に帰っていなかった。
当時は今ほど航空路線が整備されておらず、植民地を中心に巨大な路線網を有していたエールフランスでさえ、サイゴンから帰国するには幾度となく乗り換える必要があった。そのためペルティエはなかなかフランスに帰ることができず、家族と離れて暮らす生活を強いられていたのだ。
1936年の秋になって、抱えていた大きな案件が片づいた彼は、念願かなって帰国の途についた。だが彼は愛しい家族の顔を見る前に、ありえない存在を目の当たりにすることになる。
現在のイランにあるジャスクの町のささやかな滑走路から離陸した飛行機は、乗客ふたりと乗員ふたりしかいない小さな機体で、コックピットもすぐ目の前にあった。
離陸してからしばらくの間、ペルティエは操縦桿を握るパイロットを興味深く観察していたが、やがて窓の外に視線を移した。眼下にはポートホールの美しい風景が広がっている。間もなく、ホルムズ島上空を通過することを思い出した彼は、しまい込んでいたカメラを取り出した。
この島は500年前から貿易の重要拠点として栄えており、歴史的な遺跡が数多く残されている。それらを写真におさめる絶好の機会を写真愛好家として逃したくなかったからだ。
やがて飛行機は島上空に到達し、ペルティエは美しい海岸線に魅了された。彼はその光景を収めようと愛用のコンタックスのファインダーをのぞきながら、フォーカスリングに手をかけた。だが、次の瞬間、彼の注意はまったく異なる存在に向けられることになる。
「そのとき、これまでの人生の中で、最も例外的な出来事が起こりました」
彼の視線が捉えたのは、長い引き波を発生させながら西から東へと移動する不思議な“泡”だった。だが、その先端に船影らしきものは認められず、船やそれに類するものではない。
やがて泡が円を描くように反転すると、突如として海上が渦巻いた。その中心だけが異様な静けさを保っているのをペルティエは不可解に思ったが、この疑問はすぐに解消される。渦の中心だと思っていた円形が緩やかなカーブを描く長い曲線形を変え、滑るようにして水面下に没していくのが見えたからだ。
正確な数値はわからないが、飛行機から海面までの距離を考えても、水面下に消えた曲線の主はかなり巨大な存在であるはずだ。何かが潜んでいる……そう直感した彼は再び姿を現す瞬間を、カメラを構えたままでじっと待った。
「私の望みは無駄ではありませんでした。もう一度、怪物は姿を見せてくれました。ヘビのような存在が泡の中心から現れるのをはっきり見ることができたのです。
機体から海面までは数十メートルは離れていたはずですが、それでも黒光りした水棲獣の姿を視認できました。すぐに姿を消してしまいましたが、幸運にも私はその姿をカメラで捉えることができました」
かくして、ペルティエの撮影した写真は「ウエスト・フラッシュ・サンデー」の紙面を飾ることになる。古い記事ゆえに鮮明さに欠けるが、謎めいた黒い影がはっきり写りこんでいるのがわかるだろう。
やや小ぶりな頭に長い首、羊を丸呑みしたように膨らんだ腹部、首とほぼ同じかそれ以上に長い尾が認められる。同紙が発行されるや、この写真は話題を呼んだものの、真贋の議論は長くは続かなかった。ヨーロッパの状況が急速に悪化し、やがて勃発する第2次世界大戦によって人々の記憶から消え去ってしまったのである。
一連の記事はフランス国立図書館でデジタルアーカイヴ化されており、申請すればだれでも閲覧することができる。この記事によれば、ペルティエの写真はオリジナルを拡大したものが提供され、写真家や専門技術者によって徹底的に調べあげられたようだ。
その結果、トリックの形跡も改ざんの痕跡も認められない。すなわち“本物”であると結論づけられている。この証言は匿名の人物ではなく、有識者によってなされたものだという。
この写真がフェイクでないのなら、気になるのはその正体だ。簡便に答えを求めるなら、シーサーペントの一種と考えるのが妥当であろう。『旧約聖書』の時代から目撃の歴史を持つこの水棲生物は、世界中の海で出現している。
多くは北欧やイギリス、北アメリカ近海に集中しているが、紀元前4世紀の哲学者アリストテレスが「リビアには巨大な海蛇が棲息している」と著書に残していることから、地中海でも目撃されていたことがわかっている。だとすれば、その近海であるペルシア湾に棲息していたとしても不思議ではないはずだ。
ただし、周知の通り、シーサーペントとはあくまで海洋で目撃される爬虫類タイプの未確認生物の総称である。巨大なウミヘビというイメージが強いが、毛や角を生やした個体もいれば、ネッシーに代表される首長竜タイプまで、さまざまな形態の存在が含まれる。つまり、何ら正体を特定する言葉ではないのだ。
ペルティエが目撃した存在もヘビと呼ぶには異様な姿形ではあるが、後日取材に応じた際に、彼もネッシーのような存在だったと確信していると語っていた。だが、彼自身がヒレのような部位を確認したという記述はなく、写真からも確認できない。1933年ごろから目撃報告が急増したネッシーの情報にペルティエが無意識に引きずられていた可能性も否定できないだろう。いずれにしても記事にある以上の情報はなく、いかに“本物”の証拠写真であっても正体の特定は困難だ。
ペルティエに続く目撃者がいないことも判断を難しくする要因だが、生きた個体に限定しなければ話は変わってくる。なぜならば、近年、同じペルシア湾で謎めいた腐乱死体が発見されているのだ。
2013年7月、イラク海軍によって発見されたその死骸は全長およそ15メートル。かなり腐敗が進んでいたが、露出した骨格の特徴的な形状は太古の恐竜の尻尾を連想させるものだった。
目撃したイラクの軍人たちは写真を撮影し、短いながら動画にも収めているが、確保することなく放置したため、それ以上の情報はない。写真を見た専門家はクジラの死体である可能性が高いと切り捨てたが、本当にそうなのだろうか? もしかしたら、ペルティエが目撃した個体の何世代かあとの存在であり、彼の目撃報告の裏づけとなった可能性もあっただけにその消失が悔やまれる。
貴重なサンプルを得る機会が失われたのは残念だが、次のチャンスは失われたわけではない。仮にこれらが同種の水棲生物であったとすれば、かなりの広域に潜んでいることとなり、いずれは生きた個体との邂逅の可能性が残されているからだ。
ちなみに、ペルティエが謎の水棲生物を目撃した海域は、東経56度、北緯27度であることが判明している。もしもこの生物の同種が生き延びていたとすれば、この一帯をグーグルアースで辛抱強く観察していれば、思わぬ発見ができるかもしれない。
筆者としても折をみて“追加取材”を行いつつ、当地からの新たな情報を待ちたい。
並木伸一郎
「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。
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