「トート・タロット」でパスワーキング瞑想 カードを通じてアストラル界へ至った実践例/ヘイズ中村
魔術的用法を前提に制作された「トート・タロット」。今回は、その用法をもうひとつご紹介する。カードをじっと見つめて瞑想し、その世界へ没入してさまざまな体験をするという「パス・ワーキング」だ。
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多くの企業が推進するマインドフルネス。瞑想をベースとしながらも、本来のマインドフルネスストレス逓減法とは大きく異なる進化を遂げている。また、最近の瞑想はさらに独自の進化を遂げていた!
できるビジネスパーソンはマインドフルネス。インテルやグーグルは幹部の研修にマインドフルネスと呼ばれる瞑想の一種を取り入れている。
2010年頃から急にマインドフルネスが流行り出したのは、IT系企業の過酷な職場環境にうつ病になる人が続出したせいだ。宗教もハイヤーセルフも、なんにも関係なく、グーグル社のエンジニアが、うつ病対策としてマインドフルネスストレス逓減法をベースに開発したSIY(Search Inside Yourself)プログラムが火付け役となった。
マインドフルネスは大手企業も採用しているし、いかにも心の健康に良さそうに聞こえるが、騙されてはいけない。目的がまったく違う。
私はストレスチェック制度に関する本を書いた時に、精神科医に会って話を聞いたが、本来、マインドフルネスはうつ病治療に使われる技術で、正式にはマインドフルネスストレス逓減法という。ベースには臨済宗の禅の瞑想が利用されている。
現在、企業がSIYプログラムを利用して行っているマインドフルネスとでは、ノウハウは同じでも目的がまったく違うものだということだった。
人は後悔するし、将来を心配する。特に自分の判断で部下の首を切ることになるなら、眠れない夜も続くだろう。うつ病にもなる。
マインドフルネスは現在に意識を向ける瞑想で、「今を生きる」といえばカッコいいが、まったく後悔をしない、圧倒的に自己肯定を行うように心を変えてしまうプログラムだ。そういう意味では自己啓発の一種だろう。
コストカットと称して首切りをしても、今だけを考えることで、一切の罪悪感を持たずにうつ病にならない管理職の養成システムが、彼らパワーエリートのいうマインドフルネスなのだ。
少し検索すると、マインドフルネスで金持ちになれるみたいな講座がゴロゴロ出てくる。たしかにSIYを利用して心を変えてしまえば、金持ちになれるかもしれない。だが、冷酷非情にコストカットで人を切り、利益の出ることだけにしか興味のない生き方ができる脳に改造するということなので、そういうのがお好きな人はぜひ。
なおマインドフルネスを極めると阿羅漢(※)になる。精神科医によると
「阿羅漢が生まれたから仏教に教団ができたんですよ。阿羅漢になると本当に今だけの人になってしまって、日常生活が送れなくなる。だから身の回りの世話をする人がいないと飢え死にするし、垂れ流しだし、そこから教団が生まれたんです」
ということだった。真偽は確認していないが、ありそうな話だ。
※ 小乗仏教の最高の悟りに達した聖者のこと。尊敬・施しを受けるに値する聖者。
何のために瞑想をするのか。冷酷非情なコストカッターを作るためではないだろう。本来、瞑想の前提には、意識が地層のように分かれて、一番底では宇宙とつながっているという呪術的世界観がある。
深層心理も含めて、意識をすべて自分でコントロールし、マインドフルネス(=心全体)を手に入れ、心に平安と自由を取り戻すというわけだが、そんなことが金儲けの片手間にできるなら、お釈迦さまは王族の地位を捨てて出家しなかった。自分と向き合うことは一生を賭けた修行であり、挑戦なのだ。
そこまで本気の瞑想ではなく、パワーエリートの目指すマインドフルネスでもなく、日々のストレスから解放される、風呂に入るような手軽さで瞑想をしようというのが、最近の瞑想だ。それにはIoT機器を使う。デジタル時代の瞑想マシンだ。
1970年代にもスピリチュアルブームは起こり、アルファコイルやバイオフィードバックが話題になった。
アルファコイルは、瞑想時に脳波にアルファ波という8Hzの脳波が発生することから、8Hzの電磁波をコイルに発生させ、それをかぶることで脳波を8Hzに誘導しようというもの。以前、私の実家にもあり、受験勉強の時にかぶると頭が良くなるとかぶらされたが、カチカチうるさくてしょうがなかった。成績には毛ほども影響がなかった。
バイオフィードバックは、心拍数や脳波をグラフや光の点滅で可視化、自分の感情や思考がどう連動するかを自分で把握し、本来、不随であるはずの心拍数や脳波を意志でコントロールするもの。今も医学の現場で治療に使われている。
慢性の頭痛や生理痛の人に、痛みが起きる時のバイタルを覚えてもらい、痛みがない時のバイタルを思い出して強制的に痛みを消す訓練をするのだ。東邦大学病院にバイオフィードバックの研究をしている医師がいて、話を聞いたが、薬ではどうにもならない頭痛が治ることもあるそうだ。
今、こうした70年代グッズが復古している。ヘルステック(健康関連技術)やブレインテック(脳科学技術)の一環として、デジタル機器を補助的に使い、自分で潜在意識をコントロールしようというのだ。
ELFエミットはアルファコイルの発展版のようなデバイスだ。選択した周波数に脳波を誘導するという触れ込みだったが、2017年に発売されるものの、いつでも瞑想という謳い文句の割に、そこまで優秀ではなかったらしく、現在は販売中止。
JiNS MEMEはメガネにセンサがついたデバイスで、集中状態や瞑想状態をまばたきや目の動きでキャッチ、スマフォに表示する。瞑想専用ではなく、自分の精神状態を姿勢や目線で把握する、一種のバイオフィーバック装置だ。
Muse2は脳波を測定、いかにしてマインドフルネス瞑想に入るのか、ガイダンスに従って脳波をコントロールするコツを学んでいく。
フォーカスカームは脳波のコントロール方法を学ぶデバイスだ。スマフォ上で測定された脳波を見ながら、ゴルフ選手のタイガー・ウッズが「ゾーン」と呼んだ、心理学では「フロー」と呼ぶ特殊な集中力を自分も使えるように、呼吸方法から瞑想法まで学習する。ゲーム感覚で瞑想と集中の方法を学べるため、スポーツ業界に好評で、プロアスリートのチームも利用しているそうだ。
ライトビジョンはLEDの点滅で脳波を強制的に点滅とシンクロさせる装置だ。シンクロエネジャイザーという名前で80年代に売られていたデバイスのリファイン版だ。
こうした機器を使うと誰でも簡単に瞑想できるかといえば、実際にはそう簡単ではない。かなり練習が必要だ。それでも何も手掛かりがないままで瞑想をするよりは、上達は早いだろう。
では瞑想の補助ではなく、無理やり瞑想に入るようなシステムはないのか。特許を調べたら出てきたのが「脳波強制誘導装置」。「人体の頭部に微弱なパルス電流を通電することにより、脳波へパルスを誘導する装置」だそうである。
原理は電気パルスを使う腹筋ベルトと同じで、「脳内の特定した脳波の周波数に対し、頭骨外部(こめかみ部・耳部など)からの特定の周波数を通電する事により、半強制的に脳波にゆらぎを起こし、脳細胞すべてに共振共鳴を起こさせ誘導すること」を目的としているのだそうだ。
製品化もされている。国内メーカーでもあり、ここでは触れない。ご興味ある方は検索していただきたい。
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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