余命数時間から生還したアニータの衝撃臨死体験! 死の淵で学んだ重要なこと5つとは?

文=仲田しんじ

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    余命数時間と宣告されて昏睡状態に陥った女性が死の瀬戸際で体験したこととは――。センス・オブ・ワンダーな臨死体験中に再び生きることを選択した女性に起きた奇跡。

    余命数時間の昏睡状態で見た世界

     インド人の両親のもとシンガポールで生まれたアニータ・ムアジャーニは、その後の人生のほとんどを香港で過ごし、幼い頃から英語、広東語、インドの方言を話して育った。

     学校を出てからは香港を拠点にビジネスの世界で活躍し、いくつもの成功をおさめていた彼女だったが、2002年に首にできたしこりが気になって病院に行ったところ、リンパ球のがんであるホジキンリンパ腫と診断されて人生の転機を迎える。

     オーソドックな治療法を拒否し、いくつもの代替療法を試したアニータだったが、がんは無慈悲にも進行していき、診断から4年が過ぎた頃には歩くこともできなくなり、常に酸素吸入器が必要な寝たきりの状態にまで悪化したのだった。

     そして2006年2月2日の朝、アニータは昏睡状態に陥り、家族は医師から余命数時間と宣告された。

    画像は「Pixabay」より

     集中治療室のベッドに静かに横たわっていたアニータだったが、実はこの時、彼女は周囲の状況をクリアに見て、感じ取っていたのだった。

     2013年に「TED Talks」の壇上で語ったアニータの話によれば、この時に意識は肉体を離れて“膨張”しており、ベッドの周囲の医師や家族、そして自分の姿までもが360度の視野で明瞭に見渡せたのである。

     しかも、認識できたのは診察室にいる人々だけではなかった。連絡を受けた彼女の兄はこの時、急遽インドから香港に向けて飛行機で移動中だったのだが、アニータには旅客機に乗っている兄の姿まで認識することができたのだった。

     さらに、見えたのは現存する人々だけでもなかった。共にすでに亡くなった父親と友人がそばにいることに気づいたのだ。

     そしてアニータは、「すべてを理解した」という。周囲の人々が何を考え、何を感じているのかが手に取るようにわかっただけでなく、自分にはまだまだ大きなパワーが残されていることも理解したのだった。

     そして再会した父親から「ここはまだアニータのいる場所ではなく、肉体へと戻るように」と促されたのだった。

    YouTubeチャンネル「TEDx Talks」より

     彼女は最初、再び病におかされた身体には戻りたくなかったし、再び闘病を続けるのは家族の負担にもなると思えた。

     しかし「君は自分の本当の姿を知ったのだから、人生に戻って何も恐れることなく生きなさい」という父の言葉をアニータは完全に納得することができ、再び肉体へ戻る選択をしたのだった。

     実に30時間以上の昏睡からようやく目覚めたアニータを見て家族は喜んだが、当然ながら医師らは気を抜くわけにはいかなかった。

     そんな医師たちの心配をよそに、ここからアニータは驚異的なまでに健康を取り戻し、目覚めて5日目から腫瘍が縮小しはじめ、5週間後には身体から消え去ったというのだ。これには医師らも驚くばかりであった。

    臨死体験から学んだ5つの重要なこと

     彼女の人生を変えたセンス・オブ・ワンダーな臨死体験を綴った2012年の著書『喜びから人生を生きる! ― 臨死体験が教えてくれたこと』(ナチュラルスピリット)が海外でベストセラーとなり、一躍有名となったアニータは以降さまざまなメディアで取り上げられ、インタビューや講演も精力的に行っている。

    『喜びから人生を生きる! ― 臨死体験が教えてくれたこと』(ナチュラルスピリット)

     2013年には「TED Talks」にも登壇して自身の体験を語っているが、その中で臨死体験から学んだ5つの重要な知見を解説している。

    ● 愛

     我々が意識すべき最も重要なことは愛であり、アニータの病は自分自身を愛していなかったことが一因だったということだ。自分を愛することは自分に価値があると考えることであり、自分に価値があると思えば、他者にもそれぞれの価値があることが自ずと理解できるのだ。

    ● 恐れないこと

     往々にして人は、正しく恐れるからこそ危険を回避できると考えている。しかしこれは間違いであり、自分を愛し他者を愛することができれば、恐れることは何もないのである。愛することのほうが、恐れることよりも危険を近づけないということである。

    ● ユーモア、笑い、楽しみ

     生活を送るうえで、ユーモア、笑い、楽しみは重要なことであり、ほかのスピリチュアルな活動よりも大切なことであるという。笑いに包まれた世界では、病院と刑務所はずっと少なくて済むはずであるとアニータは指摘する。

    画像は「Pixabay」より

    ● 人生は贈り物

     人生は苦役ではなく、かけがえのない贈り物であるという。試練のように見えることでも、それは克服するためのギフトであったのだ。それによって自分を愛することを教わり、救われたのだとアニータは説明する。

    ● 自然体で

     常に自分らしく自然体でいることで、その人は最も輝くことができる。自分を知り、自分を愛することで無限の潜在能力を発揮できるということである。

     アニータのわかりやすく魅力的なトークは愛と共に生きることで、最も根深い恐怖を乗り越えられることを説明している。純粋な喜びの場所から生きることで、自分の人生を考え直し、健康、人間関係、人生についての固定観念を根本的に変えるきっかけになり得るのだろう。

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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