英国UFO事件トップ10に数えられる「イルクリー荒野の異星人遭遇事件」とは?/遠野そら・MYSTERYPRESS
1987年12月、イングランド北部・ヨークシャー地方イルクリーの荒涼地帯に異星人が現れ、目撃者によって撮影されるという事件が起きた。
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1961年にアメリカで発生した異星人によるヒル夫妻誘拐事件。これまでにさまざまな検証が行われてきたが、事件発生時に着ていた衣服に着目した例はないだろう。誘拐された際、激しく抵抗したヒル夫人が着用していたワンピースには異星人のDNAが付着していた! そして、そのDNAを解析したところ、なんと異星人と日本人の関係が浮かび上がってきたのだ!!
2023年、映像ストリーミングサービス大手Netflixは歴史的UFOアブダクションである「ヒル夫妻誘拐事件」を題材とした映画「White Mountains」を配信することを発表した。なんと本作は、あのバラク・オバマ元大統領とミシェル夫人が設立した会社「ハイヤー・グラウンド・プロダクションズ」が製作を担い、さらに事件の当事者であるヒル夫妻の孫娘にして総合格闘技の世界最高峰・UFCで活躍するファイター、アンジェラ・ヒル(38)も製作に協力するという。多方面で大きな話題を呼ぶこと間違いなしの公開を前に、もう一度事件の詳細を確認するとともに、近年明らかになった新事実について学んでおこう。本誌2019年12月号から、超常現象研究の第一人者・並木伸一郎先生による渾身のレポートをお届けする。
※ 「ヒル夫妻誘拐事件」の経緯について詳しく解説する前編はこちら!
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目次
ヒル夫妻が誘拐された当時、夫妻が着用していた衣服について言及した本や調査報告書はこれまでなかった。だが近年になって、その衣服に化学的な分析が施された。
ちなみに、ベティが誘拐時に着用していた服は、混合色のブルー地にゴシック模様がプリントされたワンピースだ。帰宅後、ベティがドライブ中に身につけていた靴や衣服をクローゼットにしまおうとしたとき、ワンピースの縁やジッパー、裏地などが裂けていることに気がついた。後日、あらためてクローゼットから取りだした際、ピンクがかった色の粉が付着していたが、由来にはまったく心当たりがなかった。一度はワンピースをゴミ箱に投げ捨てたが、気が変わり、物干し綱にかけておいた。粉は風に飛ばされてなくなったが、ワンピースにはシミで変色した箇所がいくつも残った。
なぜ、ワンピースにシミが残っていたのか?
ベティによれば、異星人に拉致されたとき、ふたりの異星人が、ベティが暴れないように脇の下にしっかりと手を入れて、UFO内に連れ込もうとしたという。だが、ベティは必死の抵抗を試み、足を振り上げめちゃくちゃに蹴ったという。このとき着用していたワンピースは、そのせいで相当なダメージを受けたと思われる。またベティが体を検査された際、異星人たちはワンピースのジッパーにてこずっていたが、やがてワンピースは脱ぎ捨てられ、床に無造作に放り投げられていたという。
異星人たちから解放され自宅に戻った夫妻は、すぐさま服を脱ぎベッドで眠りについた。そのときベティはワンピースをたたみ、クローゼットにしまったという。悪夢のような事件から数日後、ベティがクローゼットからワンピースを出すと、そこにはピンク色の粉が大量に付着し変色していたのだ。バーニーが事件当時着用していたスーツも確認したが、ピンク色の粉も変色も見当たらず、ダメージは一切なかったという。
その後、約40年もの間ベティはワンピースを自身のクローゼットの中で洋服カバーなどもかけず、つり下げて保管していたが、2001年9月、創設40周年を記念した民間UFO研究団体「MUFON」のイベントでベティ・ヒルとコンタクトした化学分析者フィリス・ブディンガーは、このワンピースが異星人アブダクションを証明する科学的証拠になるとして、分析調査に乗りだした。
フィリスがチェックしたワンピースは、右側の裏地が腰から裾あたりまで引き裂かれており、ジッパーの部分は破れていた。「とてもじゃないけど、二度と着られないほどのダメージだったわ」とベティはフィリスに告げている。
さらにベティはワンピースが新品であり、その後一度も洗濯、クリーニングなどしていないと告げた。また保存していた間、消毒剤、防虫剤、その他化学物質などはクローゼット内で散布されていない。
ワンピースは半袖でウエスト部分が少し絞られたシンプルな形のものだ。そして注目すべき点は表地・裏地ともに腰部から裾まで裂けており、背中のジッパー部分もビリビリに破れていたことだ。
素材は1960年代に人気だったセルロースアセテートで、表地・裏地ともに広範囲にわたり変色しており、とりわけ脇からスカートの裾の部分に沿ってひどく変色してシミになってしまっている。これはベティが証言しているピンクの粉が付着していたという箇所と完全に一致しており、元の色を保っている腰の部分と比べてみてもその違いは一目瞭然といっていいだろう。
以下に、フィリスが公表したシミに対する化学的分析結果で示された事実を列記していく。
フィリスはワンピースの変色部分を3箇所切り取り、「サンプル1〜3」として、赤外線分析したところ、ワンピースの素材は、セルロースアセテート繊維であること、ドレスのピンク/赤紫色に染まったシミは、染料と繊維双方に対する化学的効果が起きていたことが判明。これは生物学的な意味合いでの影響を受けたということになる。
実際、初見で3つのサンプルから抽出された液は薄い麦わら色で、UVライトの下で蛍光発光が認められた。これは水溶性低分子量を含んだタンパク質と確認された。つまり、生物由来の物質=タンパク質がワンピースの変色部分に付着していたことがわかったのだ。これはベティの発汗や何らかの分泌液の痕跡ではなく、ベティの体外で発生して付着したと考えられ、その物質が空中に散布されている場所にベティがいたことを示唆するものだという。
微量の天然由来エステル、そして衣類の表面によく見られる塵や、その他、ごく微量の微粒子も検出されたが、これは40年間クローゼットの中に保管されていたことによるハウスダスト、ペットの毛、その他合成の衣類繊維などにある物質だったことが明らかになっている。40年にわたってクローゼットに入れられていたことを考えれば不思議ではないそうだ。
裏地には大きな変色はなく、繊維の損傷も見受けられない。だが、表地に接している部分にシミがあり、裏地にも浸透していることから、表地がフィルターのようになって、裏地にその物質も染み込んだものだという。これらの検査内容にはベティの尿や汗、嘔吐物など体液は含まれておらず、ワンピースにも一切の付着がなかったという。
では、ワンピースの変色=シミの原因は何だったのか?
ヒントはベティの「きわめて不快な正体不明の臭気が機内に漂っていた」という証言だった。その臭気はマリーゴールドに似ていたという。
これを聞いたフィリスは、この臭気が機内にいた異星人たちから発せられており、油分あるいは呼吸によって排出される物質が自然な形で発散された結果だと直感。原因は、物理的な接触があったからだと指摘した。ピンク色の部分はワンピースの上部において顕著であり、異星人がベティを機内に連れていく際につかんだと思われる袖の周辺部分に目立つからだ。ワンピースに付着していた湿気のあるタンパク質はベティの皮膚にも付着していたはずで、機内の空気の湿度がかなり高く、人間にとって不快な状態であったことを感じさせたはずだという。
フィリスは、ワンピースの変色箇所に「白カビ菌」が繁殖した痕跡を検出したという。それは付着していた物質に湿り気があったせいだという。ワンピースはたたまれた状態で保管されていたため、すぐに蒸発せず、白カビ菌が繁殖する栄養素となったと考えられるという。繁殖しつづけた菌がやがて乾燥しきったとき、シミの部分の表面に粉状になって残り、布地の変色を引き起こし、繊維にも何らかの影響を与えた。ワンピースの内側および裏張りは外側の部分と比べて乾燥していたことから影響は最小限に留まったと考えられるという。
ワンピースから水溶性タンパク質とエステル型オイルが検出されたことについて、フィリスはベティが拉致されたUFO内で嗅いだという不快な臭いは、UFO内にいた異星人から発せられたものだ、と考えた。つまり、ワンピースに残っていたタンパク質と天然油こそが、異星人がベティに触れた際に付着したものだ、と結論したのである。
事実、強くピンク色に変色している箇所が、異星人がベティ人を連れ去る際につかんでいたという両脇の袖の部分と、ベティが抵抗し暴れたときに接触したと考えられるワンピースの裾の部分なのだ。また、ワンピースの右袖脇にいたっては付着物が裏地にまで完全に浸透しており、ここまでしっかりと浸透させるには、よほど強い力で暴れているベティの体をつかんでいたに違いないのだ。
はたして、ワンピースに残されたシミが、異星人に取り押さえられたときに付着したものなら、DNA分析を試みる価値は十分にある。異星人のDNAがそのまま残っているなら、残る重要な検査事項こそDNA分析でしかないはず。
フィリスは、次なるステップ=DNA分析へと駒を進めた……。
ワンピースのシミに異星人のDNAが付着していたことから、フィリスによるDNA分析が実施され、2008年12月4日にその最終結果が報告された。分析に用いられた試料は、1「ベティ夫人の乾燥した血液のシミがついているろ紙」、2「バーニーの櫛」、3「〝左袖〟と表記された生地」、4「〝裏地シミ〟と表記された生地」、5「〝中間部分〟と表記された生地」、6「〝右袖〟と表記された生地」、7「ネズミのDNA」、8「ヒトのDNA」、9「クモのDNA」の9つだ。
DNA抽出方法は以下に示すとおりだ。
・生地および乾燥した血液、各試料は、減菌された手術用メスを使用し小さく切断した。
・櫛からは手術用メスでDNA試料となる物質をかき取り、DNA抽出管へ入れた。
・DNAは塩化グアニジニウムをもとにした抽出緩衝液で抽出し、サンプルを溶解した。
・フェノール、クロロホルム、イソアミルアルコール抽出により精製した。
・フェノール、クロロホルム、イソアミルアルコールを緩衝液で逆抽出し、DNAフラグメントを完全回収した。
・DNAをエタノールに沈殿し20 μlのDNA緩衝液に懸濁した。
・PCRプライマーで、リボソームDNA、ヒト-ミトコンドリアDNAを検証した。
「PCR」とは、Polymerase Chain Reaction (ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字を取った用語で、ごく微量のDNAを出発材料として、高感度の検出を短時間で行う技術。この方法によりDNAの特定の領域を数時間で100万倍に増幅することが可能になるという。これは細胞に1個しかない標的DNAでも増やして解析できるので遺伝子の構造や機能の研究などのほか、法医学的な調査や考古学にまで応用できる。たとえば感染症の迅速診断、1本の毛髪、1個の精子のDNAから提供者の特定ができるという。「プライマー」とは、DNA複製の新しいDNA鎖伸長時にDNA合成の開始点となる数ヌクレオチド=リン酸・糖・塩基の3つの物質が統合して構成される単位のことである。
まず左袖の部分に残されたDNA分析では、土壌および水中で発見されるアルファプロテオバクテリア網が検出された。このバクテリアが付着していたのは左袖の前部分だったが、ベティと異星人たちの靴の底に付着する形で持ち込まれたバクテリアである可能性が高く、機内でベティがワンピースをむりやり脱がされ、床の上に放置された瞬間に付着したものだ、とフィリスは指摘する。
機内に連れていかれる際、異星人とベティの間で口論めいたやりとりがあったことを示唆する証拠もあった。ベティは自分の右側にいた異星人に向かって激しい動きをしたことから、ワンピースの右側裏地に、激しく破れている箇所が確認できる。また、右袖にカビ菌の痕跡がシミとなって広がっており、体の右側を強い力で押さえられていた可能性が示唆されるのだ。左袖およびほかの部分は、右袖部分ほど菌の密度は高くなかったという。
試料から抽出したリボソームDNA、ミトコンドリアDNAをPCRにて解析すると、すべての試料に陽性反応が出た。この検出結果から、非常に少ない量のDNAから大きな増幅が得られていたことが示された。特に強く変色している右袖の脇の下からの試料は陽性PCRシグナルの反応が出ており、ヒト‐ミトコンドリアDNA配列が増幅されていることがわかった。この配列を解析したところ、生物種を特定することができたというのだ。
その生物種だが、なんと中国から東南アジアに居住する少数民族「モン族」と遺伝子構造が酷似していたことがわかったのである。
モン族とは、現在、中国南部、ベトナム、ラオス、タイなどの山岳地域に居住する山岳少数民族だ。史書によれば紀元前200年ごろ、漢代の『書経』に記載される「三苗(さんびょう)」や『後漢書』の「武陵蛮(ぶりょうばん)」が淵源とされているが定かではない。清代に激しい弾圧を受け、東南アジアへと南下。ベトナム北部、ラオス、タイ、ミャンマー各国に移住したと考えられている。
彼らの歴史はミステリアスな部分が多く、そのひとつに「モン族渡来人説」がある。古代、長江付近にいたモン族の先祖が漢族に追われて南下し、インドシナ半島だけに留まらず日本にもやってきたというものだ。この説を裏づける歴史的資料はないが、習俗に共通する点が多いのがその論拠である。棚屋建築や水稲耕作をはじめ、闘牛やわらじ、コマ回し、羽根つきなどがそれである。食文化はさらに関係性を感じさせるもので、味噌や醤油、納豆、発酵食品を食し、日本のなれずしに似た発酵した鮨を祖先祭祀には必ず備えるという。ほかにも、蕎麦を作り、正月にはもち米で作った餅を食べる、という共通点もあるのだ。
それだけではない。彼ら特有の染色体が、日本、特に九州北部を中心に多く見られるという情報もある。確かに彼らの顔つきは日本人に近しいもので、特に子供たちがそっくりなのには驚かされる。こうした主張は中国でも頻繁に論議されているのだが、その中にはモン族が話す言葉(ミャオ語)と日本語が似ているという主張も多くあるのだ。
ここで思い出してほしいのが、ベティが手渡された異星人たちの本に書かれていた文字が日本語を連想させるものであったということだ。日本の文字が異星人のそれとはからずもリンクしていた。そして日本人とモン族の源流に深い関わりが考えられる一方で、ベティのワンピースに残されていたDNAの分析結果から、ヒル夫妻を拉致した異星人とモン族がリンクした。これが意味すること。それは極論すると、モン族がレティキュリアンとの交配種の末裔である可能性が考えられるということである。
モン族の由来である中国には、ドロパ族という小柄な少数民族が住む。彼らの古代遺跡からはグレイエイリアンを連想させる遺物が多数発掘されており、それゆえにドロパ族の祖先は異星人と目されている。一方でモン族の伝承には、その祖先が天空より飛来したという伝承が実はある。もしかしたら太古の中国に異星人=レティキュリアンが飛来し、モン族もドロパ族の始祖をなしたのかもしれない。だとすれば、日本人の祖先もまた無関係ではないということになるだろう。
もちろん、確定するには今後さらなる調査・分析を要する。
だが、このDNA分析結果が、日本人のルーツを考察するうえで、新たな一石を投じたことは間違いないだろう……。
(『ムー』2019年12月号より転載)
~おわり~
並木伸一郎
「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。
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